一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

第48期女流名人戦第1局

2022-01-16 22:53:25 | 女流棋戦
きょう16日は、第48期女流名人戦第1局が行われた。女流名人は、現在12連覇中の里見香奈女流五冠。挑戦者は伊藤沙恵女流三段である。
伊藤女流三段の女流名人戦登場は3度目だが、過去2回はもちろん里見女流名人に屈している。そのほかの棋戦でも6回タイトル戦に登場しているが、いずれも奪取ならず。私は特定のファン以外、誰がどのタイトルを獲ってもいいと思っているが、伊藤女流三段にはタイトルを獲らせてやりたい。そんな将棋ファンは多いと思う。
第1局は伊藤女流三段の先手で、▲2六歩△3四歩▲2五歩△3三角▲7六歩となった。
ここで△4四歩なら里見女流名人得意の振り飛車になるが、角道を止めるのが気に入らないのか、里見女流名人は△4二銀と上がった。
里見女流名人は居飛車も指すが、相居飛車戦はさすがに伊藤女流三段の土俵だ。この選択は里見女流名人に分が悪いのではないかと思った。
伊藤女流三段、角を換わって▲5三角に、里見女流名人△5五角。△4四角と合わせず△5五角と天王山に据えたのは▲7七桂を強要して、のちにその桂頭を攻める意味だ。
果たして里見女流名人は△7五歩と突き捨て、△7二飛。以下▲6六歩△7五飛に、私は▲7六歩△同飛▲6七金△7二飛▲7六歩くらいが相場と思ったのだが、伊藤女流三段はたんに▲6七金(第1図)。

この素朴かつ力強い金上がりを里見女流名人は軽視していたのではなかろうか……と思ったら、類似局面で実戦例があり、両者とも想定内だったようだ。実際、▲6七金で▲7六歩△同飛▲6七金には、△6六飛の強襲があったのかもしれない。
実戦に戻り、里見女流名人は当然△7六歩と打つが、▲6五桂が幸便の跳躍だ。以下△6四銀に▲5四馬で、伊藤女流三段の駒が生き生きと働いている。
ここで△6五銀は、▲同馬なら△同飛▲同歩△9九角成で後手がいいが、△6五銀には黙って▲5五馬で先手勝勢。
よって里見女流名人は△4四銀と増強したが、伊藤女流三段は▲5六歩と角取りに突き、里見女流名人に攻めを催促した。
里見女流名人は△6五銀。▲同馬△同飛に、▲同歩は前述のとおり△9九角成で後手優勢。よって伊藤女流三段は▲5五歩(第2図)と飛車を取ったが、これが当然ながら好手。

この展開は伊藤女流三段の得意とするところで、指していて楽しくなったに違いない。
以下も伊藤女流三段の指し手が冴え、113手まで伊藤女流三段の勝利となった。
先の王将戦とは違い、今シリーズは挑戦者が勝ったことで面白くなった。両者の対戦成績はこれで、里見女流名人21勝、伊藤女流三段7勝となったが、伊藤女流三段に苦手意識はないだろう。第2局以降が楽しみである。
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