昨夜の日本サッカーの歴史的な勝利に浮かれて、久しぶりにスポーツネタを一つ。日本で最も人気のあるスポーツといえば、殆どの人は野球とサッカーと言うだろう。普段国内のゲームは滅多にテレビ観戦しない私も、日の丸を背負って戦うゲームだと逃さず見る。
国対国の戦いになるとついつい熱くなる。この二大スポーツは是非とも世界トップクラスでいて欲しいと願う。この感覚はスポーツとは分野が違っても、日本人がノーベル賞を受賞して嬉しいのと同じだ。
ワールドクラスに近づく日本サッカー
昨日の夜は親善試合とはいえ、日本サッカーが初めてアルゼンチンに勝った歴史的な日だった。アルゼンチンはメッシやテベスなど欧州リーグで活躍するスターが出場しており、旅の疲れで格下の日本相手に手抜きした結果の敗戦と片付けて欲しくない。勝利に意味を見出したいのはファンの正直な気持ちだと思う。
従来の日本サッカーは強豪チームと対戦する時、何かの拍子でリードすると前半から弱気になり守備一辺倒になるが、後半息切れがして最後に追いつかれがっくり来て逆転されるパターンを繰り返した。だが南アW杯で世界を舞台に初めて持ちこたえた。昨夜は更に進歩して終盤守備一辺倒にならず、最後まで攻めと守備のバランスが崩れなかった。その姿勢が新鮮に映った。
以前のような前線で無意味にボールを追いかけるフォワード守備がなくなり、体力の消耗が少なくなったのが一因だろう。終盤敵方が一方的に攻めクリアを繰り返す時間帯が無かった。かつてはこの時間帯で速攻をかけられると、簡単に突破されピンチが続きつまらないゲームになった。
日本選手の緩い横パスがしばしばカットされるたが、アルゼンチンのパスミスも結構多かった。簡単に日本にボールが渡るケースで、アレッと思う場面が何度もあった。インターセプトした選手が香川など一部の選手に偏っていたのは気のせいだろうか、それとも予測されたことか。
本田の落ち着いたキープ力と、長友の走力と体の強さは中でも目立っていた。今後も国際試合で実績を作り選手が自信を持ってくれば、日本サッカーが欧州南米に肩を並べるワールドクラスに近づく可能性を予感させる素晴らしいゲームだった。1年前までは夢にも思わなかった希望が湧いてきた。まだ早過ぎるかもしれない。次の韓国戦で希望が本物かどうか分かるだろう。
日本野球はワールドクラスか
一方、WBCで2回連続世界一に輝いた日本野球は世界トップレベルと自認してきた。サッカーと違い、長い野球史の中で日本独自で競争力のある野球スタイルを確立した。それが少なくともWBCの短期戦で通用し二連覇したことだ。
だが、今年は世界最高峰のMLBでシーズンを通じて活躍したのはイチローだけだった。年齢的に盛りを過ぎたと思われる選手もいたが、まだ老けるには早すぎる松坂などの選手も不調だった。イチローは例外としても、日本人選手は概して選手生命が短いのだろうか。
今季の日本プロ野球では、米国から阪神に入団したばかりのマートンが、イチローのシーズン安打記録を更新した。MLBとマイナーを行き来したレベルの選手が日本に来てトップの打者になった。彼が日本野球に合っていた部分もある。だが、MLBで一流になれず居場所を失った選手が日本に来て主軸を打ち、ローテーションピッチャーになって活躍するのは毎年のことだ。
ところで、日曜日の朝のニュースバラエティ番組で、名物のスポーツコーナーを時々見る。解説者の大沢氏の突然の訃報を聞きとても残念に思った。同じ番組の解説者の張本氏がMLBをけなすのをよく見かけるが、大沢氏は必ずしもそれに同調しないのを好ましく思っていた。さすが監督を経験して見る目がある、それにべランメイ口調とは裏腹に選手への暖かい眼差しを感じた。
話は戻って、私は日本のプロ野球のレベルアップが停滞しているのではないかと心配している。特に優れていると言われた投手のレベルが低下しているように感じる。バッターは機械を使って練習できるが、ピッチャーは自分の身体を使った練習以外に無い、と同じ認識を持っている専門家は説明している。
だが、近年海外から来て日本で成功するピッチャーが増える傾向が続いている。日本人ピッチャーだけと言うことはありえないだろう。高校時代に有望だった選手が成長できず、中途半端なまま選手生命を終えるケースを良く見かける。学生野球からの酷使がたたっているのかも知れない。 今シーズンのMLBと日本プロ野球の個人成績は考えさせるものがもう一つあった。日本人選手の選手生命の方が短いと感じる。選手生命と食事・トレーニング・人種などの関係を科学的に研究して改善していかないと、お家芸の野球といえども世界のトップレベルを保つ事は難しいのではないかと悪い予感がした。■