かぶれの世界(新)

写真付きで日記や趣味を書くならgooブログ

朝日プリズム

2014-09-12 15:51:08 | ニュース

 福島原発事故に関するいわゆる吉田調書と、戦時中の慰安婦問題の吉田証言について、朝日新聞社長が誤報を認め謝罪する記者会見が昨夜報じられた。「朝日新聞はやっと普通の会社並のことが出来たか、ずいぶん時間がかかった」というのが私の率直な印象だ。とても一流会社のやったこととは思えないお粗末だった。

 昨夜の木村社長の会見内容は一々重箱の隅をつつく必要はない。ごく普通の謝罪会見だったと感じた。強いて言えば、朝日新聞の謝罪の対象は読者だけではない、指摘されている様に日本国やマスコミ全体の信頼性を傷つけたことを認識すべきだ。

 それは第三者委員会の調査結果をまとう。誰を人選して原因調査するか、人事を含めた再発防止策がどうなるか、を注目したい。私は、朝日新聞独特の文化、仮に「朝日プリズム」と名付ける、にも光を当てて調査すべきだと感じる。それがこのエッセーの趣旨だ。

 何故そう思ったか、実は昨日付のダイヤモンドに投稿された元朝日新聞編集委員の山田厚史氏の記事「袋叩きの朝日新聞!リベラルメディアの退潮を喜ぶのは誰か」を見てからだ。きちんとした内容のようで(一見そう見せるのが得意)、その裏に典型的な朝日の報道姿勢の問題が見えた。

 その前に一般論として、テレビ等のコメンテーターの発言を聞くと、この人は朝日出身だなと感じる時があり、ほぼ当たる。大局を把握して評価せず、自己の主張に都合のいい境界領域を取り上げ非難する。その主張が時代遅れの一国平和主義のような身勝手なものが多い。例えば国民から全く支持されなくなった社民党の同じ内容だったりする。

 私の印象では山田氏はそれ程極端ではないし、朝日新聞出身にしては大局が見え合理的な判断のできる人だと思っていた。さて、上記記事のポイントを以下に紹介する。記事の前半は状況分析で納得できる内容だったが、後半ジャーナリストとは思えない驚くべき発言が飛び出してきた。

 ・池上彰氏のコラム掲載拒否は朝日新聞の体質や構造に起因する愚挙だった。
・長年の沈黙を破り何故吉田証言への疑惑を訂正したか経緯も含め発表すべき。
・記者3000人の組織は縦割でタコツボ構造にありお互いにチェックされなかった。
・権力がメディアを監視する時代にあって、世論が安倍政権の抑止力になるべき。
・政治の右傾化が朝日新聞の編集局を頑なにしている。
・朝日新聞の影響力の低下は安倍政権を喜ばせているかもしれない。

 朝日新聞が虚報を立て続けに起こした構造的な体質の問題を指摘しながら、途中から政権批判にすり替え責任転嫁している。吉田証言は30年も前のことであり安倍政権の右傾化云々するのは幼稚な筋違いだ。山田氏にしてこうだ。見方がもっと偏向している言論人もいる、共通するのは途中で意見が特有な角度に曲がる。私風に皮肉っぽく言えば、光を真直ぐ通さない「朝日プリズム」がかかるのだ。

 メディアは中立であれとは私は思わない。以前から何度も指摘するように、「テーブルの上にすべての情報を載せて(読者に見せて)論じ、その上で我社はこう考える」式の報道に変えるべきだと私は信じる。しかし、議論の根拠は事実でなければならない。都合のいい事実のつまみ食いも許されない。

 朝日の問題は長年抱えて来た宿病だと今回改めて感じた。朝日新聞系やOBの言論人の多くはその傾向があり、色々な報道に影響を与えている。記者会見で指摘されたNYタイムズの引用記事だけではない。第三者委員会にはそこまで踏み込んでほしい。

 最後にこれは必ずしも朝日新聞だけではない、他紙やテレビ報道にも同じような危うさを感じる。心あるジャーナリズムはこれを他山の石として謙虚に基本に戻れと言いたい。■

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする