ひとつ訂正があります。TOMIXのモハ114-1000のMG冷却用ルーバーはモールドではなく、真鍮エッチング?の別パーツを貼り付けたもの、すなわち今回「訳あり品ではないか」と疑った仕様がデフォルトのようです。
読者の方から「私のも取れてしまいました」とのコメントをいただき、まさかと思って、以前、信越線の冷房準備車5連として仕立てた編成に入っているモハ114をチェックしたところ、2両とも写真の通り別パーツとなっていました。幸いどこも紛失していなかったのでひと安心ですが、SIV仕様への転用も見越してルーバー無しを共通設計としたのだとしても、接着だけはしっかりしてほしいなと思いました。
ということで、パンタが載っていなかった件は依然として謎のままですが(笑)、ルーバーの件は事情が分かってスッキリしたので改造を進めていきましょう。
クハ111を転用したクモハ115にシャター式タイフォンを取り付けました。筑波車輛工業(工房ひろ)の「耐寒/小」で、本来はキハ40系用らしく後退角が浅いので、ボディ側をわずかに削ってなるべく正面を向くようにしました。
冷房準備車と共通設計の115系と違ってクーラーを外すと大きな台座が現れます。冷房準備フタ(上)を取り付けるためにこれをカットします。
台座をカットし、併せてランボード側面を傾斜タイプにするため、t0.3プラ板を貼るイメージで屋根肩とランボードを削ります。
ゴム系接着剤でt0.3プラ板を貼ってしばらく乾燥。このランボードの修正作業は3両とも共通です。
続いてモハ114を2600番台にするためパンタ周辺を「微低屋根」化します。実物で20mm、模型で0.25mmという薄さもさることながら、既にパンタ台や配管のモールドがある部分をどうやっていじるか悩ましいところです。いっそ屋根と一緒に「全部削ってやり直す」のが簡単ですが、ダメもとで「全部残して周囲を掘り下げる」というトンデモ工法に挑戦することにしました。もしダメなら全部削るだけです。笑
カッターとモーターツールを併用し、パンタ台と配管を削り込まないように注意しながら掘ります。ん~~微妙ww
粗めの耐水ペーパーで地ならし。ほほー・・・なんとかなるかも知れません。
続いてクハ115です。模型は「奇数向きクハ」の2100番台なので、クモハ・モハと組ませるため偶数向きに改造します。これはジャンパ栓収めのマウントを外して穴をパテで埋めたところ。この後整形し、色合わせが心配ですが部分塗装で仕上げます。
ジャンパ栓の方も偶数向き、すなわちKE76の3連が向かって左側にくるように入れ替えるのですが、元のパーツをただカットして左右を入れ替えてもダメなので、ちょうど着工待ちになっているPLUMのクハ115のパーツを流用しました。1両分のランナーに奇数・偶数両方のパーツが含まれていて、2両分買ってあるので可能になったというわけです。ちょっと大味ですが走っちゃえばわからなーい♪
で、このクハ115-2100ですが、モハ114と同じくベンチレーターの位置が後位(右)へ寄った「冷房準備車パターン」なのが気になります。いや、実際、冷房準備車で落成してはいるのですが、2000番台の末っ子で1981年製造といえば既に新製冷房車へ移行している時代で、同じ編成を組むクモハ115とモハ114はベンチレーターが前位(左)へ寄った「新製冷房車パターン」であることが図面で確認できています。(実車写真は真横のものが無く未検証)
これがクハの図面ですが、確かに模型と同じく左から2個目のベンチレーターが右寄りです。しかし、どうもこれは誤りのようで、実車はこれが左へ寄った「新製冷房車パターン」で間違いないようです。理由は最後に書きます。
(「新ぜかまし文庫」より)
ベンチレーターを外してみると・・・モハと同じく「1本脚支持」になっていて、脚を差し替えることによってベンチレーターが移動するという、うまい設計になっていました。しかし外したベンチレーターの右足は折られていて差し替えることができません。
じゃあ隣りから持って来よう・・・と外したら、なんだか見たことのない構造になっていてビックリ!w
しかも、ベンチレーターを入れ替えてもちゃんと刺さらなかったり(左)、ユルユルで接着しないと使えなかったり(右)と散々です。しかし、これは設計思想としては正しいのでしょう。鉄道の知識もない人たちが組み立ててもちゃんと組み立てられるよう、「間違った場所には刺さらない」設計になっているわけです。
仕方ないので取付穴を少しだけ拡大し、手持ちのベンチレーターをあてがうことで何とか収まりました。
ランボードと「微低屋根」のパテが乾いたら整形していきます。
さて、先ほどクハのベンチレーター配置が図面と異なり「新製冷房車パターン」で間違いないだろう、と書いた理由ですが、
リンク先の記事が間接的にそれを証明してくれています。特に「追記」のところにヒントがあります。
サイトの記事を要約すると次のとおりです。
・身延線の奇数向きクハ115-2100番台はすべて新潟へ転出し、ほとんどが方転改造を受けるとともに冷房化された。
・この中の1両クハ115-2041は前位寄りのベンチレーターがなぜか1個撤去されている。
・JR東日本の改造車でベンチレーター撤去は珍しいと思ったら、天井の整風金具の取付位置を誤ったためにベンチレーターと位置が合わず、結局撤去してしまったらしい。
・どうやら、新潟に多かった「冷房準備車」のパターンに合わせて整風金具を施工してしまったのではないか。
つまり、逆に言えば、この2041号車以外はちゃんと「新製冷房車のベンチレーター位置に合わせて整風金具を設置した」わけですから、クハ115-2100番台のベンチレーター位置は「新製冷房車」相当だったことになります。
あと、間違った理由が「新潟に多かった「冷房準備車」のパターンに合わせて」と書かれていますが、上に示した誤った図面がその後押しをした可能性もありそうです。2041号車以外はちゃんと改造出来たのですから、何らかの理由で「図面と違うぞ」という情報共有がこの車だけ落ちてしまったのかも知れません。
真相は分かりませんが、ベンチレーターが1個無くなってしまった実物に比べたら、ベンチレーターの差替えで済む模型の間違いなど可愛いもの・・・かも知れませんね。