一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

「第33回・将棋ペンクラブ大賞」発表

2021-07-23 01:22:23 | 将棋ペンクラブ
このたび、「第33回・将棋ペンクラブ大賞」の各賞が決まった。当ブログでこの賞に関心のある読者がどれだけいるか分からないが、ヒトが取り上げない記事を掬う?のが当ブログの特色である。では発表する。

最終選考委員:木村晋介(将棋ペンクラブ会長、弁護士、作家)、西上心太(文芸評論家)、所司和晴(棋士)

【観戦記部門】
大賞:
椎名龍一 「第78期名人戦七番勝負第1局」 豊島将之名人VS渡辺明三冠(毎日新聞)

優秀賞:
上地隆蔵 「第10期女流王座戦五番勝負第1局」 西山朋佳女流王座VS里見香奈女流四冠(日本経済新聞)

観戦記部門はタイトル戦のそれが入賞することが多い。昨年も一昨年もそうだった。やはり一局の将棋を長期間書けること、予選や本戦と違い持ち時間が長いので熱戦が多いこと、対局場その他の描写で場を盛り上げることができること、などが理由に挙げられると思う。
ただし選考委員は面白い観戦記を選ぶのみなので、ここに変な観点が入ってくると、却っておかしなことになる。結局、いままで通りの選考をするしかない。
大賞の椎名龍一氏はベテラン観戦記者で、昨年は優秀賞だった。今年はようやく念願が叶った格好だ。
上地隆蔵氏も実力のある書き手で、優秀賞くらいの受賞は当然である。

【文芸部門】
大賞:
樋口薫『受け師の道 百折不撓の棋士・木村一基』(東京新聞)

優秀賞:
奥泉光『死神の棋譜』(新潮社)

樋口薫氏は東京新聞文化部記者。奥泉光氏はもちろん作家で、今回はプロの書き手が選ばれた。
将棋がテーマの小説は九分九厘候補に挙がり、入賞率も高い。そりゃ文章のプロなのだから当然といえば当然だ。
だが何というか、ほかの候補作と一緒の土俵で選考することに違和も感じる。といって他に代わる手も分からないので、このままやっていくしかないのだろうが、うーむ……。というところである。

【技術部門】
大賞:
あらきっぺ(荒木隆)『現代将棋を読み解く7つの理論』(マイナビ出版)

優秀賞:
高野秀行、岡部敬史、さくらはな。『「初段になれるかな」大会議』(扶桑社)

特別賞:
株式会社 文藝春秋
多くの「観る将棋ファン」に喜ばれ支持された以下の雑誌・書籍の出版・コンテンツの提供を行ったことに対して。
・Sports Graphic Number 1010号 藤井聡太と将棋の天才。
・Sports Graphic Number 1018号 藤井聡太と将棋の冒険。
・文春オンライン「観る将棋、読む将棋」
・文春ムック『文春将棋 読む将棋2021』
・文春ムック『阿川佐和子のこの棋士に会いたい』
・オール讀物2021年2月号「将棋」を読む
・週刊文春連載「師匠はつらいよ」(杉本昌隆八段)の企画立案

大賞は不覚にも存じ上げなかった。
優秀賞は「初段になれるかな」シリーズで、内容はけっこう高度なことを書いている。そこをさくらはな。さんの癒し系マンガが中和しているという構成だ。
特別賞の文藝春秋社は、2020年4月からの1年、実に素晴らしい将棋本を発行した。とくにスポーツ専門誌「Number」に将棋を載せたことが大ヒット。よくこの企画が通ったと思う。
内容は、文章はもちろんだが写真が美しく、機内誌を読んでいるような崇高さがあった。今後の企画本も楽しみである。

恒例の「将棋ペンクラブ大賞贈呈式」は、例年なら9月下旬だが、このご時世なので未定である。当局で何か動きがあれば、当ブログでもお知らせする。
なお最終選考会での選考過程・討議内容は、9月発行の「将棋ペン倶楽部」会報秋号に掲載される。

(ペンクラブだけに、ふみの日にアップしてみた)
コメント (2)
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