かぶれの世界(新)

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格付け異変

2011-03-08 11:21:03 | 社会・経済

突然の引き下げ

前原外相の辞任で大揺れの政局の昨夜、格付け会社ムーディーズはギリシャの信用格付けを3段階引き下げて「Ba1」から「B1」に、更に一段の引き下げもあると発表したと伝えられた。理由はギリシャの改革が進まないと見做したからだ。賭ければ必ず負けるギャンブルにも値しない格付けになった。

ギリシャの財政赤字はGDPの150%に達し、あらゆる対価を払ってでも破綻を避けなければならないというのがEUのコンセンサスだったはずだ。何故、この時期に突然3ノッチも格付けが引き下げられたのか不審に思った。ギリシャ政府は当然のように反発した。

そこまでやるか

ファイナンシャルタイムズ(FT)によれば、引き下げの具体的インパクトはユーロ圏の金融機関が評価損を被る結果になる。その意味するところはギリシャ一国に対してというより、EU全体に対してしっかり対応せよという圧力をかけるメセージになると読んでいる。なるほど・・・

何度かふれたように、一方で日本国債の格付け引き下げも間近に迫ってきたと感じる。昨今の国民不在の政争を見ると、今日明日にも引き下げが発表されてもおかしくない状況だ。先に日本国債の格付け引き下げを発表したS&Pは、今日の政治混乱を予測していたと思う。見下げられたもんだ。

閑話休題 民間は国より信用できるか

ギリシャ格付け引き下げの発するEUへの問いかけを頭の片隅において、次に私が気になった「民間が国より信用できるか」を少々論じたい。先日の日本国債が引き下げられた結果として、日本企業の格付けが国債を上回る事態が生じていることを知った。根拠ははっきりしないのだが、私は民間企業がその国の国債以上の格付けを得ることはないと思っていた。

最も信頼できる国の借金(国債)の金利は、その国の企業が借金する時の金利より安いはずだという思い込みが私にはあった。だが私の常識は非常識だった。日本語版ウォールストリートジャーナル(WSJ)によれば、NTT、NTTドコモ、武田薬品工業、キヤノンの4社は日本国債を上回る格付けを得ている。ムーディーズは他にJR東日本と東京ガスにも高い格付けを与えているという。

記事によると格付け会社は、これらの優良会社は「強いキャッシュフロー、豊富な流動性、限定的な資金必要額、日本以外の地勢的な多様性、国内市場での独占的な立場を理由に、日本政府を上回る格付けした」と報じている。

日本は例外ではない、だが・・・

記事をそのまま引用すると「世界で政府のソブリン債格付けを上回る企業ないし地方公共団体は約85に上っている。これらの国は21カ国で、アルゼンチン、アイルランド、イタリア、ニュージーランド、ポルトガル、ロシアなど」(S&Pの発表2/3)。誤解を恐れず言えば日本はその程度の国。

だが、国より民間企業の格付けが高いのは、少々納得が行かない。

私が異常に感じるのは、これら優良会社が調達する資金コストが国債以下になっているようには思えないことだ。格付けが与える最大にして直接の影響は金利のはずだが現実は逆転している。これは格付けの逆転か、それとも金利の逆転か。どちらが異常なのだろうか。

異常なのは私たち国民?

国債の金利が異常に安い、即ち金利の逆転が異常と私は感じる。大元の原資は私たちの預金だ。その異常さの上に政府の予算が成り立つ、つまり私達の生活が成り立っている。国の借金が800兆円もあるので、格付けを反映して金利が上昇したらこの異常なサイクルは回らなくなり、最早予算が組めなくなる。想像すると鳥肌が立つ。

ギリシャの格付けを容赦なく引き下げた格付け会社の動きを見ると、日本国債の格付け引き下げのメッセージが伝わってくる。それをどう感じ取って政治や個々人の生活に反映していくか、結局私たちに帰ってくると思う。知らない振りして能天気に過す方が楽でいいかも!

最後は泣き言で終る。米国の過剰消費は世界中を潤したが、多くの人は持続可能だと思ってなかった。だが、リーマンショックで崩壊するまで放置された。私たちの生活は悪くなったとの言外に、良くなる期待がある。だが、それは幻想だ。もっと悪くなる。この異常な状態に支えられた生活は持続可能ではない。問題はいつまで持ちこたえられるかだ。Xデーはいつか来る。■

コメント
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