一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

10日の注目局の結果

2016-02-11 13:58:27 | 女流棋士
昨日10日の新人王戦、石田直裕四段対渡部愛女流初段の一戦は、石田四段の勝ち。
またマイナビ女子オープン本戦準決勝、清水市代女流六段対室谷由紀女流二段の一戦は、室谷女流二段が勝った。
私はあまり経過を見ることができなかったが、この2局を振り返ってみたい。

まず石田―渡部戦は相矢倉。後手の渡部女流初段は△7五歩▲同歩△同角。ここで▲6五歩の一手と思いきや、石田四段が平然と右桂を跳ねたのでビックリした。
渡部女流初段はもちろん△7四銀。先日の川口大野・植山教室の一公―Shin戦みたいで、これでは先手が作戦負けではないか?
しかし石田四段は悠然と▲7六銀。なるほど、こう立つものか! 私は後に▲7六歩と謝ったから、その違いは月とスッポンだ。
渡部女流初段△4二角に、石田四段は▲6五銀! これに渡部女流初段が△8三銀と引いたので、別の意味で驚いた。△6五同銀では▲同歩で先手がのびのびするのでアレだが、それでも△8三銀は指せない手だ。
さらに▲4六角△9二飛▲7四歩に、△7二銀!!とさらに屈服。でもこれじゃ駒の勢いが違い過ぎて、後手に未来がない。将棋は実質的にここで終わったのではないだろうか。
以下は石田四段が快調に攻めて勝ち。渡部女流初段は先日の女流名人戦・清水女流六段戦でもつまらぬ受けを連発して敗退したが、本局でも持ち味が全然出ていなかった。
渡部女流初段の本質はその鋭い攻めにある。もっと積極的に指すべきである。

続いて清水―室谷戦。後手番室谷女流二段の四間飛車で始まった本局、昼休みの時点では室谷女流二段の飛車が5筋にいた。しかも先手の歩が▲7七に下がっている。
これはどういうことかと思いきや、△7六飛の王手に▲7七歩と受けていたのだった。しかしこれ、私には到底打てない歩である。少なくとも川口大野・植山教室では、この類の手を嫌う。某七段だったら「破門」と吐き捨てるだろう。
ところが清水女流六段の強さは、常人が捨てる手を平気で採用するところにある。馬を取るために金を僻地に打ったり、端攻めを受けるために金を打ったりする。この▲7七歩もそうで、一時的には屈辱でも、後の▲7六歩を楽しみに辛抱したものだ。
いやしかしやっぱり、これでは辛いと思う。こうならないように、その数手前で修正する手はなかったのか。
遡って、序盤早々の▲5五歩がどうだったのか。私もOg氏の振り飛車に5筋位取りを指すことがあるが、Og氏は決まって△5二飛から反撃してくる。しかし本局の清水陣は両銀が立ち遅れている。どうやって迎え撃つのかと思いきや、上記の順になってしまった…。
これは清水女流六段、ちょっと軽率だったのではないか。
以下、室谷女流二段が軽快に攻めて勝ち。内容は完璧で、解説・及川拓馬六段の指し手とほとんど同じ手を指していた。また外れていても、その読みの上をいく手を指していた。
室谷女流二段は、対局にテレビ将棋の記譜読み上げ、タイトル戦の聞き手、イベント出演、普及と殺人的に忙しい。とても将棋の勉強をする時間はないと思うが、対局以外の「仕事」でも将棋がらみであって、そこでみなの教えを吸収しているのだろう。
つまり室谷女流二段が男性棋士に勝ったのは、フロックではなかった。これは挑戦者決定戦の西山朋佳奨励会三段戦も、大いに期待できる。
コメント
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