「トリック・アートの世界展 - だまされる楽しさ - 」 損保ジャパン東郷青児美術館

損保ジャパン東郷青児美術館新宿区西新宿1-26-1 損保ジャパン本社ビル42階)
「トリック・アートの世界展 - だまされる楽しさ - 」
7/10-8/29



損保ジャパン東郷青児美術館で開催中の「トリック・アートの世界展」へ行ってきました。


桑山タダスキー「円D138」1966年

トリックアートと聞いて思い出すのが文化村のだまし絵展ですが、今回の展示はそれとは似て非なるものと言えるのではないでしょうか。ここに登場するのはアルチンボルドから国芳らといった東西のスター軍団ではなく、主に1960年以降の日本の現代美術でした。よって比較はナンセンスかもしれませんが、だまし絵展の華やかなイメージで行くと肩透かしをくらってしまうかもしれません。かなり地味でした。


福田美蘭「セフィロスから見たクロリスとフローラと三美神」1992年

私自身、興味を覚えたのはオプ・アート、つまり視覚的なトリックの効果を狙う抽象絵画を描いたヴィクトル・ヴァザルリの「バンクーバー」シリーズと、古典絵画の中の登場人物から見た景色を描いた福田美蘭の「幼児キリストから見た聖アンナと聖母」などでした。特に後者は絵の中に入り込むという疑似体験を得ることが出来ます。どの角度からか、また立ち位置はどこかと色々考えながら見入りました。


森村泰昌「肖像(ヴァン・ゴッホ)」1985年

お馴染み森村や名和の作品もトリックというキーワードでくくられると、意外と新鮮に見えてきます。それに出品作の大半を占める高松市美術館の所蔵品を一堂に見られたのは収穫でもありました。


河口龍夫「無限空間におけるオブジェとイメージの相関関係又は8色の球体」1968年

楽しさまでを体感し得る展示かどうかは不明ですが、何かと難解とされる現代美術を一つのキーワードで大胆に読み解く企画自体は悪くないのかもしれません。 なお見方のポイントを記した解説シートも用意されています。重宝しました。

8月29日まで開催されています。
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