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「甲越軍記」を現代仕様で書いてみた(232) 甲越 川中島血戦 59

2024年10月24日 20時04分39秒 | 甲越軍記
 小田原の先備え、松田尾張守、笠原能登守の勢より大剛の者と思しき武者六騎出でて、細道を半町ほど進み、小高き丘に登り「伴五郎大夫、松村七左衛門、殿原靱負、志村太八郎」と名乗りて威を張る

これに答えて、武田方より小幡山城入道の一子、又兵衛二十一歳が名乗りを上げる、数々の戦で手柄をあげて得た感状は十一通の勇士
敵の六将の振る舞いを見てただ一騎にて駆け寄り、槍を引き絞って丘をはせ登ると同時にたちまち志村太八郎を突いて落し、五騎の敵と渡り合う
ただ一騎にて右に左に切って回り、追いつ追われつ馬躍らせて戦えば、小幡の中間、熊井孫四郎、藤右衛門が駆けつけて主を助けて戦う
又兵衛は虎の如く吼えて露ばかりの隙も無く、伴五郎大夫、殿原靱負を相次いで馬から下に突き落とす
松村七左衛門は驚き、鞭をあげて引き逃れるところ、又兵衛は飛鳥の如く飛び掛かり、揚げ巻き付けの板から斜めに肩まで突き抜き、また三人を討ち取れば、又兵衛の中間、熊井、藤衛門も残る二人を討ち取る。

小田原方の松田、笠原三百余騎は轡を並べてどっと攻めかかる
山城入道はこれを見て「又兵衛を討たせるな」と叫び、三百騎の真ん中へ諸鐙を合わせてわめいて入る
馬場民部少輔も「小幡父子を救え」と馳せ出れば、北條志水、大道寺の勢は松田、笠原を助けて討ちかかり、打ちあう太刀の光、電光の如く
鬨の声は天まで突き抜け、馬場勢には鵄(とび)大弐、早川豊後、金丸弥左衛門
小幡の組には、友松将監、加野権之助、安井、熊井戸らが攻め寄せる

小山田弥三郎勢は大道寺の勢に割って入り、無二無三に切って懸かる
大道寺勢はこれにこらえきれず乱れる、馬場の勢も笠原勢に食らいつき激しく戦えば、笠原勢も崩れ去る
これにより、松田、北條の勢も雪崩の如く崩れて刈屋川を渡って逃げる
北條の小将大橋備中、桑原左衛門尉は川中に留まって「取って返せや者ども」と下知するところに、小幡入道が追い迫り、川中にて大橋に組み付いて揉みあいながら水中に転げ落ちて、なおも上になり、下になって激しい死闘を繰り広げる、小幡は三か所の傷を負いながら、ついに大橋を取り押さえて首を掻き切り、采配を添えて首を本陣に送る
小幡又兵衛も遅れてやってきたが、桑原左衛門が引くところに刈屋川の向こう岸で追いつき、名乗りかけて行けば、桑原も取って返し、互いに勇猛な壮士なれば互角の力と技量、激しい戦いは撃っては引き、引いては突き太刀の目釘も折れるほどなり
ついには双方、太刀を投げすてて素手で組みあい、金剛力を出して力を競えば、やや又兵衛が力に勝り、桑原を下に敷いて首を掻き切り、これまた首と采配を本陣に引き渡す。







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