都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
「李禹煥個展」 カイカイキキギャラリー
カイカイキキギャラリー
「李禹煥個展」
7/25-8/21
カイカイキキギャラリーで開催中の「李禹煥個展」を見て来ました。
いわゆる「もの派」の「中心的存在」(ギャラリーサイトより)として知られる作家、李禹煥。都内のギャラリーでの個展は2011年のSCAI(谷中)以来のことかもしれません。ここ元麻布のカイカイキキギャラリーにて始まっています。
さてギャラリー内の2つのスペースを用いての展示。まずは「Relatum-Excavation」です。目に飛び込んでくるのは一面に敷き詰められた石。10センチ近くは盛られています。砂利というには少し大きめ。全てが白く清潔感がある。3箇所ほど窪んでいます。そこに細かな砂、黄土色の土が散っていました。そして例の絵具のストロークです。ワインレッドとシルバー。ともにうっすら白いグラデーションを描く。まるでぽっかりあいた穴のようでもある。絵具が床に染み込むかのように広がっています。
次は「Relatum-Silence」、大きな石とキャンバスとの関係です。今度の床はコンクリート打ちっ放し。その上に大きな石が置かれています。また壁面の白いキャンバスには何も描かれていない。ライティングの効果でしょう。石の影だけがさもキャンバスの方へ向かうかのようにのびています。
もう一方の空間は畳敷きです。40畳ほどあるかもしれません。壁面には2枚の絵画、「Dialogue」です。白地に一つはシルバー、もう一つはオレンジのストロークが思いがけないほど力強くのびている。先の床面の油彩に対して今度はアクリル。キャンバスはかなり厚みがあります。そのゆえでしょうか。しばらく眺めているとキャンバスが窓、さらに絵具の色がその向こうで煌めく光のようにも見えました。
畳敷きということで座って鑑賞することが可能です。これが思いの外に居心地が良い。下から少し見上げる形で作品を味わえます。また会場はビルの地下ではありますが、入口を通してでしょうか。ふと蝉の音が聞こえてきました。すると横目にうつる白い石の効果もあるのかもしれません。さも枯山水庭園にいるような感覚さえ覚えます。不思議と涼感のある展示です。しばし時間を忘れて滞在してしまいました。
カイカイキキは広尾駅から有栖川宮公園横の坂道をあがった先に位置するギャラリー。愛育病院の裏手、駅から10分弱ほどかかります。真夏の日中では少々難儀しますが、辿り着いた空間と言ったら美しい。漠然とした印象で恐縮ですが、久しぶりに李のインスタレーションから立ち上がる引き締まった空気感、気配を堪能しました。
なお8月9日(土)の15時より李本人のトークが行われます。料金はかかりません。
「余白の芸術/李禹煥/みすず書房」
8月21日まで開催されています。
「李禹煥個展」 カイカイキキギャラリー
会期:7月25日(金)~8月21日(木)
休廊:日・月曜日
時間:11:00~19:00
住所:港区元麻布2-3-30 元麻布クレストビルB1F
交通:東京メトロ日比谷線広尾駅より徒歩8分。
「李禹煥個展」
7/25-8/21
カイカイキキギャラリーで開催中の「李禹煥個展」を見て来ました。
いわゆる「もの派」の「中心的存在」(ギャラリーサイトより)として知られる作家、李禹煥。都内のギャラリーでの個展は2011年のSCAI(谷中)以来のことかもしれません。ここ元麻布のカイカイキキギャラリーにて始まっています。
さてギャラリー内の2つのスペースを用いての展示。まずは「Relatum-Excavation」です。目に飛び込んでくるのは一面に敷き詰められた石。10センチ近くは盛られています。砂利というには少し大きめ。全てが白く清潔感がある。3箇所ほど窪んでいます。そこに細かな砂、黄土色の土が散っていました。そして例の絵具のストロークです。ワインレッドとシルバー。ともにうっすら白いグラデーションを描く。まるでぽっかりあいた穴のようでもある。絵具が床に染み込むかのように広がっています。
次は「Relatum-Silence」、大きな石とキャンバスとの関係です。今度の床はコンクリート打ちっ放し。その上に大きな石が置かれています。また壁面の白いキャンバスには何も描かれていない。ライティングの効果でしょう。石の影だけがさもキャンバスの方へ向かうかのようにのびています。
もう一方の空間は畳敷きです。40畳ほどあるかもしれません。壁面には2枚の絵画、「Dialogue」です。白地に一つはシルバー、もう一つはオレンジのストロークが思いがけないほど力強くのびている。先の床面の油彩に対して今度はアクリル。キャンバスはかなり厚みがあります。そのゆえでしょうか。しばらく眺めているとキャンバスが窓、さらに絵具の色がその向こうで煌めく光のようにも見えました。
畳敷きということで座って鑑賞することが可能です。これが思いの外に居心地が良い。下から少し見上げる形で作品を味わえます。また会場はビルの地下ではありますが、入口を通してでしょうか。ふと蝉の音が聞こえてきました。すると横目にうつる白い石の効果もあるのかもしれません。さも枯山水庭園にいるような感覚さえ覚えます。不思議と涼感のある展示です。しばし時間を忘れて滞在してしまいました。
カイカイキキは広尾駅から有栖川宮公園横の坂道をあがった先に位置するギャラリー。愛育病院の裏手、駅から10分弱ほどかかります。真夏の日中では少々難儀しますが、辿り着いた空間と言ったら美しい。漠然とした印象で恐縮ですが、久しぶりに李のインスタレーションから立ち上がる引き締まった空気感、気配を堪能しました。
なお8月9日(土)の15時より李本人のトークが行われます。料金はかかりません。
「余白の芸術/李禹煥/みすず書房」
8月21日まで開催されています。
「李禹煥個展」 カイカイキキギャラリー
会期:7月25日(金)~8月21日(木)
休廊:日・月曜日
時間:11:00~19:00
住所:港区元麻布2-3-30 元麻布クレストビルB1F
交通:東京メトロ日比谷線広尾駅より徒歩8分。
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