hiyamizu's blog

読書記録をメインに、散歩など退職者の日常生活記録、たまの旅行記など

柚木麻子『終点のあの子』を読む

2015年01月06日 | 読書2

 

柚木麻子著『終点のあの子』(文集文庫2012年4月10日文藝春秋発行)を読んだ。

 

裏表紙にはこうある。

プロテスタント系女子高の入学式。内部進学の希代子は、高校から入学した奥沢朱里に声をかけられた。海外暮らしが長い彼女の父は有名なカメラマン。風変わりな彼女が気になって仕方がないが、一緒にお昼を食べる仲になった矢先、希代子にある変化が。繊細な描写が各紙誌で絶賛されたオール讀物新人賞受賞作含む四篇。解説・瀧井朝世

 

 

「フォーゲットミー、ノットブルー」

中等部から高校に上がった内部生の立花希代子の新しいクラスには、奥沢朱里(あかり)がいた。彼女は、気まぐれで学校をさぼって江の島に行ったり、その奔放さに希代子は憧れを持つ。しかし、朱里が、自分以外の人間は皆、平凡だと思わないと気が済まないことを知り、さらに希代子の憧れの院生・瑠璃子さんとあっという間に親しくなったことで希代子は朱里を妬むようになる。学年で一二を争う美人で、大学生の恋人を持ち、いつも何人かの取り巻きに囲まれている恭子も、朱里が恭子の彼の車に乗ったことで憎むようになる。

 

「甘夏」

朱里に親友希代子を奪われた森奈津子は、変身しようと、学校にバレたら停学になるバイトをこっそり始める。両親にも、親友の希代子のも明かさない秘密を持ってクラクラする。バイト先の大学生にデートに誘われるが、・・・。

電車の向かい合う座席に腰掛けたOL風の二人組を見て奈津子は思う。

あんな風になれるまで、一体どれくらいかかるのだろうか。自分の力で可愛いものや高いケーキが買える綺麗なおとなの女性。ああなったら、友達をねたんだり、見下したりしなくてよくなるのだろうか。

 

「ふたりでいるのに無言で読書」

美人で派手好きな菊池恭子は、彼氏を別れて夏休みの予定がなくなり、家にも居づらく、図書館へ行く。そこには、読書好きで地味でオタクな保田早智子がいた。何から何まで違う二人がべったりと付き合うが、それもひと夏の交流に終わる。
 

「オイスター・ベイビー」
高校を卒業してそろそろ4年になろうとしている奥沢朱里。美大ではのめりこめるものを探し続け、父と同じカメラにたどり着いたかにみえる。朱里は田島淳之介と付き合っているのだが、油絵捨てて就活に焦りまくっている彼に失望している。朱里の人を見下す態度は相変わらずだ。しかし、それは・・・。

 

 

単行本:2010年5月文藝春秋刊。

 

 

私の評価としては、★★★(三つ星:お好みで)(最大は五つ星)

女子高生同士の些細で陰湿な感情のやりとりが、おじいさんの私にはめんどくさい。他人と何とか違うことをしたいと思う平凡な私は、群がろうとする人の気持ちには納得がいかない。

 

最後の「オイスター・ベイビー」を読むと、朱里は単なるわがまま娘だったという結論に読めるが、それでは前半の何か特別で、何かありそうな朱里という話は何だったのか、あんまりな展開だ。

 

 

柚木麻子の略歴と既読本リスト

 

 

コメント
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