「忽那光一郎 風速0」 ラディウム-レントゲンヴェルケ

ラディウム-レントゲンヴェルケ中央区日本橋馬喰町2-5-17
「忽那光一郎 風速0」
7/2-31



レントゲンヴェルケで開催中の「忽那光一郎 風速0」へ行ってきました。

作家プロフィールについては同画廊WEBサイトをご覧下さい。近作の画像もいくつか掲載されています。

忽那光一郎@レントゲンヴェルケ

最近では同じくレントゲンの「ラントシャフト」展などに出品がありました。

例えば東京の湾岸地域の工場群や橋の夜景を撮る忽那の作品は、まさにクールという言葉が相応しいものばかりでしたが、とりわけ美しいのは、その上空にのびる翼端灯などの光の痕跡でした。空間だけでなく、まるで時間までを凍らせるかのように収めた様子は、無機質でありながら雑多な都会を全く澱みのない澄み渡った光景に表しています。東京の夜空が、限りなく深い藍色をたたえた海のように見えるのには驚かされました。

今、話題となっている東京湾で建設中の東京港臨海大橋を写した作品にも要注目です。組み合わさって展開するトラスの姿は、まるで海を横切る巨大な怪獣のようでした。

31日まで開催されています。

*画像は画廊からいただいたメールより転載しました。
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「暗がりの明かり チェコ写真の現在展」 資生堂ギャラリー

資生堂ギャラリー中央区銀座8-8-3 東京銀座資生堂ビル地下1階)
「暗がりの明かり チェコ写真の現在展」
6/19-8/8



「現代チェコを代表する10名の写真家を紹介します。」(画廊サイトより引用。)資生堂ギャラリーで開催中の「暗がりの明かり チェコ写真の現在展」へ行ってきました。

意外にもチェコの現代写真展は国内で初めてだそうですが、実際のところ無料とは思えないほど充実した展覧会だと言えるかもしれません。1940年代後半から83年生まれまでの新旧の10名の作家による、計50点余の写真が、一部パーティションで区切られた会場内を所狭しと飾っていました。なかなかボリュームがあります。

展覧会案内(出品作家一覧)@資生堂ギャラリー


Ivan Pinkava「Shoes for Joseph Beuys」(2003)

モノクロ、カラーの他、ポートレートからシュールなものなど、多種多様なジャンルの作品が紹介されていますが、私がおすすめしたいのは、「神話や古典の絵画などからイメージを借りて制作」(画廊サイトより引用。一部改変。)するというイヴァン・ピンカヴァ(1961~)です。画像を見てもお分かりいただけるかもしれませんが、モノクロームの世界の中で佇む靴の姿などは、何やら細密極まりない鉛筆画のような感触を思わせています。その静謐な様子に惹かれました。


Vladimír Birgus「Barcelona」(2002)

この他、それこそピンカヴァとは対照的に、鮮やかな色を押し出して都市風景を躍動感のある構図で切り取るビルグス(1954~)、また少女をモデルとした童話のような世界から人の感情の内面を抉るヴルチュコヴァー(1983~)の作品もインパクトがありました。

余談ですが、資生堂ギャラリーのWEBサイトが先日リニューアルしたようです。フロアガイドの3Dマップがシンプルながらも労作でした。

8月8日まで開催されています。
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「夏の入館無料ウィークと秋のニューマン展」 川村記念美術館

本年5月に開館20周年を迎えた千葉・佐倉の川村記念美術館ですが、それに関連しての企画がいくつか発表されています。簡単にまとめてみました。

「開館20周年記念 入館無料ウィーク&夏~秋のイベント」(pdf)

概要は上のリリースにも発表されていますが、まず注目したいのは8月のお盆期間中に予定されている「入館無料ウィーク」です。

コレクション展入場無料ウィーク
期間:2010年8月10日(火)~8月15日(日) /午前9時30分~午後5時



コレクション展内のカルダーのモービル。私の好きな展示スペースの一つです。(*)

ちょうど8月は常設展示です。通常900円かかる入館料がフリーとなります。同館ご自慢のロスコ・ルームからステラなどのアメリカ現代美術、またルノワールのほか印象派絵画、さらには江戸絵画までを一挙に無料で楽しむチャンスではないでしょうか。リストがまだ出ていないので詳細は不明ですが、充実したコレクション展にこそ同館の大きな魅力があることは間違いありません。夏のドライブがてら、またお馴染みの庭園の散策なども目当てに出かけるのも良さそうです。

さて現在、同館では来週の19日(祝)まで「コーネル×高橋睦郎」展を開催中ですが、会期最終日に高橋氏本人が登場します。

7/19(月・祝)「コーネル×高橋」展の最終日、高橋睦郎氏による詩の朗読があります。


「コーネル×高橋睦郎」展の会場風景。(*)

「ジョゼフ・コーネル×高橋睦郎 箱宇宙を讃えて」 川村記念美術館(拙ブログ)

当日はお昼の12時と15時、計二回の朗読が行われるそうです。私も一度、会期当初に詩の朗読を拝聴しましたが、コーネルの小宇宙の自由なイメージは確かに氏の言霊の力を借りて大きく広がりました。なお本企画には入館料以外の一切の料金がかかりません。嬉しいところです。

最後にこの秋、同館20周年を飾る見逃せない企画展が待ち構えています。それがロスコと並んで人気のアメリカ現代美術家、バーネット・ニューマンの回顧展、「アメリカ抽象絵画の巨匠 バーネット・ニューマン展」です。

アメリカ抽象絵画の巨匠「バーネット・ニューマン」展
期間:2010年9月4日(土)~12月12日(日)/午前9時30分~午後5時
*早期来館割引:9月17日までにチラシまたはホームページに掲載のクーポンを持参すると入館料1000円。



コレクション展内のニューマンの「アンナの光」。(*)

ニューマンというと既に常設の「アンナの光」が知られるところですが、今回はそれを含めた国内外の約30点の作品にて、彼の初期から晩年までの変遷を辿っていくそうです。ちなみにニューマンの回顧展は日本で初めてです。これは期待が高まります。



地元の千葉の好きな美術館ということもあって毎度の展示を欠かさず見ているつもりですが、この夏から秋にかけての同館の動向にも大いに注目したいと思います。

注)*印の写真の撮影と掲載については主催者の許可を得ています。
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「須田悦弘」 ギャラリー小柳

ギャラリー小柳中央区銀座1-7-5 小柳ビル8階)
「須田悦弘」
6/25-7/31



ギャラリー小柳で開催中の須田悦弘の個展へ行ってきました。

非常に細やかな彫刻と彩色でほぼ実物大の草花を象った須田の作品を、久々に都内でまとめて見ることが出来る絶好の機会です。いつもと同じように壁際の他、足元の床、さらには柱の裏手などに置かれた萩や朝顔、ツツジなどは、半ば来場者をやり過ごすかのようにじっと息をひそめて可憐に咲いていました。受付にはキャプションとともに作品の配置図が常備されていますが、ここは敢えてそれを見ないで探し歩くのがベストかもしれません。ちょうど公園を散歩しながら、思いがけぬ場所に生える植物を見つけるような気持ちで楽しめるのではないでしょうか。その行為はもはや鑑賞というよりも心地よい散策に近いものがありました。

変わらぬ魅力ここにありと言うような展示ではありましたが、私が小柳の空間が苦手であるからなのか、次回はもう少し趣きのある場所で健気に生きる草花たちを愛でたいと思いました。

7月31日まで開催されています。

*作品写真はARTiTのレポートの他、弐代目・青い日記帳、またフクヘン。などに掲載されています。是非ご覧下さい。
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「複合回路 - 認識の境界 - 第二回 早川祐太」 ギャラリーαM

ギャラリーαM千代田区東神田1-2-11 アガタ竹澤ビルB1F)
「複合回路 - 認識の境界 - 第二回 早川祐太」
6/5-7/10

危うく見逃すところでした。本年度のギャラリーαMの連続シリーズ展の第二弾、早川祐太の個展へ行ってきました。

作家のプロフィールについては画廊WEBサイトをご参照下さい。

第二回 早川祐太 Yuta HAYAKAWA@ギャラリーαM

昨年、武蔵野美術大学の大学院を修了し、最近では西新宿のWAKO WORKS OF ARTの二人展などへの出品があったそうです。


「if the ground were round」(2010)一部。

前回の複合回路、つまりは田口行弘の個展も見る側の自由な想像力を強く引き出す展示でしたが、そういう意味においては本展も変わることはないかもしれません。お馴染みのホワイトキューブには一つの水槽の他、透明のチューブ、そして石膏やゴムの白い球体、さらには蛍光灯や木材が並び、一方で水と空気の運動が全体の作品を有機的に結びつける働きを示していました。


「The moon is a big rock」(2010)一部。

チューブを伝わる水滴が白い立方体に解放され、また気泡が水槽をぶくぶくとわき上がってくる様子を見ていると、何やら誰もいない、言わばストイックなまでに借景をそぎ落とした日本庭園を見ているような気持ちにさせられるのではないでしょうか。立方体は鹿威しを受ける石、白い球体は庭石そのもの、そして水槽の泡は池の生き物の吐き出す息の痕跡、さらには水面に浮かぶ円形の板は蓮の葉にも見立てることが出来るかもしれません。無機質な空間と素材は、早川の仕掛けによって、地下室を超えた外界へと繋がりました。


「if the ground were round」(2010)一部。

いつの間にか水滴と気泡がチューブで結びついているような錯覚を受けるのも興味深いところです。水槽と立方体は想像の中のチューブを介して行き来しました。

ここに掲載した作品写真の一部の断片を是非とも会場で結び合わせてみて下さい。きっと何かが開けてきます。

10日の土曜日まで開催されています。おすすめです。
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7月の展覧会・ギャラリーetc

一ヶ月間のお休みをいただいての「予定と振り返り」です。早速、今月中に見たい展覧会をリストアップしてみました。

展覧会

「屏風の世界 その変遷と展開」 出光美術館(~7/25)
「2010イタリア・ボローニャ 国際絵本原画展」 板橋区立美術館(7/10~8/15)
 #各種イベント多数あり。講演会、ワークショップなど。詳細は公式HPヘ。
「オルセー美術館展2010 ポスト印象派」 国立新美術館(~8/16)
 #講演会 「オルセー美術館のコレクションの歴史とポスト印象派 7/25 14:00~ ギ・コジュヴァル(オルセー美術館長)
「ウィリアム エグルストン: パリ―京都」 原美術館(~8/22)
 #無料ミニシャトルバス「ブルンバッ!」が運行中。時刻表はこちらのブログを参照。
「トリック・アートの世界展 だまされる楽しさ」 損保ジャパン東郷青児美術館(7/10~8/29)
「ベルギー王立図書館所蔵 ブリューゲル版画の世界」 Bunkamura ザ・ミュージアム(7/17~8/29)
「誕生!中国文明」 東京国立博物館(~9/5)
「ハンス・コパー展 20世紀陶芸の革新」 パナソニック電工汐留ミュージアム(~9/5)
 #一部作品に展示替えあり。後期は7/27~。
「有元利夫展 天空の音楽」 東京都庭園美術館(~9/5)
 #イベント 「リアルナゾトキゲーム」 7/17、18、19、24、25の土休日。参加費960円。
「江戸絵画への視線」 山種美術館(7/17~9/5)
「奈良の古寺と仏像 會津八一のうたにのせて」 三井記念美術館(7/7~9/20)
「大哺乳類展-海のなかまたち」 国立科学博物館(7/10~9/26)
「オノデラユキ 写真の迷宮へ」 東京都写真美術館(7/27~9/26)
 #アーティストトーク(作家による作品解説)7/30 14:00~先着順
「ナポリ・宮廷と美―カポディモンテ美術館展 ルネサンスからバロックまで」 国立西洋美術館(~9/26)
 #講演会 「バロック期のローマとナポリの絵画」7/24 14:00~先着順 渡辺晋輔(国立西洋美術館主任研究員)
「アントワープ王立美術館コレクション展 アンソールからマグリットへ ベルギー近代美術の殿堂」 東京オペラシティアートギャラリー(7/28~10/3)
「ポンピドー・センター所蔵作品展 シャガール ロシア・アヴァンギャルドとの出会い」 東京藝術大学大学美術館(~10/11)
 #講演会 「シャガールの舞台芸術を中心に」 7/24 14:00~先着順 島津京(東京藝術大学非常勤講師)
「ネイチャー・センス展:吉岡徳仁、篠田太郎、栗林隆」 森美術館(7/24~11/7)

ギャラリー

「αM2010複合回路 Complex Circuit Vol.2 早川祐太」 gallery αM(~7/10)
「calm - 保井智貴、STORE、小野雄紀、ザ・ドキュンカンパニー」 MEGUMI OGITA GALLERY(~7/10)
「須田悦弘」 ギャラリー小柳(~7/31)
「忽那光一郎 風速0」 ラディウムーレントゲンヴェルケ(~7/31)
「ウィリアム・エグルストン:21st Century」 SCAI THE BATHHOUSE(~8/4)



まずは今月始まりの展覧会の中で注目したいのは、17日より開催される文化村の「ブリューゲル版画の世界」展です。世界初の試み(公式HPより)という総計150点にも及ぶブリューゲルと同時代の版画の響宴は、言うまでもなく版画ファンにはたまらない内容の展示になることが予想されます。版画という半ば小品メインの企画でもあるので、なるべく混雑避けて出かけるのがベストかもしれません。文化村ならではの金・土21時までの夜間開館を大いに活用したいと思います。



またその他では巡回先の新潟で内容以外の面で話題となった七夕スタートの三井記念美術館の「奈良の古寺と仏像」、または本日始まった東博の「中国文明」展も早々に見に行くつもりです。なお本編とは関係ありませんが、東博ではお馴染みの抱一畢竟の超名作「夏秋草図屏風」が、大琳派展以来、本館常設にて展観されています。こちらも見逃すことは出来ません。

ギャラリーではmemeさんが直々にお勧めして下さったαMの「早川祐太」展、そしてTakさんの写真入りの豪華レビューで断然そそられる小柳の「須田悦弘」展なども忘れずにチェックしておきたいところです。



6月中動けなかったこともあって、話題のオルセー展をまだ見ることが出来ていません。前評判通り、既に入場者も30万名を突破したという混雑必至の展覧会ですが、幸いなことについ先日から土曜日も夜間開館が始まりました。そちらも狙い目となりそうです。

更新再開のお知らせの後、ブログやツイッターに温かいコメントを下さって本当にありがとうございました。あくまでもマイペースですが、改めまして今後とも「はろるど・わーど」をどうぞ宜しくお願いします。
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ブログ再開のお知らせとお詫び

多忙により、ブログの更新をしばらくお休みしておりましたが、7月に入って少し落ち着いてきましたので再開します。

休止中、コメントやTB、またメールのお返事が遅れたことを何卒お許し下さい。

約一ヶ月間、美術館や画廊はおろか、アート関連の情報もチェックしていなかったので、まずは見たい展覧会などの整理からはじめるつもりです。何かこの展示というおすすめがありましたら教えて下さると嬉しいです。

またツイッターも少しずつですが再開します。こちらも色々とご心配をおかけして申し訳ありませんでした。

なお、以前に私事の雑記などを書いていた別館ブログは閉鎖しました。これまで読んで下さってありがとうございました。

今後もこの「はろるど・わーど」は細々と続けていくつもりです。

変わらぬご愛顧のほどを宜しくお願い申し上げます。
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