「日本人が愛した官窯青磁」 東京国立博物館・東洋館

東京国立博物館・東洋館
「特集展示 日本人が愛した官窯青磁」 
5/27-10/13



東京国立博物館・東洋館で開催中の特集展示「日本人が愛した官窯青磁」を見て来ました。

現在、東博平成館で行われている「台北 國立故宮博物院展」。下記の感想にも書きましたが、「青磁輪花碗」など極上の汝窯青磁が出品されている。淡く澄んだ水色の色彩美には大いに心打たれたものでした。

「台北 國立故宮博物院展」 東京国立博物館(はろるど)

その故宮展に因んでの企画です。主に国内所蔵の青磁の品々を展観します。

出品は全21件。東洋館5室での特集展です。さほど多くはありません。しかしながら「東窯」と称する青磁が数十年ぶりに公開されるなど注目すべき点も少なくない。青磁ファンにとっては貴重な機会となりました。

さて今触れた「東窯」という言葉、ともすると聞き慣れない方も多いかもしれません。(私も実は初めて知りました。)

この「東窯」とは実在の窯を指すのではなく、陶磁研究者の小山富士夫氏が北宋官窯を考えるに際して名付けた言葉。ここでは細かに触れませんが、本展は何も単に青磁の名品を見せているだけではない。青磁に携わった人物に着目しながら、日本人の青磁の受容や研究の過程などについても言及しています。


「青磁碗」 北宋時代・10~11世紀 常盤山文庫

小山が箱書きに「東窯」と記したのがこの「青磁碗」。特に淡い釉調を重視して捉えていたそうです。


「青磁盤」 汝窯 川端康成旧蔵 北宋時代・11~12世紀 個人蔵

汝窯青磁としては国内で唯一の「青磁盤」も出ています。かつて川端康成が所蔵していたという名品。美しき青き光を放っている。やはり目を引きます。


「米色青磁瓶」 南宋官窯 南宋時代・12~13世紀 常盤山文庫

南宋の「米色青磁瓶」も興味深いのではないでしょうか。窯の中の焼成の条件によって黄褐色に焼き上がった青磁。これを日本では稲穂の色に例えて米色と称した。驚くのが作例です。何と世界で現在、日本に4点しか残されていない。故宮のコレクションにもないのです。


国宝「青磁下蕪瓶」 南宋時代・12~13世紀 アルカンシエール美術財団

青磁の中で特に美しいものを「砧」と称して珍重してきたそうです。そしてさらに「砧」よりも美しい最高の青磁を「修内司」と呼ぶ。国宝の「青磁下蕪瓶」や常盤山文庫所蔵の「青磁盤」などはかつて「修内司」として伝えられてきた作品です。



ちなみに後者の「青磁盤」はまた川端康成の旧蔵です。彼は自らの審美眼を頼りにこうした青磁を収集していました。



東洋館での「日本人の愛した官窯青磁」展。いわゆる常設展のために写真の撮影も出来ます。また故宮展開会中は特別展のチケットでも観覧可能です。平成館とあわせて観覧されることをおすすめします。

「青磁/NHK美の壺/日本放送出版協会」

10月13日まで開催されています。

「特集展示 日本人が愛した官窯青磁」 東京国立博物館・東洋館(@TNM_PR
会期:5月27日(火)~10月13日(月)
時間:9:30~17:00。但し特別展会期中の金曜日は20:00まで開館。土・日・祝休日は18時まで開館。10/10(金)と10/11(土)は22時まで開館。(入館は閉館の30分前まで。)
休館:月曜日。
料金:一般620(520)円、大学生410(310)円、高校生700以下、満70歳以上は無料。(総合文化展のみ)
 *( )は20名以上の団体料金。
 *特別展開催期間中は「台北 國立故宮博物院展」チケットで入場可。
 *9/15(月・祝)の敬老の日は無料。
住所:台東区上野公園13-9
交通:JR上野駅公園口より徒歩10分。東京メトロ銀座線・日比谷線上野駅、京成電鉄上野駅より徒歩15分。
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