かぶれの世界(新)

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エンジンのない救命ボートに乗る世界経済

2016-02-13 22:42:13 | 社会・経済
12日の日経平均は大幅続落し前日比760円安の1.4万円台で引けた。おや、まあーだ。アベノミクス発足以来積み上げた株価が吹き飛んでしまいそうな勢いだ。今朝の日本経済新聞は、実態が良く見えない中国発の景気減速が市場の疑心暗鬼を呼び、その不安感が資源国に広がり、更に周り回って先進国に拡散したと編集委員の梶原誠氏が指摘している。

この世界的トレンドは黒田総裁のマイナス金利政策の効果をたった3日で消し去った。だが、一国の金融政策が世界の市場動向を左右する状況にはないと私は考える。なのに結果が出てから金融政策を云々して個人攻撃のような解説をする経済学者やジャーナリストに私は与しない。といっても実は大差ないのだが、以下に私が見聞きした識者の意見を総合して考察してみたい。

中国経済減速は誰もが認識しているが、中国政府が発信するデータを信用できず、今どの位酷く今後どうなるのか予想できない、これが市場を疑心暗鬼にさせた原因だ。資源国は中国の需要減で打撃を受けたのは紛れもない事実だ。問題は今後中国の需要がどれだけ減るのか、適切な手を打てるのか見通せなくなっていることだ。米国の金利上げにより資源国から資本流出が始まったが、同じ理由で資本を引き揚げの目安が無いためリスクマネー暴走が始まった。総ては中国経済の不透明性から始まった、と私も推測する。

こういう前提で梶田氏の比喩は中々面白かった。リーマンショックの教訓で新興国は外貨準備を積み上げ、救命ボートをしっかり準備していた。実際、彼等は既に救命ボートに乗っている。だがその救命ボートがどこに向かうのか、ボートを駆動するエンジンも力がない。かつては圧倒的な経済力を誇った米国がエンジンになって不透明感を吹き飛ばした。リーマンショック後の中国は世界経済を活性化したが、今は両国とも頼りないのだ。

それでは今の米国は何だろうか、彼等は「世界の実態を映し出す鏡」と言う見方に私も同意する。米企業の収入の半分は世界経済に依存しているのだ。彼等の業績は米経済ではなく世界経済の反映なのである。それがリーマンショック時とは決定的な違いと理解しない限り現状を正しく把握したとは言えないと思う。

昨日、証券会社の担当氏と現状をどう見るか、この先をどう予測するか議論した。私はいつ市場の混乱が収まるか、それを判断するシグナルは何かが焦点になると言った。リーマンショックの翌年シティバンクが経営が上向きになり始めたと社内向けに伝えた時、これがシグナルだとの指摘を直感的に正しいと思ったことを思い出しながら言った。他人より少しでも早く認識すれば早く損を取り戻せる。

私はシグナルの候補として二つの出来事があると思う。それは米国でも中国でもない、新興国と資源国だ。石油カルテルが産出抑制に合意した時、もう一つは新興国が資本流出規制に動いた時だと予想する。これは「大胆占い」より遥かに確率が高い予想だ(と自賛する)。しかもその時はそう遠くはない。さもないと金融不安が実体経済に深刻な悪影響を与えることになる。早ければ今月、遅くとも3月になるはずだ。

今夜はしこたまワインを飲んだ後この記事を書いている。この予測もいささか怪しいのをご承知ください。■
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