一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

林葉直子さん待望論

2009-04-16 01:15:46 | 将棋雑考
林葉直子さんについては、あらためて説明するまでもないだろう。
「女流王将」10連覇をはじめ錚々たる棋歴を残したが、15年ほど前、棋界内でちょっとしたトラブルに巻き込まれ、断腸の思いで将棋界から離れてしまった、伝説の女流棋士である。
林葉さんの美しさは他の女流棋士を圧倒していて、そこに「若い」「強い」が加わっていたから、当時の人気は凄まじいものだった。将棋を趣味にしていた男子にとって、彼女はまさに、ヒロインそのものであった。
私は先日、ある調べ物で20年前の「将棋年鑑」を久しぶりに開いたのだが、女流棋士の写真を見ると、林葉さんの美しさはやはり群を抜いていた。彼女は生粋の博多っ子なのだが、目鼻立ちがハッキリしていて、ハーフのような気高さがある。もう、ほかの女流棋士とは格が違う感じであった。いま彼女はアラフォーのいいオンナだが、その美しさにいささかの衰えもない。
そんな林葉さんは現在ブログを開設していて、更新はかなりまばらだが、最低限の近況は教えてくれている。
それを読むと、現在は九州に戻り、御母堂と暮らしているらしい。
ここで私が気になるのは、その文章の中に、「住職と将棋を指した」とか「静かに将棋を指すのがいい」とか、けっこう「将棋」という単語が出てくることなのである。
現在彼女の職業は「タロット占い師」と「作家(マンガの原作)」のふたつだろうが、マンガの原作は将棋がテーマだし、ブログのプロフィールにも、「元女流棋士」と、ハッキリ記されている。
小さいころから将棋に触れてきたのだ。そんな林葉さんが、そう簡単に将棋を忘れられるわけがない。
そんな彼女の将棋を、私はもう一度見てみたいと以前から熱望していた。しかし日本将棋連盟が彼女を表舞台に立たせるわけがない。そこで日本女子プロ将棋協会(LPSA)の登場である。代表理事の中井広恵女流六段は林葉さんとの長年の戦友である。ひょっとしたらいまでも、メールなどで交流を続けているかもしれない。中井女流六段を通じて、なにかアプローチはできないか。
幸いLPSAには「1DAYトーナメント」がある。
同トーナメントは、出場者が全員LPSA所属の現役棋士のときもあれば、男性アマ強豪を招いてのペア戦のときもある。アイリスなどアマチュア女子強豪を招いてのリーグ戦もあれば、今月に行う「どうぶつしょうぎ」もある。つまり出場資格になんの制約もないのだ。
そこで、である。林葉さんに出場する意思があれば、が大前提になるが、どこか奇特な方が、林葉直子さんの出場を条件に、1DAYのスポンサーになってくれないかと思うのだ。
むろん彼女は将棋界の「元大物」だけに、出場が決まれば、周りへの影響はたいへんなものとなる。社会的ニュースになるかもしれない。まだ林葉さんへの偏見を持っている人は嫌悪感を示すだろうし、いままで健全な活動を行ってきたLPSAのイメージが崩される懸念もある。いやLPSAの中にでさえ、林葉さんの出場を快く思わない棋士もいるかもしれない。
それらをクリアして出場の運びとなっても、大口のスポンサーに一言断りを入れる必要もあろうし、日本将棋連盟への挨拶もいるだろう。たったひとりの女性を出場させるために、いろいろと高いハードルがあるのである。
それでも私は林葉さんの将棋が見たい。あの林葉振り飛車の奔放な指し回しを、もう一度見たいのだ。以前も書いたが、「過去なんて生ゴミ」なのである。私には15年前の件なんて、どうでもいい話なのだ。
「願えば夢は叶うもの」と言ったのは林葉さんだっただろうか。いつか「その日」が来ることを、私は楽しみに待っている。


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マイナビ女子オープン延期に思うこと

2009-04-15 00:31:13 | 将棋雑考
14日夜、マイナビ女子オープン共催各社から、17日(金)に倉敷市で行われる第1局は延期、倉敷対局は中止と発表された。挑戦者・岩根忍女流二段の5月出産予定が、4月21日ごろに早まったから、らしい。
結果論だが、私に言わせれば「言わんこっちゃない」という感じであった。
私は縁あって、中村真梨花女流二段と岩根忍女流初段(当時)の挑戦者決定戦を間近で拝見する機会に恵まれた。そのときの印象では、仮に岩根初段が挑戦者になったら、4月17日の開幕局の対局はむずかしいのではないか、というものだった。あまりにもお腹が大きくなっていて、辛そうなのが傍目にも分かったからである。実際私は後日、この懸念を、某男性棋士に吐露している。
私は男なので妊娠の経験はないが、出産予定日なんてあってないようなもので、2、3週間の早産は珍しくないのではないか。それなのに第1局の日程をズラさなかったのは、第1局が倉敷市での開催だったからだと思う。
対局者が身重でも、記念すべき開幕局は地方でのイベントとして大々的に盛り上げたい、というのが関係各社の共通認識だったのではないか。
その一方で「両対局者に万全の態勢で将棋を指してほしい」ともいうのなら、やはり対局そのものを早くから延期決定すべきだったと思う。
告知の時期を逸するといろいろな弊害や損害が出てくる。倉敷対局が中止となった現在、もう刷り上っているであろう大量のパンフレットやポスターはどうなるのだろう。当然廃棄だ。
またツアー観戦の問題がある。まあこれは、キャンセルになっても申込者に全額が戻ってくるからいいが、フリーで倉敷行きを決めていた一般将棋ファンの扱いはどうなるのだろう。新幹線のチケットは? 「旅割」で取った飛行機は? 宿の予約は? これらのキャンセル料は各自自腹であろう。
書き遅れたが、岩根女流二段に非はまったくない。これからゆっくり養生して無事に赤ちゃんを出産し、対局に復帰すればいいだけの話である。この責任は、先の展開を読み誤った各社にある。
倉敷市のショックもいかばかりか。しかし私は、倉敷市には同情しない。
担当部署は違うかもしれないが、倉敷市には、昨年2月11日の倉敷藤花戦第1局で、日本女子プロ協会を排斥した前科があるからだ。あのときのファンの怨念が、こんな形で噴出した、と言ったら穿ちすぎだろうか。
いまはただ、6月に開催されるマイナビ五番勝負に、両対局者が全力を出して戦ってくれることを祈るだけである。
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金曜サロン・船戸陽子女流二段①

2009-04-12 16:08:41 | LPSA金曜サロン
10日の金曜サロン、夕方担当は船戸陽子女流二段だった。船戸女流二段は女流棋士にしてソムリエールの顔も持つ、異色の棋士である。
船戸女流二段は金曜サロンにも毎月顔を出してくれるが、マンデーレッスンの講師を第1回から務めており、そちらのイメージのほうが強い。
そんなこともあって、船戸女流二段は会員への指導がたいへんうまい。金曜サロンでは初級者から有段者まで、個々の棋力に見合った指導、指し方をしてくれる。
私は先日の日記で「女流棋士との個々の指導対局成績は書かない」と書いたが、早くも禁を破って、船戸女流二段との成績を記す。4月10日の1局も入れた、計13局の勝敗である。

○○○●○●○●○●○●○

いかがであろうか。ちなみに手合い割は最初の1局が角落ち、2~6局が香落ち、7~13局が平手である。この13対局は、棋士との指導対局では最多。その記念すべき第1局目は昨年5月、将棋ペンクラブ関東交流会での席だったが、そのときは船戸女流二段との対局はこれが最初で最後と覚悟していた。それを思うと、以降11ヶ月でこの数字には、感慨深いものがある。
ところで星の動向を見ると、緒戦の角落ちはともかく、香落ち以降は見事に白星と黒星が交互に付いている。まあこれは偶然だろうが、船戸二段に星を調節されている感がなくもない。
というのも、香落ちの対局で45手で吹っ飛ばされたときもあれば、平手の対局でこちらが敗勢になっても、下手必死の勝負手に「(玉を)あぶないところへ逃げてみる」と、あえてチャンスをくれたときもあったからだ。
船戸女流二段は気配りの人なのだ。実例を挙げればキリがないが、あるときサロンで、会員のひとりがある男性棋士の名字を間違えて言ったことがあった。そのとき船戸女流二段がその話を受けて、私に「ホントに○○先生、指導がお上手ですよね」と言った。
第三者へ自然に話を振ることで、会員に恥をかかせることなく、その棋士の正しい読みを教えてくれたのだ。
昨年10月の将棋ペンクラブ大賞贈呈式にも、船戸女流二段はエレガントな衣装で参加してくれた。さらに二次会でも甲斐甲斐しく振る舞ってくれ、焼酎のお湯割りを作るときなどは、さすがソムリエールだけに流れるような動きで、四ツ谷の居酒屋が銀座のクラブに思えたものだった。
船戸女流二段は才能がありすぎて、将棋に専念できないところがあるのが残念だ。しかし彼女の将棋には「泣き」が入っている。将棋の勉強ができない不利は、根性で頑張ってくれるだろう。
どこからどんな邪魔が入ろうと、これからも私は船戸女流二段を勝手に応援する。
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金曜サロン・松尾香織女流初段①

2009-04-11 15:50:29 | LPSA金曜サロン
日本女子プロ将棋協会(LPSA)が開席している金曜サロン、10日の担当は昼が松尾香織女流初段、夕方が船戸陽子女流二段だった。
松尾女流初段に初めて教えていただいたのは昨年の3月21日、夕方の部。当時私は女流棋士との初対局では角を落としていただいていたので、そのときの手合いも角落ちだった。
金曜サロンの開席時間は午後2時から9時までだが、このときはほかの指導対局が長引いて、私との対局は9時近くになっていた。だから松尾初段が「もう時間ですので」と帰ってしまっても、何ら問題はなかった。しかし松尾初段は快く対局時間を作ってくれたうえ、「遅くなってごめんなさい」と何度も謝ってくれ、かえってこちらが恐縮してしまった。
ほかの対局は全部終わっていたので、畏れ多くも1対1での対局となった。これを贅沢な時間という。
その将棋は中盤までこちらが指せると思っていたのだが、一失があり上手が優勢に。しかし上手にも緩手が出、こちらに飛角両取りを避ける角上がりが指せて、下手が再び息を吹き返した。
最後はこちらに詰めろがかかったのだが、何とか上手玉を詰まして、ほっと胸をなでおろしたのを憶えている。
この対局で感心したのは、松尾女流初段の大局観だった。対局中は、終盤はこちらがだいぶ余していると思ったのだが、感想戦で松尾女流初段は「△6五桂が下手の玉の逃げ道を防いでいるので、指せると思った」と言ったことである。
たしかにそのとおりで、こちらが思ったほど形勢は離れておらず、微差だった。私は、さすがにプロの将棋観は違う、と唸ったものだった。
松尾女流初段には、昨年10月の将棋ペンクラブ大賞贈呈式にもゲストとしてお越しいただき、二次会にもご一緒させていただく幸運に恵まれた。
松尾女流初段の酒豪ぶりは一部で有名だったから、どんな飲み方をするのか興味津々だったのだが、彼女のそれはミネラルウォーターを飲むかのようにしっとりと優雅で、思わず見入ってしまったものだった。
酒量が増えても乱れることはなく、さすが酒豪だと思った。途中、松尾女流初段とフッと目が合ったのだが、そのトロンとした目と表情が妙に色っぽくて、思わず「う、上川さん…!!」と漏らしそうになってしまった。
そんな松尾女流初段は、先日の女流名人位戦でB級リーグ復帰を果たされた。最近は将棋の戦法の幅も拡げているようである。今期の活躍を期待したい。
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ある女流棋士との食事

2009-04-09 21:59:56 | プライベート
8日(水)、棋友からのお誘いで、某女流棋士(既婚者)との食事会に参加した。
将棋を趣味にする者にとって「女流棋士」は永遠のアイドルのようなもので、雲の上の存在であろう。そんなお方とお話をさせていただくだけでも無上の幸せなのに、今回は食事会である。
棋友オススメの寿司屋に入り、座敷の中央に女流棋士が座る。この位置を私たちは「王将」という。私はハス向かいに座ったが、もう私の心臓はバクバク状態だ。しかしそれを悟られては嗤われてしまう。私は平静を装い食事を楽しみ、バカ話に終始したのだった。
お店にはけっきょく閉店まで4時間もいたが、たいそう短く感じられた。「にぎり」その他の料理は豪華で美味。値段もリーズナブルだった。
はたして女流棋士は楽しんでくれただろうか。私は大いに満足し、帰りの車中で、彼女はもちろん、女流棋界のますますの発展を祈ったのだった。
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