「江川純太 全ては奥歯で砕かれる。」 eitoeiko

eitoeiko
「江川純太 全ては奥歯で砕かれる。」 
7/26-8/30



eitoeikoで開催中の江川純太個展、「全ては奥歯で砕かれる。」を見て来ました。

同ギャラリーでは昨年秋以来となる個展です。見る度に「変化」に驚かされもする江川の制作ですが、今回はいつもに増して統一感がある。そのように感じたのは私だけではないかもしれません。



それは色に由来するのでしょうか。前回展や以前の展示で見せた黒などの濃い色合いは影を潜め、どこか白を基調としたシルバー、もしくはうっすら紫を帯びた色が広がっています。もちろん鍵穴的なモチーフも見られますが、強い色で空間を閉ざすのか、淡い色でそうするのかでは印象が異なるもの。ともかく何か心地良さすら感じる色遣い。いつになく「光」を帯びていました。



そして今回、特に目を引くのがドット状に広がる筆触の展開です。赤に青に緑、一つの筆触でも多様にグラデーションを描いている。まるで宝石のように煌めきながら散るドット。それが時に縦方向へ川の流れるように滲む絵具の向こうに見え隠れしています。さらには色の点をそのまま見せて描いた作品もある。ともすればオールオーヴァー的な志向も伺えました。



一方でさらなる「変化」がある点も見逃せません。ストライプです。もちろんこれまでにもストライプをとりこんだ作品がありましたが、今回展ではストライプそのものがモチーフとなっている作品があります。太いストライプが縦や横、斜めに繋がる。そこに雲のような色面が浸食しています。細かなドットも広い余白もありません。



ちょうど私が出向いた時にギャラリーに西日が差し込んできました。すると色の盛られたドットに影が出来ます。光は色をさも透かすかのように影を描く。これが実に美しい。思わず息をのみました。

なお作家の江川は現在、川栗市立アートギャラリー・アトリアで開催中の「アーティスト・ラボ つくられるの実験」にも出展中です。



「アーティスト・ラボ つくられるの実験」@川口市立アートギャラリー・アトリア(7/19-8/31)

私も先日行って来ましたが、言葉を取り込んだ新作など、新たな展開も見られる展示です。あわせて出かけても面白いかもしれません。

「アーティスト・ラボ つくられるの実験」川口市立アートギャラリー・アトリア(はろるど)

8月30日まで開催されています。*夏期休廊:8月12日(火)~8月16日(土)

「江川純太 全ては奥歯で砕かれる。」 eitoeiko@eitoeiko
会期:7月26日(土)~8月30日(土)
休廊:日月祝。夏期休廊:8月12日(火)~8月16日(土)
時間:12:00~19:00
住所:新宿区矢来町32-2
交通:東京メトロ東西線神楽坂駅より徒歩5分、都営地下鉄大江戸線牛込神楽坂駅より徒歩10分

*作品写真は全て「江川純太 全ては奥歯で砕かれる」展示室風景
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