川崎重工が製造した新幹線台車の強度不足は重大事故を起こした可能性がある。昨年来表面化した安全基準を下回るデータ改ざん問題とは一線を越えた極めて深刻な物だった。今回は台車が亀裂し鋼材が破断すると乗客の死亡事故につながり、我が国の新幹線技術の信頼を大きく傷つけた恐れがある。
報道によると現場の作業者の判断で誤って台車の底面を仕様書より薄く削り、作業班の班長は適切な指示や終了後の確認をしなかったという。つまり経営トップどころか現場に近い課長や部長すら全く関与せず不良品が作られ検査されず出荷した。
そして受け入れ側も納入時にメーカの測定値を確認するだけで実際問題になった台車の底は報告もされなかった。作る側も使う側も安全管理体制が全く機能せず、重大な事故を引き起こす恐れのある問題がすり抜けてしまった。その意味で神戸製鋼所や三菱マテリアル、東レのデータ改ざん問題より深刻で悪質性の高い問題だと報じられた。
私はこのニュースに接して全く分野が異なるが、我国のシステムが共通する「現場力の低迷」が危機的状態まで悪化している様に感じた。
その一つが厚生省が実施した裁量労働制導入の為に厚労省が実施した実態調査が全くでたらめだったことだ。でたらめな調査報告を基にして法案がつくられ、安倍首相が国会で誤ったまま引用して答弁した。厚労省が国の法律を審議する最高決議機関を誤らせる調査報告だった。
厚労省の下部もしくは外部機関に委託した調査結果が全くでたらめで、それを厚生省が精査して誰も誤りを見つけられなかった。この誤りのパターンは物つくりの川崎重工と相似形で本質は変わらない。しかも、どちらも誤った物やデータが我が国にとって深刻な結果を招く恐れがあった。
更にもう一つ厚労省に関わる問題で全く異なる分野で真逆の問題が起こり、こじつけのように見えるが、私の目には類似の病的な問題を示す。
それは厚労省が所轄の企業型確定拠出年金の加入が遅々と進まない問題だ。依然として国民の多数が現金保有にしがみつき、或いはリスクはあるがリターンも見込める確定拠出年金より安全な元本保証型を選んでいるのだ。運用損が出た時非難を恐れる企業及び組合と厚労省の腰が引けていた結果だ。
だが、既に結果は出ているのだ。過去20年間で家計金融資産は米国が3.3倍、英国は2.5倍になったのに対し、日本は1.5倍にしかなっていない。私から見ると自明で当たり前の結果だ。なのに、無理解な非難を恐れ説得を諦め手を打たず、国民を誤らせる判断は上記と同質の問題だと私は感じる。
全て現場に任せその後のチェックで何もせず誤りがすり抜け国民に到達するか、プラスの結果は明確なのに万が一の誤りを恐れて何もせず国民にプラスを届けない。こういう見方をすると現場はどうあれすり抜けていく。私には上記の3つのインシデントは表裏一体の関係のように見える。
つまり真の問題は「現場力の低迷」ではなく、かつての「パーフェクトな現場力」に頼って何の付加価値もない現在のトップではないかという逆説的な問いかけだと私は思う。ちょっと捻り過ぎかなー?現場に頼り過ぎた結果と言いたいのだが、皮肉にも来るべきAIが解決策かも知れない。■
報道によると現場の作業者の判断で誤って台車の底面を仕様書より薄く削り、作業班の班長は適切な指示や終了後の確認をしなかったという。つまり経営トップどころか現場に近い課長や部長すら全く関与せず不良品が作られ検査されず出荷した。
そして受け入れ側も納入時にメーカの測定値を確認するだけで実際問題になった台車の底は報告もされなかった。作る側も使う側も安全管理体制が全く機能せず、重大な事故を引き起こす恐れのある問題がすり抜けてしまった。その意味で神戸製鋼所や三菱マテリアル、東レのデータ改ざん問題より深刻で悪質性の高い問題だと報じられた。
私はこのニュースに接して全く分野が異なるが、我国のシステムが共通する「現場力の低迷」が危機的状態まで悪化している様に感じた。
その一つが厚生省が実施した裁量労働制導入の為に厚労省が実施した実態調査が全くでたらめだったことだ。でたらめな調査報告を基にして法案がつくられ、安倍首相が国会で誤ったまま引用して答弁した。厚労省が国の法律を審議する最高決議機関を誤らせる調査報告だった。
厚労省の下部もしくは外部機関に委託した調査結果が全くでたらめで、それを厚生省が精査して誰も誤りを見つけられなかった。この誤りのパターンは物つくりの川崎重工と相似形で本質は変わらない。しかも、どちらも誤った物やデータが我が国にとって深刻な結果を招く恐れがあった。
更にもう一つ厚労省に関わる問題で全く異なる分野で真逆の問題が起こり、こじつけのように見えるが、私の目には類似の病的な問題を示す。
それは厚労省が所轄の企業型確定拠出年金の加入が遅々と進まない問題だ。依然として国民の多数が現金保有にしがみつき、或いはリスクはあるがリターンも見込める確定拠出年金より安全な元本保証型を選んでいるのだ。運用損が出た時非難を恐れる企業及び組合と厚労省の腰が引けていた結果だ。
だが、既に結果は出ているのだ。過去20年間で家計金融資産は米国が3.3倍、英国は2.5倍になったのに対し、日本は1.5倍にしかなっていない。私から見ると自明で当たり前の結果だ。なのに、無理解な非難を恐れ説得を諦め手を打たず、国民を誤らせる判断は上記と同質の問題だと私は感じる。
全て現場に任せその後のチェックで何もせず誤りがすり抜け国民に到達するか、プラスの結果は明確なのに万が一の誤りを恐れて何もせず国民にプラスを届けない。こういう見方をすると現場はどうあれすり抜けていく。私には上記の3つのインシデントは表裏一体の関係のように見える。
つまり真の問題は「現場力の低迷」ではなく、かつての「パーフェクトな現場力」に頼って何の付加価値もない現在のトップではないかという逆説的な問いかけだと私は思う。ちょっと捻り過ぎかなー?現場に頼り過ぎた結果と言いたいのだが、皮肉にも来るべきAIが解決策かも知れない。■