初手からの指し手。△6二銀▲7六歩△5四歩▲5六歩△5三銀▲4八銀△4二玉▲2六歩△3二玉▲2五歩△4二金▲6八銀△6四歩▲6六歩△5二金右▲7八金△6二飛(第1図)
序盤はいつも通りだが、17手目に大野八一雄七段が△6二飛ときた。いつもは右金がスルスルと進出してくるのだが、本局は飛車で歩の交換をしようというものだ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/38/91/b98ce00d2c1eefa5980847617d95556a.png)
第1図以下の指し手。▲6七銀△6五歩▲同歩△同飛▲5七銀△6二飛▲6六歩△2二銀▲4六歩△4四歩▲6九玉△3四歩▲2四歩△同歩▲同飛△4三金直▲2八飛(第2図)
私は▲6七銀と上がり、雁木とした。そして△6五歩▲同歩△同飛に▲5七銀と上がったが、駒がやや左に偏り、予定の進行なのに、イヤな予感がした。
△3四歩に、飛車先の歩を交換しなければしょうがないから▲2四歩としたが、大野七段は待ち受けるところだったようだ。▲2八飛に次の手が大野流。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/01/cb/8c37d4e325bad04b20892399804a4e19.png)
第2図以下の指し手。△3五歩▲3八金△3四金▲4七金△2三銀▲3六歩△同歩▲同金△3五歩▲2五金△同金▲同飛(第3図)
第2図から△3五歩が大野流。この後2~3筋から金銀を盛り上げてゆき、ゆくゆくは飛車も△6一~△2一と応援するのだろう。私が▲5七銀と上がったこと、▲3六歩を突かなかったから生じた順で、私はこの展開になって勝ったことがない。ちょっと気が早いが、この将棋はもう勝てないと思った。
それでも私は右金を応援に上がり、▲2五金から金交換を果たした。この展開ならまずまずと思ったのだが……。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7a/7c/67951bff373e9ca60a60d1fc56d9c0de.png)
第3図以下の指し手。△3四金▲2八飛△2五歩▲3七歩△3三桂▲5八銀△2四銀▲1六歩△1四歩▲4七銀△2三玉▲2七歩△4三金▲6七金(第4図)
大野七段は惜しげもなく△3四金と投入した。△3五の位は生命線のようだ。これが平手戦ならありがたく思うが、相手は百戦錬磨のプロである。がっちり位を確保されて、やはり悪いのかと思ってしまう。
△2五歩には▲3七歩と我慢する。△3三桂には▲5八銀とし、のちの▲4七銀を目指した。
△2四銀に▲1六歩は、のちに端攻めの筋を与えて一長一短だが、ふつうに△1五銀と出られるのも嫌味だ。
△2三玉には▲2七歩とまたも謝り、△4三金には▲6七金と上がった。飛車は2筋で使えないので、場合によっては振り飛車にするつもりである。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/08/cb/eb49b5eda5fc771a2b573fb37366ecec.png)
第4図からの指し手。△1五歩▲同歩△1六歩▲同香△1五香▲1七歩△1六香▲同歩△1五歩▲同歩△同銀▲3八銀△1二飛▲1八歩(第5図)
ここでほかの指導対局が終わり、その感想戦が熱を帯びて、恐ろしく長い時間が経過した。感想戦の合間にこちらをテキトーに指してくれてもいいのだが、そうもいかないらしい。
感想戦が終わり、大野七段は「まあいいか」と△1五歩。やはり端攻めがきたが、以下の進行はいかにも強引な気がした。
上手が1歩を損して△1五同銀。私は▲3八銀と引いたが、△1二飛に▲1八歩と受けて、飛車が随分窮屈になってしまった。しまった、端の応接をしている間に、飛車を転回することをすっかり失念してしまった。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2a/bb/537b8dbae4a7d39b7b3de670cd93be94.png)
第5図以下の指し手。△2四銀▲6五歩△7四歩▲9六歩△7三桂▲7七桂△6四歩▲1七香△6二飛▲1四金△3二玉▲6四歩△同銀▲6六歩(第6図)
私の飛車が窮屈で、上手に銀か桂を持たれたらアウトだ。△2四銀に▲6五歩は争点を与えて損な気もしたが、角を働かせないとしょうがない。
しかし△7三桂に▲7七桂と対抗したのはどうだったか。角道を止めて良くなかったかもしれない。
△6四歩には歩切れを衝いて▲1七香。ただ、▲1四金△3二玉に▲2四金△同金▲1三香成は△6五歩で下手が負ける。ということは▲1七香からの手順が芳しくなかったわけで、ここで形勢を損ねた。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5e/29/5aefa3ac0bf28722da728ee24035bedb.png)
第6図以下の指し手。△4五歩▲同歩△同桂▲6八銀△3三銀▲4六歩△5五歩▲4五歩△同金▲2六歩△1三歩▲同金△5六歩▲2五歩△3四金(第7図)
大野七段は△4五歩から攻めてきたが、私は落ち着いて▲6八銀~▲4六歩とし、桂を取り切った。この間△3三銀とされて▲1四金が空振りしてしまったが、こちらも金を渡したくない意味はある。それに現実の桂得は大きく、冷静に見れば、まだ下手も指せるのではないかと思った。
▲2六歩は亀の歩みだが、代わる手が分からなかった。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5f/7d/d37c5ba30d3349ece5986e4c2524cbdc.png)
(つづく)
序盤はいつも通りだが、17手目に大野八一雄七段が△6二飛ときた。いつもは右金がスルスルと進出してくるのだが、本局は飛車で歩の交換をしようというものだ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/38/91/b98ce00d2c1eefa5980847617d95556a.png)
第1図以下の指し手。▲6七銀△6五歩▲同歩△同飛▲5七銀△6二飛▲6六歩△2二銀▲4六歩△4四歩▲6九玉△3四歩▲2四歩△同歩▲同飛△4三金直▲2八飛(第2図)
私は▲6七銀と上がり、雁木とした。そして△6五歩▲同歩△同飛に▲5七銀と上がったが、駒がやや左に偏り、予定の進行なのに、イヤな予感がした。
△3四歩に、飛車先の歩を交換しなければしょうがないから▲2四歩としたが、大野七段は待ち受けるところだったようだ。▲2八飛に次の手が大野流。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/01/cb/8c37d4e325bad04b20892399804a4e19.png)
第2図以下の指し手。△3五歩▲3八金△3四金▲4七金△2三銀▲3六歩△同歩▲同金△3五歩▲2五金△同金▲同飛(第3図)
第2図から△3五歩が大野流。この後2~3筋から金銀を盛り上げてゆき、ゆくゆくは飛車も△6一~△2一と応援するのだろう。私が▲5七銀と上がったこと、▲3六歩を突かなかったから生じた順で、私はこの展開になって勝ったことがない。ちょっと気が早いが、この将棋はもう勝てないと思った。
それでも私は右金を応援に上がり、▲2五金から金交換を果たした。この展開ならまずまずと思ったのだが……。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7a/7c/67951bff373e9ca60a60d1fc56d9c0de.png)
第3図以下の指し手。△3四金▲2八飛△2五歩▲3七歩△3三桂▲5八銀△2四銀▲1六歩△1四歩▲4七銀△2三玉▲2七歩△4三金▲6七金(第4図)
大野七段は惜しげもなく△3四金と投入した。△3五の位は生命線のようだ。これが平手戦ならありがたく思うが、相手は百戦錬磨のプロである。がっちり位を確保されて、やはり悪いのかと思ってしまう。
△2五歩には▲3七歩と我慢する。△3三桂には▲5八銀とし、のちの▲4七銀を目指した。
△2四銀に▲1六歩は、のちに端攻めの筋を与えて一長一短だが、ふつうに△1五銀と出られるのも嫌味だ。
△2三玉には▲2七歩とまたも謝り、△4三金には▲6七金と上がった。飛車は2筋で使えないので、場合によっては振り飛車にするつもりである。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/08/cb/eb49b5eda5fc771a2b573fb37366ecec.png)
第4図からの指し手。△1五歩▲同歩△1六歩▲同香△1五香▲1七歩△1六香▲同歩△1五歩▲同歩△同銀▲3八銀△1二飛▲1八歩(第5図)
ここでほかの指導対局が終わり、その感想戦が熱を帯びて、恐ろしく長い時間が経過した。感想戦の合間にこちらをテキトーに指してくれてもいいのだが、そうもいかないらしい。
感想戦が終わり、大野七段は「まあいいか」と△1五歩。やはり端攻めがきたが、以下の進行はいかにも強引な気がした。
上手が1歩を損して△1五同銀。私は▲3八銀と引いたが、△1二飛に▲1八歩と受けて、飛車が随分窮屈になってしまった。しまった、端の応接をしている間に、飛車を転回することをすっかり失念してしまった。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2a/bb/537b8dbae4a7d39b7b3de670cd93be94.png)
第5図以下の指し手。△2四銀▲6五歩△7四歩▲9六歩△7三桂▲7七桂△6四歩▲1七香△6二飛▲1四金△3二玉▲6四歩△同銀▲6六歩(第6図)
私の飛車が窮屈で、上手に銀か桂を持たれたらアウトだ。△2四銀に▲6五歩は争点を与えて損な気もしたが、角を働かせないとしょうがない。
しかし△7三桂に▲7七桂と対抗したのはどうだったか。角道を止めて良くなかったかもしれない。
△6四歩には歩切れを衝いて▲1七香。ただ、▲1四金△3二玉に▲2四金△同金▲1三香成は△6五歩で下手が負ける。ということは▲1七香からの手順が芳しくなかったわけで、ここで形勢を損ねた。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5e/29/5aefa3ac0bf28722da728ee24035bedb.png)
第6図以下の指し手。△4五歩▲同歩△同桂▲6八銀△3三銀▲4六歩△5五歩▲4五歩△同金▲2六歩△1三歩▲同金△5六歩▲2五歩△3四金(第7図)
大野七段は△4五歩から攻めてきたが、私は落ち着いて▲6八銀~▲4六歩とし、桂を取り切った。この間△3三銀とされて▲1四金が空振りしてしまったが、こちらも金を渡したくない意味はある。それに現実の桂得は大きく、冷静に見れば、まだ下手も指せるのではないかと思った。
▲2六歩は亀の歩みだが、代わる手が分からなかった。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5f/7d/d37c5ba30d3349ece5986e4c2524cbdc.png)
(つづく)