「建築はどこにあるの? 7つのインスタレーション」 東京国立近代美術館

東京国立近代美術館千代田区北の丸公園3-1
「建築はどこにあるの? 7つのインスタレーション」
4/29-8/8



東京国立近代美術館で開催中の「建築はどこにあるの? 7つのインスタレーション」へ行ってきました。

会期末を迎えているので既にご覧になった方も多いと思いますが、今回の展示はいわゆる建築展ではなく、建築家によって作られたインスタレーションを紹介する展覧会です。よって単純に素人の目線から言えば、例えば模型や図面が多数登場する建築展よりも体感的に楽しめました。また有り難いことに国立美術館では異例の写真撮影が可能(ブログ掲載も可。)です。と言うわけで、写真を交えて順に展示の印象を振り返ってみました。

【中村竜治】


中村竜治「とうもろこし畑」2010年
「建築はどこにあるの? 7つのインスタレーション」東京国立近代美術館


入場してすぐ現れるのが中村竜治の何やら幾何学的な構造物でした。タイトルの「とうもろこし」とは謎めいていますが、ともかくその素材を聞いて驚かされます。まさか紙のフレームとは思いもよりません。


中村竜治「とうもろこし畑」2010年
「建築はどこにあるの? 7つのインスタレーション」東京国立近代美術館


覗き込むと言わばトンネルの向こう側が見えてきます。そう言えばとうもろこし畑の中をかき分けて見るとこのような光景が開けるのかもしれません。

【中山秀之】

展示室のスケール感を一変させるのが中山秀之のインスタレーションです。北海道の草原のピクニックをイメージした空間のスケールは3分の一でした。ここは床に座り、それこそ小人の視点で楽しみたいところではないでしょうか。


中山英之「草原の大きな扉」2010年
「建築はどこにあるの? 7つのインスタレーション」東京国立近代美術館


【鈴木了二】

今度は真っ白いステージのような構造物が登場します。一見すると展示中で最も言わば『建物』に近いものかもしれません。


鈴木了二「物質試行 51:DUBHOUSE」2010年
「建築はどこにあるの? 7つのインスタレーション」東京国立近代美術館


ところがこの構造物、中に入ることが出来ません。またよく見ると、建物全体と椅子やテーブルのスケールもあってないことに気がつきます。覗き込むだけで不思議な感覚に襲われるような、実にシュールな空間が展開されていました。


鈴木了二「物質試行 51:DUBHOUSE」2010年
「建築はどこにあるの? 7つのインスタレーション」東京国立近代美術館


【内藤廣】

大工が垂直を出すのに用いるというレーザーをイメージしています。私の拙い写真では分かりにくいのですが、レーザーが体にまとわりつくことで、いつしか空間そのものを実体として認識させることに成功していました。


内藤廣「赤縞」2010年
「建築はどこにあるの? 7つのインスタレーション」東京国立近代美術館


【菊池宏】

東近美中最大の難所、縦に長い通路状のスペースを巧みに利用しています。回転する装置が映像と連動して、驚くべきインスタレーションを展開していました。


菊地宏「ある部屋の一日」2010年
「建築はどこにあるの? 7つのインスタレーション」東京国立近代美術館


シンプルな仕掛けながら、その光と影の織りなす美しい映像は、全7作家の中でもダントツで印象に残りました。ここは一推しです。


菊地宏「ある部屋の一日」2010年
「建築はどこにあるの? 7つのインスタレーション」東京国立近代美術館


【伊東豊雄】

トリをつとめるのは大御所、伊東豊雄でした。瀬戸内海の大三島で進行中のプロジェクト、「今治市伊東豊雄ミュージアム(仮)」で使われる多面体の2分の1スケールが登場します。


伊東豊雄「うちのうちのうち」2010年
「建築はどこにあるの? 7つのインスタレーション」東京国立近代美術館


多面体の内部には、伊東が提案する様々な空間構成システムなるものが紹介されていました。ここは建築に詳しい方がより楽しめるかもしれません。


伊東豊雄「うちのうちのうち」2010年
「建築はどこにあるの? 7つのインスタレーション」東京国立近代美術館


【アトリエ・ワン】

一つ重要な作品を忘れていました。美術館の屋外には動物の形をした待ち合わせスポットが登場しています。素材は何と竹でした。


アトリエ・ワン (塚本由晴/貝島桃代)「まちあわせ」2010年
「建築はどこにあるの? 7つのインスタレーション」東京国立近代美術館


にゅっと首をのばすキリンの頭は二階部分にまで到達しています。遊び心も満点でした。


アトリエ・ワン (塚本由晴/貝島桃代)「まちあわせ」2010年
「建築はどこにあるの? 7つのインスタレーション」東京国立近代美術館


天井高や展示室の形状など、何かと制約のある東近美の空間がよくぞここまでと思うほどに変質しています。全体のスペースはさほど広くないので想像していたよりは早く見終えてしまいましたが、それこそ「建築はどこにあるの?」として作品を巡っていると一種の旅気分を味わえるかもしれません。

8月8日まで開催されています。
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