一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

第71期王将戦第1局

2022-01-11 00:03:29 | 男性棋戦
渡辺明王将(名人、棋王)に藤井聡太竜王(王位、叡王、棋聖)が挑戦する第71期王将戦七番勝負が9日に開幕した。三冠対四冠の対決は史上初だそうで、言われてみれば確かにそうだ。
第1局の対局場は恒例の「掛川城二の丸茶室」で、これは2012年から続いている。天守は1996年の再建で、私もかつて訪れたことがある。木造の純和風で、天守の感想としてはアレだが、日本建築の粋を見た気がしたものだ。
渡辺王将はこの地で6戦全勝と縁起がよく、藤井竜王は「いやなデータを聞いてしまった」と語ったという。ただしここまでの対戦成績は渡辺王将2勝、藤井竜王8勝で、藤井竜王が「そのデータを破ってやる」の意気込みで臨んだのは想像に難くなかった。
将棋は藤井竜王の先手で、相掛かりとなった。手将棋風のこの戦型、私にはどこが急所だかまるで分からぬがそこはそれ、無料のネット中継もなかったから、私は王将戦ブログやネット掲示板のコメントで、何となく進行を見守ったのであった。
そんな41手目、藤井竜王が懐を拡げた手が、常識外の手だった。一見して「お手伝い」で、相手から見たらありがたく思える。実際立会人の森内俊之九段は、「何が起きたか分からないぐらいの衝撃。初心者が指したら『何だ、この手は』と怒られそう」とコメントした。
だが名人ならぬ「竜王に定跡なし」で、かつて中原誠名人が筋悪の一段金を打って涼しい顔をしていたように、藤井竜王も自信を持って指したのだろう。令和の現代では、何を指しても一定の理解を得られるようになった。
形勢は互角で2日目に入り、ゆるやかに終盤戦に突入する。局面は渡辺王将有利と言われながらも、実戦的には難しかったようである。
そしてついに、双方1分将棋になった。タイトル戦での「双方1分」は珍しく、それだけでも熱戦の証となる。王将戦はタイトルの序列7位だが、不思議と毎年、熱局が繰り広げられるのだ。
私も、無料の中継があったらかじりついているところだが、ないものはしょうがない。私は「ネプリーグ」を見て、無聊を慰めたのであった。
結局最後は、藤井竜王の勝ち。難解な17手詰を発見したという。まあ、予期した結果ではあった。
さて通常なら「挑戦者が勝って面白くなった」というところだが、通算勝率8割3分のモンスターが勝っては、面白味も半減である。こういうねじり合いの将棋こそ、渡辺名人が取らねばならなかった。
こうなると豊島将之九段同様、渡辺名人も藤井竜王相手に残りを4勝2敗で乗り切るのは至難の業で、早くも藤井竜王の王将奪取が濃厚になった。
まったく藤井竜王が強すぎて、どうしようもない。
コメント
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