大江健三郎の本は文学全集の中の一冊として、私の本棚にもう55年以上鎮座している。
それなのに開いたことが一度も無かった、聞くところによれば大江健三郎の作品は意味不明の難解風変わりなのが多いらしい。
それが先入観になっていて買ったまま放ってあったのだ、だがしかし百聞は一見にしかず
この目で読むのが正しい、それで今日のたったさっき本を開いた
文字の細かいのに辟易した(読めるのか?)
20歳前後には、これを普通に読んでいたのだから老眼とはひどいものだ
今は本や新聞を読むのは裸眼が一番だが、乱視もあるのですらすらとはいかない、ただ読書は入り込んでしまえばすべてを忘れて一気に読める、そこまで集中するのが大事なのだ。
とりあえず巻頭の長編は辞めて、短編から始めた
その短編の一番にあったのが「奇妙な仕事」だ。5ページほど読んでみて、これは読めると感じた。
150匹の「犬を学問の研究のために殺すのは残酷だ」と外国人女性から反対と抗議が起り、実験に使わず殺処分に(結局殺すのだが、殺し方で彼女は納得なのか?)
犬を棒で殴り殺して皮を剝ぐ、から処理までを行う屠殺人のプライドは「毒殺しない」、自らの手で撲殺することで犬との一体感を持てると
それを手伝うアルバイターの三人の学生の話、主人公はふぁ~とした無機質な感じの学生だが、それなりに悔いとかを持っている
なるほど、これが大江ワールドなのか。
文字の羅列の奥に潜むものを推理しながら読むのは楽しい、自分の拙い経験と知識に照らし合わせて答えを探していく
答えの正解は、大江の中にあるから私には正解はわからないが、自分なりの正解にたどり着ければ、この本を読んだ価値はある
価値というのは時間を浪費するのではなく、有意義であったということだ。
