一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

再び大野カウンセリング教室に行く(後編)・ヒロエ…

2011-10-27 00:03:50 | プライベート
中井広恵女流六段と私とはメル友なのである。ただ今月は1日(土)にお会いしたきりで、それ以来お会いしておらず、私に「ヒロエに会いたい禁断症状」が出ていた。
これは自分でもちょっと意外だったが、考えてみれば中井女流六段は「私が勝手に選ぶ女流棋士ファンランキング」の2位だから、それも当然といえる。
「おいヒロエからだよ、参っちゃうなー」
私は苦笑しながら、本文を見る。
「こんばんは。こちらもアフターで楽しんでます。中井」
添付物が1点あり、それを開くと、シャレた居食屋で、有志が笑顔で写っていた。いかにも華やかな雰囲気だ。中井女流六段の姿がないことから、本人が撮影したものだろう。
私はここ1ヶ月、中井女流六段と酒席を同じくする機会が何度かあり、中井女流六段には私の悩みを親身になって聞いてもらった。もし中井女流六段がいなかったら私は確実に潰れていたから、そのご厚意には深く感謝している。
ただ私だって、それに見合った自虐ネタで、中井女流六段を笑わせてきたつもりだ。だから中井女流六段も、私といて楽しいのだと信じて疑わなかった。
ところがこの画像と本文を見ると、私がいなくても、中井女流六段は十分、楽しい酒を飲んでいるふうだ。これが私にはショックだった。
「大沢さんがいなくてさびしいお酒です」
せめてこう書いてくれれば、私も「ヒロエのやつぅ」とニヤケるところだが、「アフター楽しんでます」とアッサリ書かれちゃ、こっちは立つ瀬がない。私は「こちらも楽しくやっています」と、つまらぬ文章を返すしかなかった。
とはいえ…こちらは楽しいのだろうか。華やかなあちらに比べて、こちらは男だらけの将棋談議だ。大野八一雄先生は将棋の専門家。Hon氏は将棋のことさえ話していればいつもニコニコ。Fuj氏は何を話していても、最後は将棋の話に持って行ってしまう。まったくコアなメンバーで、さすがの私も息が詰まりそうだ。
「この前、出先のホテルで5時間あったもので、大沢さんの将棋ブログを読んでました」
とFuj氏が言う。
アンタ、ほかにやることがないのか…。
本人は否定しているが、Fuj氏は典型的な将棋オタクで、プロ棋士の将棋ブログから愛棋家のツイッターまで、ほとんどすべての将棋情報をインプットしている。
私のブログもたいそう気に入ってくれて、いつだったか「一公ブログのバックナンバーを全部読むつもりです」と豪語していた。今回早速、それを実行に移したらしい。最近、ブログの訪問者数は変わらないのに、ページビュー数が異様な伸びを示していたことがあったが、あれはFuj氏の仕業だったのだ。
Fuj氏は続けて、「室谷由紀ちゃんと山口恵梨子ちゃんの将棋なら、観戦記をタダでもいいから書きたいとか書いてましたね」とか、「ブログに私が出てきて複雑な心境だったけど、つい笑ってしまいました」とか、「『大野教室に行く』は、行く回数が増えるごとに『二十何たび』とか『三十何たび』とかいうタイトルになるんでしょうか」とか、無味乾燥な感想を述べてくれた。
まあありがたいことで、こうした声は、ブログを続ける原動力にはなる。
そのFuj氏、田町の将棋イベントでは、中井女流六段提供のプレゼントをゲットしたらしい。将棋愛が強い人には、それなりの賞品が当たるものなのだ。
Fuj氏が、大野先生に何かを渡した。Fuj氏と私は先日、川口から終電に乗り遅れ、大野先生の教室で一宿のお世話になったのだ。これは大野先生への「御礼」だったようだ。ちなみに私は、こういう配慮を全然持ちあわせていない。
大野先生は先ほどからあくびをこらえている。何しろきょうは、午前5時就寝だったのだ。
「きょうはこの辺にしときましょう」
大野先生が締めて、午後11時20分、散会。何だかんだ言っても、今夜も十分癒された、大野カウンセリング教室であった。
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再び大野カウンセリング教室に行く(前編)・午前5時まで眠れなかった

2011-10-26 00:05:34 | プライベート
16日(日)は、夕方から「大野カウンセリング教室」に行った。同教室は、食事会を通じて患者の悩みを無料で聞いてくれる、ありがたい教室である。診療日と診療時間は不定期だが、第1、第3の週末の夜に開かれることが多い。
教室に入ると、Hon氏、Ue氏がいた。いつもはもっと人がいるのだが、もう帰った人もいるし、きょうは田町で将棋のイベントがあったので、そこに出向いた生徒もいたようだ。
大野八一雄先生に挨拶。いつもの笑顔で返してくれた。大野先生は将棋が強く、生徒に有料で指導もしている。いまはUe氏に指導を終えたところだった。
しかしUe氏はまだ将棋を指し足りないらしく、教室備えつけのパソコンで、将棋ソフトと対局を始めた。ソフト側の飛車落ちだった。
しばらくそれを見ていたが、Hon氏が外にタバコを吸いに行ったので、私も後を追う。Hon氏は私の悩みをうんうんと聞いてくれる同志で、得難い存在である。
しかしきょうの彼の応対は、ちょっと私の予期した答えとは違っていて、あまり気分が晴れなかった。彼としても、いつまでも私の望む答えを言ってられない、というところか。
教室に戻ると、将棋はまだ続いていたが、ソフトの相手が、なぜか大野先生に代わっていた。なんで先生が、飛車落ちのソフト相手に将棋を指しているのだ…。大野先生の将棋好きは尋常ではない。
私は書棚にある「将棋世界」の最新号を取り出して読む。「将棋世界」は、学生時代から1号も欠かさず購読していたが、先月は将棋雑誌を読める心境になく、結局買わなかった。
しかし買わなきゃ買わないでとくに不自由もなく、今月もダラダラと未購入のままでいたのだ。
中をパラパラと見る。青野照市九段の新連載がおもしろい。「対局日誌」風の読みものだ。
河口俊彦七段の「新・対局日誌」が終了してから、いろいろな棋士が同種の読み物を連載したが、なかなか定着しない。「熱局探訪」を連載していた野月浩貴七段に話を聞いたことがあるが、月に20日は執筆や取材に時間を取られ、それはそれは大変だったという。
現役バリバリの棋士がこの類の連載を持つのは、キツイに違いない。その点、青野九段は第一線を退いているし(失礼)、文章もうまい。過去にも数々のエッセイを発表しているし、この類の連載には、適任に思われた。
成田弥穂アマの写真が載っている。あまり知られていないが、「私が勝手に選ぶ女流棋士ファンランキング」の第1回は、「私が勝手に選ぶ女性ファンランキング」というタイトルで、7位にAV女優の月見栞、次点(11位)に成田アマが名を連ねていた。
のちに「女流棋士」に焦点を絞り「女流棋士ファンランキング」と改題したため、第1回は月見栞を除外し、成田アマを繰り上げ、10位にランクインさせた。よって成田アマは、「女流棋士ファンランキング」に登場する、唯一のアマとなったのである。
成田アマの魅力は、大山康晴十五世名人を彷彿とさせる、手厚い将棋にある。落ち着いた対局姿勢、勝ちを急がない老獪な指し回しは、とても10代のそれとは思えない。身長も170センチ近くあるし、まあ私のタイプと言ってもよい。
「成田さん、しばらく見ないうちに、また綺麗になりましたよねえ。ふふふっ…」
私がニヤけると、大野先生が、アンタも好きだねえ…という顔で苦笑した。

「大沢さん、きのうブログ、アップしなかったでしょ」
大野先生が言う。私は2009年4月から将棋のブログを書いていて、ここ数日は午前0時すぎに更新している。それがきょう16日(日)は、昼の更新になった。「いつもは0時すぎにアップされてるのに、更新されないからさ。それから何度もブログ見たんだけど、やっぱり更新なしで…。大沢さん、きのうウチからの帰りに事故でも遭ったんじゃないかと心配してさ、気がついたら2時になってたよ。結局寝たのは、5時すぎだった」
大野先生、なんだかさらっと、スゴイ言葉を続けた。
大野先生は当ブログの熱心な読者であり、ブックマークもしてくださっている。
それはありがたいが、たまたまブログが更新されないから、午前5時まで寝付けなかったとは、聞いた私が驚いてしまった。
「あ、ああ、すみません。きのうは0時過ぎから『ナンバーズ4』の原稿を書き始めたんですけど、どうも文章が納得いかなくて、アップしないまま寝ちゃいました」
こんな変態ブログ、楽しみにしている人は少ないに違いないが、ここまでコアなファンがいると、定時にアップしなけりゃならないのかなあ、と思う。

時間もいいころになって、大野先生、Hon氏、私で食事会。Ue氏は所用があるとかで退席した。Ue氏とは一度食事をしたいと思っているのだが、なかなか叶わない。
川口駅前のサイゼリヤへ行く。私は鶏料理の定食にスープとサラダのセット。1ヶ月前は、パスタさえ喉を通らなかったから、これは完全に食欲が戻ったといえる。
しばらくして、Fuj氏が合流した。Fuj氏は田町で行われた将棋イベントに出席して、その帰りだった。
食事のあとは、将棋談議に花を咲かせる。午後9時を過ぎたころ、私のスマホにメールが入った。将棋の中井広恵女流六段からだった。
(つづく)
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明日26日は、大野八一雄七段-伊藤真吾四段戦!!

2011-10-25 00:04:07 | 男性棋士
きのう24日(月)のTBS系テレビ「北海道警察 巡査の休日」に、葉山レイコが出演していた。葉山レイコはスレンダーなボディーと美乳の持ち主で、昔はずいぶんお世話になったものである。そんな葉山レイコは齢を重ねて、ますますイイ女になっていた。ちょっと懐かしかった。

明日26日(水)は、竜王ランキング戦6組昇級者決定戦・大野八一雄七段と伊藤真吾四段の一戦が行われる。
「表」では竜王戦七番勝負の真っ最中だが、「裏」の昇級者決定戦も着々と進行し、本局は昇級決定の大一番である。しかも伊藤四段は現在11連勝中で、本局に勝てばフリークラス脱出が決まるという、とびきりのオマケも付いている。
しかし読者もご存じのとおり、私は「大野教室」の主宰者である大野七段を応援している。大野七段、「表」の準決勝・吉田正和四段戦では、自分の構想どおりに進めていながら、中盤でスットコドッコイの手を指し、好局を棒に振った。
その模様を私は「将棋ペン倶楽部」に「忘却の角」と題して投稿したわけだが、本局、その内容次第では、「続・忘却の角」あるいは「忘却の角・完結編」として、再投稿する用意はある。
大野教室で大野七段に将棋を教わっていると、プロ棋士の将棋の強さ、奥深さに舌を巻く。棋士の最強は大野七段なのではないか、と錯覚するほどだ。
大野七段には全力を尽くして頑張ってもらいたい。そしてもし勝ったら、大野教室の生徒と焼肉パーティーを開きましょう。会費はもちろん大野七段持ち。私にはそのイメージが浮かんでいる。
明日は一日、東京・将棋会館に想いを馳せる。終局後、大野七段からの直接の連絡は畏れ多いが、関係者からの吉報を、私は楽しみに待っている。
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十二たび大野教室に行く(後編)・味よく終える

2011-10-24 00:05:45 | 大野教室
Hanaちゃんの先手で対局開始。初手▲5六歩。「先手中飛車」の作戦だろう。これには△5四歩と突き返すのが私の流儀で、簡単に5筋の位は取らせない。
対してHanaちゃんは、当然▲5八飛。私は二枚銀の形を作り、△6三金と上がった。これで5筋は万全だ。
角を換わったあと、△8六歩▲同歩△同飛。これには▲8三歩がイヤだったが、Hanaちゃんは別の手を指した。
私はスンナリ飛車先の歩が交換できて指し易くなったと思ったのだが、Hanaちゃんも手に乗って飛車を4筋に廻り、巧妙に攻めを繋いでくる。さらに、下段に妙な角を打たれて困った。私の守備駒は三段目にいるので、妙に受けづらいのだ。
私は竜を引いて懸命に粘るが、Hanaちゃんは追及の手を緩めない。いろいろもみ合っているうち、ついに寄せ切られた。お見事! 私に勝っても何の自慢にもならぬが、これはHanaちゃん、相当に強いと思った。
もうHanaちゃんの顔と名前は、完全に覚えた。Hanaちゃんの将来が楽しみである。
次局、やっと大野八一雄七段に教えていただく。私が大野教室に通い始めた当初は、大野七段と最初に指すのが当たり前だった。しかし最近は生徒が多く、きょうはついに4局目での指導である。ただ、いろいろな人といっぱい指せて、そちらのほうが私も楽しい。
将棋は私の居飛車。大野七段は△7四金~△6二飛~△6五歩。ここで素直に▲6五同歩△同金▲6六歩と収めればよかったのだが、私はそれに満足できず、▲6八飛。どうも反発してしまう。
以下3七の銀を4八~5七と活用したが、▲5七銀では▲4七銀と立ったほうがよかった。これなら▲3七桂と活用できた。
本譜は▲1五歩、▲3五歩の突き捨てを入れ猛攻したが、ふつうに受けられて、そこまで。またも完敗だった。大野七段との角落ち3勝目は、いつになるのだろうか。
ここまで0勝4敗で、5局目は成人男性氏と。この男性がまた強く、大野七段や植山悦行七段に、角落ちでいつも勝っている。これは最強の人と当たってしまった。
将棋は、後手男性氏の一手損角換わり。相居飛車は好かんが、振り飛車に出ても、男性氏は振り飛車退治が得意そうである。もう、指す手がなかった。
私は1局目同様、棒銀に出る。しかし本局もうまくいなされ、また▲2六銀が取り残されてしまった。
▲4七歩▲5七金、△3三桂△3六銀△6四角の局面で、△4五桂▲4六金△同角▲同歩△5七桂成なら、こちらに指す手がなく、投了もあり得た。
しかし本譜は△9五歩とこちらから戦いを起こしてくれたので、こちらも息を吹き返してしまった。
終盤は、私が角を手持ちにして、▲6一角が待望の反撃。ここでもまだ男性氏が指せていたのだろうが、秒読みと「流れ」で、すでに勝てない将棋だったようである。
私は何とか片目を開け、味よく対局を終えた。

食事会は、大野七段、W氏に、以前もお見かけしたことがあるSai氏、それと奨励会のM君、私の計5人。
とりあえず近くの中華料理屋で夕食である。私はラーメンと半チャーハンのセット。1ヶ月前だったら、絶対に頼めなかったメニューである。あのころは、何も胃が受けつけなかった。食欲が戻った分、若干の回復が見られるということだ。
食事が終わったM君とは、ここでお別れ。青春の奨励会、頑張ってほしい。
このあとは雑談だが、大野七段らがファーストフード店に入ろうとしたので、これは勘弁してもらう。聞くと、そこでも大野七段とW氏らは長居をして、将棋も指すことがあるという。しかしさすがの私も、ファーストフード店でそこまではできない。
駅前に戻り、いつもの喫茶店に入る。ここのアイスコーヒーは330円と安い。先日はそれにコーヒーゼリーを注文したら、セット料金が適用されたのか、いくらか安くしてくれた。
丸テーブルに5人が座り、談笑。今回注目すべきは、大野食事会初参加のSai氏である。ニコニコと温厚な方で、名刺もいただいたが、けっこうな肩書きの人だった。
私は劣等感の塊で、また現在の自分も人に誇れるほどの仕事もしていないので、こうした人と交流することは、まずあり得ない。
しかしそこは「将棋」が介在しているお陰で、何の抵抗もなく交流できる。ありがたいことである。
Sai氏がいるので、私もあからさまに泣きごとを言えないが、言葉の端々から、Sai氏も状況が飲み込めたようだった。まあ回数を重ねて親しくなったら、いろいろ吐露しようと思う。
この喫茶店は11時閉店。お陰でスマホがなくても、終電に乗り遅れずに済んだ。きょうはアイスコーヒーとコーヒーゼリーを食したが、値引きはなし。次回からは、最初からセットで頼もうと思う。
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十二たび大野教室に行く(中編)・縁

2011-10-23 00:04:37 | 大野教室
ツメ襟姿の奨励会員はM君。前述したが、もちろん大野八一雄七段門下である。
現役の奨励会員に教えていただくのは久しぶりで…と考えてみたら、昭和57年秋、東京・北区にある瀧野川女子高等学校の文化祭にお邪魔したとき、そこの将棋部に遊びに来ていた奨励会員と指して以来であった。
ちなみにこのとき、請われて将棋指導に来ていた植山悦行四段に、私は飛車落ちで教えていただいている。
それから25年の時が経ち、私はLPSAの設立記念イベントで、植山七段と再会する。さらにその翌年、私たちはLPSA金曜サロンで、再び出会うことになる。
植山七段はこの一連の出来事を、「縁だ」といった。「こうして再会したのは、縁があったんだ」と。植山七段の人生観にはどこか冷めたところがあって、どの人生も一局、と割り切っているところがある。それは中井広恵女流六段も同じだ。それだけに植山七段は、こうした出会いを大切にしているのだ。
私は本当に、いい人たちに出会えた。
さてM君との一戦である。当然私が先手と思いきや、M君ははっきりしない。結局M君に振ってもらって、私の先手となった。
▲7六歩に△8四歩。相居飛車は指せないので、▲7八飛と振る。M君は△5三銀左~△4二金上。2手目の居飛車明示といい、急戦の意思表示といい、気鋭の奨励会員らしくてよい。私相手に穴熊を指すようでは、棋士になれないだろう。
私は△5五歩~△6五歩の急戦を恐れて▲4七金と上がったが、これは不急の手だった。△7三桂と跳ねていないので、▲3六歩と待つぐらいでよかった。
M君は元気よく△7五歩と仕掛ける。▲6七銀△7六歩▲同銀△7二飛▲6七銀△7三銀▲9五角。
これにM君が△9四歩と催促したので、私は勢い▲7三角成。△同飛▲同飛成△同桂▲7四歩。この局面が以下である。

先手・一公:1六歩、1九香、2七歩、2八玉、2九桂、3七歩、3八銀、4六歩、4七金、4九金、5六歩、6六歩、6七銀、7四歩、8七歩、8九桂、9七歩、9九香 持駒:飛、銀
後手・M:1一香、1四歩、2一桂、2二角、2三歩、3二王、3四歩、4二金、4三歩、5二金、5三銀、5四歩、6三歩、7三桂、8五歩、9一香、9四歩 持駒:飛、角、歩
(▲7四歩まで)

以下の指し手。△6九飛▲7八銀打△7九飛成▲7三歩成△8六歩▲同歩△8七歩▲7五桂△8八歩成▲6三と…

ここでM君は△6九飛と下ろしたが、私の▲7八銀打を軽視していたようだ。
M君は熟考後、△7九飛成。私は▲7三歩成とし、歩切れながら二枚換えでと金もでき、十分になったと思った。△6九飛では△6五桂▲7三歩成△7九飛、または単に△7九飛が優ったようだ。
しかし数手進んで、▲6三とがしくじった。局後大野七段に見てもらうと、「ここは▲6三桂成の一手」と即座にいわれた。
いわれてみれば、成駒を作るのは当たり前だ。桂を渡すと△3五桂の反撃が厳しいと思ったのだが、それなら私の攻めのほうが早い。▲6三とは駒がダブって、いかにも気が利かなかった。
本譜は、私の攻めが息切れになってきた。M君はさっきからため息をついて指しているが、そう悲観した形勢ではないだろう。否、いまはM君のほうがよい。
最後はM君が△6六角と出た手が、玉の懐を拡げながら、△3九角打の詰めろを見た一石二鳥の好手。ここで私は投了した。
29年ぶりの奨励会員との対局だったが、いや、いい勉強になった。
感想戦の最中に3時休みになり、大野七段からいつもの詰将棋(4題)が渡された。しかし今回は、
「30分で4題解けなくてもよしとします」
という。問題を見ると、パラパラっとした駒の配置で、まったく解く気が起こらない。「私は全部解くのに4時間かかりましたから」
「……」
詰将棋を出題してくれるのはありがたいが、そんな問題を出されても困る。私たちは簡単な問題を解いて、爽快な解後感を味わいたいのだ。
前回の将棋合宿でも詰将棋のタイムトライアルがあったが、これに全問正解したのは私だけだった。それで大野七段は、「大沢は詰将棋が得意だ」と刷り込んでしまったらしい。
来月の合宿でも、私を含めた何人かは特別問題を出されそうで、それを思うと恐ろしい。
Hanaちゃんとまた目が合う。
「たしか、Hanaちゃんだったね?」
「……。ねえ、(私のことを)イジメてるでしょ?」
いままでとは違う返事だった。しかしこれはマジの怒りである。相手に不快感が出てはもういけない。このジョークも、これで言い納めだと思った。
3局目は、そのHana ちゃんとである。姉のAkiちゃんとは5局指しているが、妹のHanaちゃんとは、意外にも初手合わせ。これは楽しみな一戦となった。
(つづく)
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