8日(水)の倉敷藤花戦、中井広恵女流六段と鈴木環那女流初段の一戦は、中井女流六段の勝ち。環那女流初段も善戦したのだろうが、さすがにクイーン名人の壁は厚かった。次局、中井女流六段は、マッカランを賭けて石橋幸緒女流四段と対戦する。もうどっちが勝とうが興味はないが、いい将棋を見せてほしい。
(きのうのつづき)
白皙のS氏は、プロ棋士でいうと豊島将之六段、阿部健治郎四段、永瀬拓矢四段に似た感じの好青年だった。
将棋はS氏の角交換向かい飛車。私の若いころは、振り飛車は角交換を避けるべく角道を止めたものだが、21世紀の今日では振り飛車側が角道を開けっぱなしているばかりか、自ら角を換えてくる。まるであべこべだ。
▲8八銀の形にされたので、その手を継承して、玉頭に位を張る。自身の勝率は悪いが、私の好きな形である。S氏は△2五歩▲同歩△同飛。飛車交換はできぬので、私は▲2六歩と謝った。どうもおもしろくない。
次に△5九角と打たれると△2六角成が受けにくいので、さらに▲5八金と寄った。辛抱辛抱、また辛抱である。
S氏は1筋攻めを見せるが、私は防ぎようがないので、▲8五歩と伸ばす。S氏は狙いどおり端攻めを決行してきた。
△1六歩▲同歩△1八歩▲同香△1九角▲2七飛△2八歩。ここで▲4八金とじっと寄ったのが、(たぶん)S氏の見落としていた好手だった。△2九歩成は▲同飛で、△1九の角が助からないのだ。
しかし後手は分かっていてもそう進めるよりなく、▲2九同飛以下△5五桂▲1九飛△4七桂成(銀を取る)▲同金△2六飛▲8九飛△2七飛成と進んだ。この局面が下。
先手・一公:1六歩、1八香、3六歩、4六歩、4七金、5七歩、6七金、7五歩、7六銀、7七桂、7八玉、8五歩、8九飛、9七歩、9九香 持駒:角2、桂、歩3
後手・S氏:1一香、2七竜、3三桂、3四歩、4三歩、4四銀、5四歩、6一金、6三金、6四歩、7二銀、7三歩、8一桂、8二王、8三歩、9一香、9三歩 持駒:銀、歩
ここで指す手がまったく分からなかった。▲4八金は△1八竜で、この金を妙に助けにくい。困りはてた私は▲4八金と引かず▲5六角と打ったが、△5五歩と催促され、▲8四歩△5六歩▲8三歩成△同銀▲8四歩△9四銀▲5六金右(▲8六桂が最後の勝負手だった)△1八竜以下、惨敗した。
感想戦では、▲5六角で▲5六金右と逃げるのが正着とされた。言われてみれば当たり前の手だが、この手がまったく見えていなかった。以下△1八竜▲6八歩と進むのだろうが、ここで後手の指す手がむずかしい。S氏は△9四歩を示したが、これでは「後手からの攻めがありません」と白状したようなもの。
先手からは▲8四歩△同歩▲8五歩や、単に▲4一角など、指したい手がいくらでもある。
ということは、こちらの模様がいいということか。大野八一雄七段がいらしたので、検討に加わっていただくが、本譜▲5六角が悪手と断罪されたのは当然として、変化△9四歩以降は、▲4一角△5二香▲3二角成△5五歩に▲6六金寄の味が抜群によく、やはり先手おもしろい、との結論に達した。
元奨励会員は、私たち一般アマより鍛えが違う。私はS氏と対局するにあたり、恥ずかしくない将棋だけを指そう、と心掛けたが、中盤でポッキリいってしまったものの、私が有利になる順もあり、少し自信のついた一局だった。
なお、顔の広いW氏が、S氏を社団戦の選手に勧誘した。S氏は大学の将棋大会に出ねばならぬのでそちらを優先するが、何もなければ、参加はやぶさかでない、とのことだった。
我がLPSAは星組が4部、月組が5部で出場する。S氏がどちらに所属するかは分からぬが、もし参戦してくれれば、確実に星が計算できる選手として、たいへんな戦力になるだろう。
今回はちょっと早めに終了。といっても午後6時は過ぎていた。そのまま食事に移り、大野七段、S氏、W氏、R氏と川口サイゼリヤに向かった。
途中、植山悦行七段と電話が繋がり、懐かしい声を聴く。山口恵梨子女流初段といっしょだったからか、すこぶる機嫌がよかった。チッ…。
大野七段に、先日の竜王戦6組・吉田正和四段戦を聞いてみる。途中まで形勢がよく、優勢から勝勢になる順まであったとのこと。そんな将棋を逆転されて、大野七段は、数日間その局面が頭から離れなかったらしい。
もしこの将棋を勝っていれば、5組昇級が確定し、次は決勝トーナメント入りの将棋を指すことができた。返す返すも、残念な一局だった。
しかし今期も竜王戦6組は昇級者が5名なので、まだ昇級のチャンスは2回もある。昇級決定の暁には、W氏が音頭を取って、祝勝会を開くことになるだろう。
(きのうのつづき)
白皙のS氏は、プロ棋士でいうと豊島将之六段、阿部健治郎四段、永瀬拓矢四段に似た感じの好青年だった。
将棋はS氏の角交換向かい飛車。私の若いころは、振り飛車は角交換を避けるべく角道を止めたものだが、21世紀の今日では振り飛車側が角道を開けっぱなしているばかりか、自ら角を換えてくる。まるであべこべだ。
▲8八銀の形にされたので、その手を継承して、玉頭に位を張る。自身の勝率は悪いが、私の好きな形である。S氏は△2五歩▲同歩△同飛。飛車交換はできぬので、私は▲2六歩と謝った。どうもおもしろくない。
次に△5九角と打たれると△2六角成が受けにくいので、さらに▲5八金と寄った。辛抱辛抱、また辛抱である。
S氏は1筋攻めを見せるが、私は防ぎようがないので、▲8五歩と伸ばす。S氏は狙いどおり端攻めを決行してきた。
△1六歩▲同歩△1八歩▲同香△1九角▲2七飛△2八歩。ここで▲4八金とじっと寄ったのが、(たぶん)S氏の見落としていた好手だった。△2九歩成は▲同飛で、△1九の角が助からないのだ。
しかし後手は分かっていてもそう進めるよりなく、▲2九同飛以下△5五桂▲1九飛△4七桂成(銀を取る)▲同金△2六飛▲8九飛△2七飛成と進んだ。この局面が下。
先手・一公:1六歩、1八香、3六歩、4六歩、4七金、5七歩、6七金、7五歩、7六銀、7七桂、7八玉、8五歩、8九飛、9七歩、9九香 持駒:角2、桂、歩3
後手・S氏:1一香、2七竜、3三桂、3四歩、4三歩、4四銀、5四歩、6一金、6三金、6四歩、7二銀、7三歩、8一桂、8二王、8三歩、9一香、9三歩 持駒:銀、歩
ここで指す手がまったく分からなかった。▲4八金は△1八竜で、この金を妙に助けにくい。困りはてた私は▲4八金と引かず▲5六角と打ったが、△5五歩と催促され、▲8四歩△5六歩▲8三歩成△同銀▲8四歩△9四銀▲5六金右(▲8六桂が最後の勝負手だった)△1八竜以下、惨敗した。
感想戦では、▲5六角で▲5六金右と逃げるのが正着とされた。言われてみれば当たり前の手だが、この手がまったく見えていなかった。以下△1八竜▲6八歩と進むのだろうが、ここで後手の指す手がむずかしい。S氏は△9四歩を示したが、これでは「後手からの攻めがありません」と白状したようなもの。
先手からは▲8四歩△同歩▲8五歩や、単に▲4一角など、指したい手がいくらでもある。
ということは、こちらの模様がいいということか。大野八一雄七段がいらしたので、検討に加わっていただくが、本譜▲5六角が悪手と断罪されたのは当然として、変化△9四歩以降は、▲4一角△5二香▲3二角成△5五歩に▲6六金寄の味が抜群によく、やはり先手おもしろい、との結論に達した。
元奨励会員は、私たち一般アマより鍛えが違う。私はS氏と対局するにあたり、恥ずかしくない将棋だけを指そう、と心掛けたが、中盤でポッキリいってしまったものの、私が有利になる順もあり、少し自信のついた一局だった。
なお、顔の広いW氏が、S氏を社団戦の選手に勧誘した。S氏は大学の将棋大会に出ねばならぬのでそちらを優先するが、何もなければ、参加はやぶさかでない、とのことだった。
我がLPSAは星組が4部、月組が5部で出場する。S氏がどちらに所属するかは分からぬが、もし参戦してくれれば、確実に星が計算できる選手として、たいへんな戦力になるだろう。
今回はちょっと早めに終了。といっても午後6時は過ぎていた。そのまま食事に移り、大野七段、S氏、W氏、R氏と川口サイゼリヤに向かった。
途中、植山悦行七段と電話が繋がり、懐かしい声を聴く。山口恵梨子女流初段といっしょだったからか、すこぶる機嫌がよかった。チッ…。
大野七段に、先日の竜王戦6組・吉田正和四段戦を聞いてみる。途中まで形勢がよく、優勢から勝勢になる順まであったとのこと。そんな将棋を逆転されて、大野七段は、数日間その局面が頭から離れなかったらしい。
もしこの将棋を勝っていれば、5組昇級が確定し、次は決勝トーナメント入りの将棋を指すことができた。返す返すも、残念な一局だった。
しかし今期も竜王戦6組は昇級者が5名なので、まだ昇級のチャンスは2回もある。昇級決定の暁には、W氏が音頭を取って、祝勝会を開くことになるだろう。