福島第1原発事故はその直後から「炉心溶融(メルトダウン)」と言わず「損傷」で押し通したが、東電の社内マニュアルに従えば3日目には原発の代表的な過酷事故である「炉心溶融」と判断出来たはずだと東京電力が発表したと、今朝の新聞は一斉に伝えた。事故後5年を経過しての発表は皮肉にも東電の信頼を傷つけたという。
新潟県知事の言うように「隠蔽」とは思わないが、私は意図された「言い換え」だったと推測する。このような大事件があった時、私が責任者なら他の人達にどう伝えるべきか、どう伝えれば被害を最小限に抑えられるかまず考えるだろう。東京電力は責任逃れの為に隠蔽したという見方も出来るが、その後の展開を考えれば嘘をつく程バカじゃなかったと私は思う。それにしても、正直に言うと却って責任追及されると辛いと同情する。
日本経済新聞によれば事故発生の翌12日、炉心溶融の可能性を言及した原子力保安院の広報担当を官邸の指摘で即交代させたと報じている。破局的な印象を与える「炉心溶融」と言えない雰囲気が官邸・霞が関にあったという。多分これが全てだが当事者は明らかにしないだろう。溶融と言えば対策が進むのなら話は別だが、さもなければ国民の安全を守る責任者としてパニックを引き起こさない広報を一概に非難できないと私は思う。
しかし、損傷と言い換えたのは当時の官邸・霞が関がマスコミや国民を信用してなかったということだろう。溶融というとマスコミは必要以上に危機を煽り、国民はパニックを引き起こし事態を悪化させる恐れがある、政府はそう考えて東電や保安院に損傷と言い続けさせたのではないかと思う。一方、影響力のあるメジャーなマスコミは分かっていても必要以上に追及しなかったかもしれないと思う。後述するようにそれで何も得られないのだ。
この当時、政府のスポークスマンであった枝野官房長官は、何かあるごとに「直ちに健康に危険な状況ではない」と言い続けた印象がある。だからと言って枝野氏が正しい情報を伝えなかった、隠蔽したと非難するのは筋違いだ。彼に技術的知識があったか非常に疑問だが、国民への被害を最小にすべく最善を尽くして政治責任を果たしていると思った記憶がある。
溶融を損傷と言換えて何が得られたのか、何を失ったのか、最後に考えてみる。表面的な言い方だが、パニックが抑えられた一方、政府や東電の言葉の信頼が失われた。政府は事故の深刻さに圧倒されていた。東電は「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」、袋叩き状態にあり信用されない状況だった。マスコミは事故直後から炉心溶融の可能性について専門家の声を報じていた。だが、どちらに転んでも肝心な事故収束に影響したとは思えない。■
新潟県知事の言うように「隠蔽」とは思わないが、私は意図された「言い換え」だったと推測する。このような大事件があった時、私が責任者なら他の人達にどう伝えるべきか、どう伝えれば被害を最小限に抑えられるかまず考えるだろう。東京電力は責任逃れの為に隠蔽したという見方も出来るが、その後の展開を考えれば嘘をつく程バカじゃなかったと私は思う。それにしても、正直に言うと却って責任追及されると辛いと同情する。
日本経済新聞によれば事故発生の翌12日、炉心溶融の可能性を言及した原子力保安院の広報担当を官邸の指摘で即交代させたと報じている。破局的な印象を与える「炉心溶融」と言えない雰囲気が官邸・霞が関にあったという。多分これが全てだが当事者は明らかにしないだろう。溶融と言えば対策が進むのなら話は別だが、さもなければ国民の安全を守る責任者としてパニックを引き起こさない広報を一概に非難できないと私は思う。
しかし、損傷と言い換えたのは当時の官邸・霞が関がマスコミや国民を信用してなかったということだろう。溶融というとマスコミは必要以上に危機を煽り、国民はパニックを引き起こし事態を悪化させる恐れがある、政府はそう考えて東電や保安院に損傷と言い続けさせたのではないかと思う。一方、影響力のあるメジャーなマスコミは分かっていても必要以上に追及しなかったかもしれないと思う。後述するようにそれで何も得られないのだ。
この当時、政府のスポークスマンであった枝野官房長官は、何かあるごとに「直ちに健康に危険な状況ではない」と言い続けた印象がある。だからと言って枝野氏が正しい情報を伝えなかった、隠蔽したと非難するのは筋違いだ。彼に技術的知識があったか非常に疑問だが、国民への被害を最小にすべく最善を尽くして政治責任を果たしていると思った記憶がある。
溶融を損傷と言換えて何が得られたのか、何を失ったのか、最後に考えてみる。表面的な言い方だが、パニックが抑えられた一方、政府や東電の言葉の信頼が失われた。政府は事故の深刻さに圧倒されていた。東電は「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」、袋叩き状態にあり信用されない状況だった。マスコミは事故直後から炉心溶融の可能性について専門家の声を報じていた。だが、どちらに転んでも肝心な事故収束に影響したとは思えない。■