かぶれの世界(新)

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庭師に弟子入り

2010-10-18 18:35:20 | 日記・エッセイ・コラム

助け舟

定住者のいない実家の庭の手入れに行き詰ったところで助け舟が入った。昨年まで庭の手入れをしてくれたAさんが退院、電話で代わりに庭師のOさんを紹介してくれた。自己流で庭の手入れをしはじめたが、松や槇(まき)の枝葉の処理をどうして良いか分からず、誰かに相談しようと思っていたところだった。

早速Oさんに連絡を取り事情を話すと、日曜日に彼一人で来て私に教えながら庭木の手入れをやりましょうと、私には願っても無い提案をしてくれた。職人は朝が早い。いつもより早く食事を済ませ8時前に準備を済ませて、作業着に替え長靴を履いていると彼の軽トラックの音が聞えた。

切り込み不足!

私が自己流で剪定した背の低い椿やカイドウ、ウツギなどの庭木を見て、素人に有り勝ちな「切込み不足」と先ず指摘された。斬るなら枝の生え際から、しゅうとめ(他の枝と交差する枝のこと)、ひこ生え(根本から生えてくる細枝)などは全て切取る。地面から出る幹は奇数が良いという。

枝葉は塊の形で残し段差を作っても良い。思い切って風通しを良くし、切った枝葉は綺麗に取り去れと。実際、私が2週間前に剪定し取り残した枝葉の周りが茶色くなって枯れかかっていた。今年の夏は暑かったので毛虫のせいかもかもしれないと彼は付け加えた。

大きくしないで形を保て

早速の指摘でチョットへこんだが、電気バリカンで刈り揃えたサツキやツツジはまあこんなもんだろうといわれた。やはり切った枝葉を丁寧に取り除くことを注意され、庭木は「形を保つ」ことに注力し大きくならないようにしたほうが良いと釘を刺された。

先ずは3m近く伸びた月桂樹の枝木をすいて風通しを良くせよと練習問題を貰った。木の頂き付近の太い枝を3本残して全て付根から切取り、しゅうとめを除いていくとそれだけで風通しが良くなりすっきりした。月桂樹の剪定をすると仄かな香りがニッキと言われ、子供時代の記憶が甦った。

自信を持って大胆に

高くなり過ぎた樫の木は庭師が8段の脚立に乗り、上から50cmくらい幹を切り取り後、大胆に枝を落としていった。私から見れば「つるつるてん」だが、これで良いのだという。次にマキに着手、これも思い切って背丈を低くして貰った。私には脚立の天板には乗るなと言われたが、彼は何度も天板に乗り無理な姿勢で作業をした、チョット説得力が無い。

マキの枝葉を電動バリカンで落としてみろと言われ、脚立に乗って指示された通り刈り取った。以前自己流でやった時、どこまでやれば良いのか不安だったが、今回は自信を持って大胆に葉揃えした。庭師の脚立は3本脚の8段だが、母が使っていた5段の4本足より軽くて安定している。

松は王様

この二つの背の高い木をやっつけると、庭が急に明るくなり雰囲気が変わった。彼はその後松に取り掛かった。松は庭木の王様、集中してやらねばならない根気の要る作業で、年季がいるという。道理で私にやれとは一言も言わなかった。手入れは剪定鋏ではなく刃先の真っ直ぐな木鋏を使い、松脂がこびり付き取れなくなるので備えをした作業服を着たほうが良いという。

彼が松に集中して取り掛かると、それまで弾んでいた世間話が弾まなくなった。私は以前適当にやったサルスベリなどを、もう一度指示されたとおりに剪定していった。そうしているうちにお昼時になり彼は食事に戻り、私は手早く冷凍したご飯を解凍しレトルトカレーをかけて食べた。

弟子入り

小一時間で戻って来た彼は庭の手入れの参考書と、木の種類ごとの開花期と手入れの時期を示した表を見せてくれた。どういう道具をどこで買えば良いか、値段はどの程度のものかも教えてくれた。道具の値段は予想した通り高い。刃物は銘が入った物でないと切れ味が悪くなるという。

彼は既に70歳を越えており元気な間は来てくれるが、なるべく自分で庭の手入れをするよう勧めてくれた。本を買って勉強し、道具から入って行くのが良いかもという。老いても身体を動かす技術を身につけるのは悪くはない。助手で雇っても良いと真顔で冗談を言われ、危うくその気になった。私も長く体力を維持したいが、何時までもハードなスポーツがやれるわけではない。

実は片付け専門

午後も彼は3本の松に集中し、私は時々彼の助言を貰いながらあちこち鋏を入れていった。よく見ると「ひこ生え」があちこちにあり、切取るすっきりした。気が付くと、今はもう何も作っていない家庭菜園にとりあえず捨てた枝葉が山積みになった。

水色の大きなナイロン・シートに枝クズを抱えて捨てに行くのも自然と私の仕事になった。彼によると普通は助手を連れて仕事し、時には枝葉の掃除だけの為の人を雇う場合もあると言う。従来なら二人二日の仕事が今回は1人1日(+弟子)で4時前に終った。

読書と音楽の東屋が甦る

電動バリカンの作業は自己流とはいえ私が事前に済ませ、今日は手伝いと片付けをやったということなのだろう、いつもの半額の手間賃でいいと彼は言った。しかし、授業料という理由で少し味付けしてお礼を渡した。来年も来て貰う必要があることだし。その後東屋に座ると庭がすっきりとして明るくなり、お茶を飲みながら本や新聞を読み音楽を聴く時間が増えそうだ。

一夜明けると朝から快晴、久しぶりに東屋で庭を眺めながら朝食を頂き新聞を読んだ。景色は良くなったが、いかんせん肌寒い。食事が終ったら早々に居間に戻ってMLB中継を見た。昼食後、近くのモールに行き鋏や三脚など道具を見て回った。助言どおり他の店をチェックし参考書を読んで、来春までに購入する予定だ、今の所は。何故か待ち遠しく感じた。■

コメント
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