かぶれの世界(新)

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三菱自不祥事の深刻度(補足)

2016-05-13 21:57:48 | ニュース
先月「三菱自不祥事の深刻度」と題して、燃費データ改ざんは不正を知る者全員が目を瞑っていた、会社全体が腐っていた極めて深刻という記事を投稿した。最早、三菱の名の下で自動車ビジネスをやる価値があるか極めて疑わしい、三菱自は会社存続の危機に瀕しているという認識だった。今回、深刻な事態には間違いないが会社全体が腐っていたというのは言い過ぎだったと訂正したい。

不祥事が表面化して20日余りで、急転直下日産自動車の傘下で再建を目指すと昨日報じられた。私は最初このニュースを聞いた時、今までのビジネス関係はあるとしてもこの決定は余りにも性急ではないかと思った。三菱自がどの位腐っているのか把握しているのか、最悪の場合日産に悪い影響を与えることになりかねないと思った。

だが、今朝の日本経済新聞の記事『「ゴーン流」 新境地開くか 三菱自、日産傘下で再建』を読んで、私の分析は表面的で訂正が必要だと分かった。しかも、それは私の会社勤め時代から十分想像できることだった。前置きが長かったが、記事によれば不祥事は三菱自の非常に限られた閉じた組織内で実行されたかも知れない。言い換えれば、内部告発が無かったからと言って会社全体が腐っているというのは言い過ぎだった。

上記記事の出だしをそのまま引用させて頂くと、「開発部門は人事異動が少ない組織で、10年間も同じ部署、担当のままという人も少なくなかった」(関係者談)。私の経験では、極めて正しい。技術開発部門の主な技術者は何年も同じ部署で仕事をする。自動車とは技術が異なるが、私も若い頃はコンピューター技術者として十数年同じ職場に働き、幹部職になって初めて2-3年おきに職場を変わった。

実際に技術開発に携わっている頃に規格に合致する設計や確認試験の詳細は、設計担当の判断に任され上司はレポートで確認するだけだった。万が一誰かがデータ偽装したらすり抜けた可能性は十分ある。振り返るとそれは技術者の良心に頼るしかない、不正を防ぐしっかりしたシステムがあった訳ではなかったと記憶している。ただし、検査部門は独立しており開発部門の意向に左右されなかったので不正は見抜かれたと思うが。

以上整理すると、今回三菱自のごく限られた組織だけが腐っていたとしてもデータが改ざんされて市場に出ていた可能性がある、つまり会社ぐるみの不正ではないかもしれない。それでもデータ改ざんを日産の検査で見つけ、三菱自の検査部門は目を瞑った可能性がある。提携後に技術部門に日産の技術者を送り込むという。不正が起こった仕組みを徹底的に洗って対応するのか、なあなあで済ませるのか凄く興味がある。■
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周回遅れの読書録2016(1)

2016-05-11 22:01:07 | 本と雑誌
この数年、私が好んで読んだ本はリーマンショック発生時に公的・私的に責任者の立場にあった人達がどう振る舞ったかを描いたノンフィクション(NF)物だ。リーダーの判断一つで世界がひっくり返る状況で、ギリギリの決断をした彼等の姿は小説では味わえない迫真のドラマが描かれているはずだ。

昨秋東京に戻りいくつかその種の古本を入手したが中々読み進まない。言い訳をすれば自宅建て替えの為読書の時間が取れなかった。やむを得ず読み残した本を田舎に送って、実家で落ち着いて読むつもりだった。しかし、やっぱり読書が進まない。20代半ばで年間100冊を目標に読書を始めて以来最低の読書量だ。読書録などと言うのも恥ずかしい。もう言い訳のネタが尽きたので、今迄に読んだ本を紹介させて頂く。

今回お勧めしたいのはリーマンショックに関わる2冊の優れた著作だ。先ずリーマンショックが起こる3年前にFRB主催の会議でただ一人金融危機を予言し、現在故国に戻りインド中央銀行総裁を務めるRラジャンの「フォールト・ラインズ」だ。熊本大地震で話題になった断層線のことだが、ここでは金融システムの歪の比喩だ。著者が構造的に金融危機を分析し唱えた対策は精緻で説得力がある。本書には危機の3年前にマエストロと言われたカリスマ(グリーンスパン)に真っ向歯向かった著者の迫力を感じとれる。

次にリーマンショック発生時のNY連銀議長で、その後オバマ政権の財務長官として活躍したガイトナー長官の「ガイトナー回顧録」だ。回顧録に描かれた登場人物が世界を地獄から救った、その過程で彼等が覗き見た地獄を追体験できる。その場に立ち会った生々しい姿を感じ取れると期待した。だが、淡々とした記述で読み進みながら期待した程の迫力は感じられなかった。多分、それでもこの本ほどリーマンショックの中枢に迫った著作はないと思う。

(3.0-) Lガイトナー回顧録 TFガイトナー 2015 日本経済新聞 米国当局の中枢がリーマンショックにどう立ち向かったかを描いた660ページの大作。前半はリーマンショック勃発時にNY連銀議長としてバーナンキFRB議長とポールソン財務長官と連携して対応、後半はオバマ政権下で財務長官として金融システムの建直しに取り組んだ様子が克明に描かれている。前半は事態の深刻さを読み切れず土壇場で権限が限られていたとの言い訳、後半は金融機関のストレステスト結果が期待通りになるまでの周囲の理解不足が印象的だった。著者は意外にも一貫して政府内でキャリアを積んだ官僚だというのも興味深い発見だった。

(3.5) 2フォールト・ラインズ Rラジャン 2011 新潮社 世界経済には3つの断層線(米国政治の歪、多国間の貿易不均衡、英米の金融システムが異質な国に資金供給する危うさ)があり、リーマンショックが引き起こした金融危機に影響を及ぼしたと解説する。米国の所得格差が政治圧力となり住宅ローンを歪める断層線を作り、新興国の企業が保護を求め成長できず輸出頼りになり、かつての日本が歩んだ道を通る。著者は続けて、バブルの処理を誤ったFRB、銀行とバンカーが何故リスクをとったか、リスクを取らせない方法を説く。

(1.5-) 2デリバティブ汚染 吉本佳生 2009 講談社 全国の自治体、大学から地銀までデリバティブを組み込んだ仕組債・仕組み預金に投資し、膨大な潜在的損失を抱え込んでいると警鐘を鳴らす書。問題は最初だけ高利の運用益が出るが、その後為替や金利の変化によっては低利のまま長期間塩漬けか巨額の損失を出して解約するしかないリスクがあるという。同じリスクを繰り返して解説するだけの本だが、それだけ金融商品が危険だと言う著者の気持ちは伝わって来る。

(2.0) Lリスクをとらないリスク 堀古英司 2014 クロスメディア・パブリッシング 世界的に見て日本人はリスク回避傾向が強く、少子高齢化がその傾向を強めている。長期的に見てリーマンブラザーズを救済せず自己責任ルールを守った意義がある。経済成長と格差拡大はコインの裏表の関係、日本の長期金利の上昇はない、投資の絶対ルール「いかなる時も退場はしない」・・・等々個人投資家には貴重な助言がなされている。

(2.5-) L世界最大の銀行を破綻させた男たち Iマーティン WAVE出版 スコットランドの地域銀行が英国主要銀行ナッツウェスト買収をきっかけに短期間に買収を繰り返し急成長、米国サブプライムバブルが弾ける最悪のタイミングでオランダABNアムロを買収し世界最大の銀行になった瞬間に信用危機のただ中で倒産し国有化の道を歩んだ事件を会計士上がりの社長フレッド・グッドウィンを中心に淡々と描いたもの。米国のリーマンショック関連のNF本に比べ踏み込み不足・説明不足で素人の私には散漫に感じ理解が進まなかった。  

(*.*) 2暁のひかり 藤沢周平 1986 文春文庫 江戸市井で道を外れて生きるはぐれ者とそれに関わる女の哀しい生きざま和描いた短編集。久し振りの藤沢時代小説は、いかにも”らしい作品で”読み易くあっという間に読み切り気分転換になった。

(*.*) L義民が駆ける 藤沢周平 1998 講談社 江戸時代後期にいわれなき理由で実施石高が半分になる国替えを命じられた庄内藩の百姓達が続々と江戸に向かい幕府に圧力をかけ、最後に命令を撤回させた天保の義民と呼ばれた百姓が起こした騒動を描いた物語。史実に忠実であろうとしたためか、最終決着をもたらした当時の幕閣等間の及び大名など関係者の力関係が曖昧で物足りなかった。

凡例:
 (0):読む価値なし (1)読んで益は無い (2):読んで損は無い
 (3):お勧め、得るもの多い  (4):名著です  (5):人生観が変わった 
 0.5:中間の評価、例えば1.5は<暇なら読んだら良い>と<読んで損はない>の中間
 -/+:数値で表した評価より「やや低い」、又は「やや高い」評価です。
2: 古本屋で手に入れた本
L: 図書館で借りた本
新: 「定価」で買った本
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3人目の正直

2016-05-10 20:58:08 | 通販・買い物
数年前に義弟に田舎に変わったブティックがあると連れて行かれたお店に、息子の嫁さんを連れて行った。そこは周りに殆ど家がない「五郎」駅の近くの洗濯屋みたいなたたずまいだった。車で近づいて行くと、息子は遠目に直ぐ「サラ」という店の名を見つけた。私はいまだにどこに店の名前が書いてあるのか分からない。

店に入ると右半分が臨時のレストランの準備中で、左半分に売り物の服が展示してあった。レストランは全席予約だった。確かリトアニアから輸入したリネンを使って自前のデザインで作った「作業服」風の服と記憶している。私には大正時代とか西部劇時代みたいな感じのするデザインの服だ。

実は義弟に連れて行かれた後直ぐに家内と娘に気に入った服があれば買ってやるよと言ったが、彼女達はネットで見て直ぐに好みじゃないとあっさり断られた。私が薦める服など端から信用してないなと思ったものだ。

嫁さんは少し見て肌触りの感触を確かめ、「私は嫌いじゃないよ」と答えた。白シャツと同じデザインの青いチェックのシャツが気に入ったようだ。息子はチェック、私は白、彼女は両方気に入ったと言った。特に後ろから見たシュルエットが良かった。よく見ると微妙な模様が洒落ていた。

遠方から子供を連れて実家に来て台所や風呂、洗濯機などを磨いてピカピカにしてくれたお礼に買ってあげると彼女に言い、女主人に値段を聞くと税抜きで1.1万円だという。何で木綿のシャツがこんな高いんだと思い、ついつい「エーッ!」と声が出た。ついでに値切ってみた。家内がいたら凄く叱られたところだ。

実は家内と娘に続いて、今回嫁さんに断られたら、もう誰にも紹介しない積りだった。なので嫁さんが気に入ってくれたのは内心嬉しかった。彼女は3人目の正直だった。翌日、彼女は早速白いシャツを着て家族でしまなみ海道ドライブに出かけて行った。■
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台風一過

2016-05-08 22:33:45 | 日記
長男家族が東京に帰って行った。午前中に高速道路を使いJR松山駅に家族を送り届け、帰りは国道56号線を南下し実家に戻った。ホッとした帰路は用心しないと危ないと心して運転した。東京から南下して来た強力な台風は長くて短い延べ5日間にわたり実家を直撃して去っていった。

2日目に内子町五十崎に行き凧合戦を見学した。旧五十崎町の小田川河川敷の凧合戦は400年の歴史があるそうで、私が子供の頃父に連れられて見学した記憶がある。それ以来だ。小学校の校庭が町指定の駐車場で、そこから10分程度歩いた河川敷が会場だった。

12時頃に100畳の大凧を上げる挑戦(揚がらなかった)を見学、1時間後に名物のケンカ凧を見た。だが、私には早々に飽きた子供の代わりに凧揚げに興じる嫁が一番の見物だった。その後、長男夫婦は子供を連れて上流の道の駅に行き水遊びをさせ、私は実家に戻り洗濯物の取入れや食器を洗った。私はお客じゃないので。

3日目は生憎の雨で、馴染みのレストランでイタリアンを頂いた。その後、家族の希望で市の山間部大川地区に「200匹の鯉のぼり」とやらを見学に行った。肱川の両岸に渡る鯉のぼりの眺めで子供達は喜んだが、我々の他に見物客が一人もいないのには驚いた。向いの公民館にいた人に聞くと前日、前々日は天候が良く沢山の人出で湧いたそうだ。私にはそれより隣の大きな建物の廃墟が廃校になった学校と聞いて物悲しさを感じた。

4日目は家族だけで尾道までしまなみ海道を往復した。ドライブ好きの嫁さんによると天候が回復した帰りの風景が素晴らしかったらしいが、子供達は熟睡、長男はドライブは単なる移動でしかなかったらしい。長男は無暗にスピードを出さない安全運転、嫁さんは私に似て結構スピードを出すのが好きだ。若いのに家族の為の安全運転をすると長男のことを評価していたのに、ポールに接触してドアを傷つけたと聞いて下手くそと思った。

こう書くと平穏に休みが進んだ様に思われるかも知れない。だが、5歳と2歳の幼児はとっても可愛いのに、突然体を捻じ曲げながら大声で泣き悪魔になる。冒頭述べた様に私には台風が直撃したように感じた。特に上の孫は2,3年前とは随分変わっていた。自分の思う通りにならないと大声で泣きじたばたする我儘な振る舞いをして驚いた。推測するに弟が生まれ幼稚園に通うようになったのが彼にとっての大きな環境変化だと思う。

私の3人の子供は親を手こずらせる様な振る舞いをして困らせられた記憶はない。子育ては母親任せだったので偉そうなことは言えないが。なのでどう仕付ければいいのか分からないと断って、孫の振る舞いは他人から見れば「親の顔が見たい」と思われる程酷いぞ、と息子に助言した。更に付け加えて、どうしようもない乱暴だった子供が大きくなって立派に成人した例も知っており、必ずしも心配することではないかもしれないと伝えた。

心配し過ぎかもしれないが、下の孫も兄の影響を受けているように感じた。息子は孫の変化は分かっているし、孫自身幼いながら我儘な振る舞いをしていると自分でも分かっていると言う。そうだとすれば、もうこれ以上深入りすべきではない。■
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誰がトランプを止めるか

2016-05-07 14:54:48 | ニュース
昨年後半頃からトランプ氏の異常な人気が気になり始め、今年の正月の「天邪鬼占い」で起こってはいけない5つの予測のトップに、「米国人の気が狂いトランプ氏が大統領になる」と予測した。そして先週インディアナ州の予備選で彼が共和党大統領候補になるのが決定的となった。昨年夏頃は冷やかし気味に記事を投稿したがまさかの現実になるとは。

今迄の世論調査に基づく大統領本選の予測では、ヒラリー氏の優勢は揺るがないように見える。だが、今年の初めは泡沫候補と思われ、最近まで共和党主流派のトランプ潰しが成功すると思われていたのに、その度に力をつけ生き残った力は侮れないと個人的には心配になって来た。とんでもない暴言で顰蹙を買う度に支持率が上がるのだから手に負えない。

こうなるとやはり、彼を支持する人達の方が気が狂っていると考え直したくなる。支持のベースは政策の中身ではない。主力支持層の低所得白人層の怒りが毎度指摘されている。しかも冷静な判断が出来ないほどに怒りが強いというのは説得力がある。だが、同時に心底馬鹿で判断能力に欠ける人達の合わせ技と私は感じる。やはり馬鹿の風が吹いている。

では誰がそんな連中の頭を冷やし冷静な判断が出来る様にすることが出来るだろうか。ヒラリーのような頭の良い人達が、理屈でトランプをやっつけるアプローチではダメな気がする。それでは肝心のトランプ支持層に届かないと思う。彼等のレベルに降りて行って感情で訴え、トランプを攻撃するスタイルでないと狂った人達の説得は難しいと思う。

オバマが大統領選はトランプが人気になったリアリティショーとは違うと強烈な皮肉を言ったが、多分トランプ支持者は好きな番組を非難されたように感じたはずだ。私は正攻法を避け「パナマ文書」にトランプ若しくは関連企業の名前を見つけるとか、彼が関わった合法的な節税法(富豪は何らかの手段でやってるはず)の詳細を調べ暴露することだと思う。

トランプの支持層はリーマンショック以来血税をつぎ込んで金持ちを救済する一方で、彼等は職を失い収入を減らされたことを許せないと思いメチャメチャ怒っている。これが盲目的なトランプ支持の理由だ。この種の情報は「トランプよ、お前もか」と一気に流れを変える可能性があると私は思う。彼等の怒りの震源地がここにある。

ということで、「誰がトランプを止めるのか」の答えは政策論ではなく、金融界の節税・脱税スキームと裏の業界情報通であると私は思う。真面目に政策論を戦わそうとすると、トランプの非常識な暴論が反ってきて判断力を失った人達の支持が増える事態になる。もしクソ真面目な政策論だけで戦う積りなら、クリントン陣営は作戦本部の人選を考え直した方が良い。■
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