80分の1丁目16番地

ペーパースクラッチによる車両作りを中心に1/80、16.5ミリゲージの鉄道模型を楽しんでいます。

スイスの低床電車を作る(39)

2024-05-13 00:49:04 | 海外
スイス・アッペンツェル鉄道のABe4/12 1001号編成(愛称“ワルツ=Walzer”)を仕上げていきます。こちらも気付けば前の投稿から1年半が経過してしまいました。


フロントウインドウ下のヘッドライト/テールライトが暗かったので、光源と導光材一式を取り外し、イチからやり直そうとしてそのまま放置していたものです。ライトの間隔は約20mm。これに合わせてアクリル導光材を曲げる必要があるのですが・・・。



ま、まさかの既製品がありました!!ZugだかPLUMだかのプラキットのクリアパーツのココがニジュウミリ! 即決です。笑



この車は同じライトケース内に2種類のLEDが仕込まれていてヘッド/テール兼用になっているらしいので、模型ではヘッドライト用に電球色LRD(左のテープLEDを分解したもの)を、テールライト用に配線済みチップLED(右)を使い、導光材を両者で共用する形に組み立てます。2色発光LEDの使用も考えたのですが、白/赤はあるものの電球色/赤のコンビネーションは無かったので却下となりました。



切り出した導光材の背中に当たる部分にV字の切り込みを入れて電球色LEDを接着し、赤色LEDは導光材の“腹”の部分に照射するようにします。光ファイバーではないので、これで導光材全体が乱反射して程よく光ります。ちなみにこの配線済み赤色チップLEDは「モデルトレインプラス」から発売されている1005タイプ(1.0×0.5mm)ですが、写真でわかるとおりものすごく小さく、「チップ」さ加減の進歩には目を見張るものがあります。



運転席まわりを仕上げるため、電気以外にも若干の小物を作ります。これはアンチクライマーとおぼしきパーツで、欧米でリンク式連結器とともに使われている「バッファ」をモチーフにしたようなデザインになっています。3×3ヒノキ材をコアにしてプラ板を貼り付け、前面にはピッチの荒い波板を張り付けています。



フロントウインドウが大きくキャブ内が丸見えなので運転手を乗せます。プライザーのフィギュア(1/87)の中から髭の男性をチョイスしました。実はこの男性、前職はこちらの記事にあるように荷物車掌でした。いや、前職というよりも「ワルツ」がなかなか完成しないのでアルバイトをしていたと言うべきでしょうか。このたび晴れて本来の職に就くことができました。



はい、こんな感じで組み付けました。カプラーは実物に似せたものを作ってあったはずで、つい先日もあるのを確認したばかりなのですがなぜか行方不明になってしまい、暫定的にプラキットの余りの密連を取り付けてあります。暫定的とはいえ「電連はねぇだろ!」と突っ込みたくなりますw。あとスノープラウも付くので最終的にはもっと重厚な顔つきになります。



点灯試験をしましょう。この編成は実車に似せたジャンパケーブルでライト関係だけ編成全体の引き通し回路を構成しています。中間の動力台車に紙片を挟んで絶縁してやればライトだけ点灯させることができます。前進OK!オデコのライトも本当は電球色とすべきなのですが、乗務員室用エアコンをライトハウスにして白色LEDを組み込んでしまい分解できないのでこのままとします。



部屋の照明を落として後進に切り替え、テールライトの点灯状況を確認。導光材の横腹にLEDを当てている割にちゃんと光っているので安心しました。なお方向幕には「[S23] Wasserauen」(ヴァッサーアウエン)と表示してあるのですが、ほとんど潰れているので自己満足の世界です。



あと難物はシート。窓が大きいのと中間車のモーターを隠すためには必須です。がんばって作るぞ~~。。

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「RhB レーティッシュ鉄道の世界」講演会を聴講

2023-06-19 00:40:56 | 海外
少し前ですが、Twitterを眺めていたら「RhB レーティッシュ鉄道の世界」という講演会があるとのお勧め情報が流れてきたのでさっそく申し込み、今日参加してきました。

神奈川県の平塚と新百合ヶ丘(川崎市)に店舗をもつ「railways湘南ライン」という模型店の主催で、「氷河特急」をはじめとするスイス・レーティッシュ鉄道(RhB)のNゲージを展開する(株)関水金属の関良太郎氏を招き、製品開発の経緯や同鉄道の魅力などを講演していただくという企画です。

会場は小田急線新百合ヶ丘駅に隣接する「新百合21」という複合ビルの研修室ということで、新宿から8000系の快速急行に乗って新百合ヶ丘を目指します。だいぶ数を減らしつつもまだ第一線で活躍する普通鋼製の8000系。自分が小田急に乗るときは選ばなくてもこれに当たることが多く相性が良いようです。



参加者は8名と紹介がありましたが、欠席者が居たようなので実際は6~7名ではなかったかと思います。やはり海外モノ好きは限られるよね・・・と思うなかれ、これに先立って平塚で開催された回は大盛況満員御礼で、急きょ追加講演が行われたとのことです。左端が講演者の関良太郎氏。そもそもなんで模型店が主催してこのような講演会を開いているかというと、店長がRhB沼にどっぷり浸かっているからなのだそうです。なるほど明快。



講演の内容は「氷河特急」シリーズの商品企画・開発の話から始まって、欧州マーケットで1/150・9mmという規格が受け入れられるようになるまでの苦労、綿密な現地取材、車両と「地面」の両面展開に関するこだわり、今後の商品化見通しなど、いわゆる裏話的なものも含めてたいへん聴きごたえのある内容でした。

最後に質疑応答の時間もあって、ラック式機関車の開発見込み(脱線しないような構造が難しい)など興味深い話があり、私も聞きたいことはあったのですが、なにせ「氷河特急シリーズ」はおろかNゲージを1両も持っていない者としては肩身が狭く、身バレ(笑)しないうちに引き上げたのでした。

関氏もさかんに強調されていましたが、RhBを展開するのは単に日本人でも馴染みやすいメーターゲージの鉄道車両というだけでなく、彼らが走る沿線をひっくるめた「模型鉄道」としての世界観を楽しむのがこのシリーズの醍醐味で、それはある種「飯田線シリーズ」にも通ずるものだという解説は説得力あるものでした。雄大な景色のなか、小半径のカーブをゆっくりとトレースしてゆく列車をテーブルトップで楽しめるのが「レーティッシュ鉄道の世界」なのです。


ということで、1/150・9mmが成立するなら1/80・16.5mmでもいけるやろ・・・てな発想で始めた当鉄道のスイス・メーターゲージ車両群。アッペンツェル鉄道の「ワルツ」が先行し、RhBについてはコープコンテナと材木運搬用フラットカー(台車が壊れました・・・泣)を作ったところで長期熟成に入っていますので、今日聞いた話を起爆剤としてそろそろ再稼働を念頭にマインドを高めていきたいと思います。


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スイスの低床電車を作る(38)

2022-11-13 23:38:22 | 海外
前回の投稿で皆既月食の写真を載せたところ、「ターコイズフリンジらしきものが捉えられている」とのコメントを頂きました。明るい部分と影の部分の間が青っぽく光る現象だそうで、今さら感はありますが他のカットにそれらしきものが写っていたのでご覧に入れます。境目の部分がうっすらと青くなっているのが分かります。手あたり次第シャッターを切っておいて良かった!笑



ということでアッペンツェル鉄道のWALZERです。屋上機器がほぼ出揃いました。床下機器なら「走っちゃえば分からないヨ」と逃げることも可能ですが、これがごっそり屋根の上に載っているわけですからたまりません。ハコモノは根性で似せましたが、配管類はどう這っているのかが分からないためすべてパスしました。

追加で付けるパーツです。ステップはエコーの「足止め」、エアタンクはエンドウのプラ製、黒い箱はカツミの近鉄30000系の床下機器の余りを流用した「機器箱」風情のものですが、ちょっと大きすぎたので中間車用の1個だけ使いました。



そしてこちらが今回の主役、セシュロン(Sécheron)製の高速度遮断器です。スイスの鉄道車両用機器メーカーのものですが国内でも最近割と見かけると思います。ネットで見つけた日本語版カタログの図面をもとにプラ板でスクラッチしました。最初どうなることかと思いましたが割と似たものができたと思います。ただし気合を入れ過ぎたので作成途中の写真はナシ!w



ライトグレーに塗装して所定の場所に設置。ニヤニヤが止まりません♪



ただし精根尽きて残りの2個は宿題となりました。。



当初引き通しに使おうとしてとん挫した連結面の屋根上のジャンパケーブル。ダミーでステーやらツナギ箱だけ表現しておきました。



屋上機器にメドがついたので次は運転台まわりの仕上げに進みます。



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スイスの低床電車を作る(37)

2022-11-06 02:17:58 | 海外
床下機器ならぬ屋上機器はある程度作ってあったので、注意喚起用とおぼしき黄色いラインを入れるためにマスキングします。1等客室を示す黄色ラインと一緒に塗ります。



ちょっと見にくいですが、画面中央に白く細長く見えているのが1等客室部分の窓上の帯をマスキングしたもので、このためだけに黄色を吹くのももったいないため、その周囲に屋上機器を並べて一緒に塗装してしまおうという魂胆。なお、黄色は隠ぺい力が低いため、黒いパーツにはあらかじめサーフェーサーを吹いてあります。



車体にはウエイトを仕込むスペースがほとんどないため、屋上機器の空間にも鉛板を詰め込んで補重します。これはクーラーの中に鉛板を詰め込んだもので中間のM車用。



両端の先頭車に載るブレーキ抵抗器のカバーの中にも抵抗体に見立てて鉛板を仕込みます。



屋根の両サイドは「ハ」の字型になっているため、幅のある屋上機器は端からスライドさせて入れる必要があります。順番を間違えないように、中央に近いクーラーから入れていきます。



これはうっかり入れ忘れたNG例。機器の裾の方はカバーの奥に隠れるので、両サイドを削って落とし込めないか検討中。



屋上機器を取り付けたところ。すべて瞬着またはゴム系接着剤でベタづけしています。シルバーや黄色がアクセントになってかっこいい!なお、パンタはメルクリンの中古機関車を買って移植したものです。外国型パンタの新品は高いし、取り寄せると時間がかかるため緊急避難的に。。



1等客室部分の黄色帯もばっちり入りました。



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レーティッシュ鉄道が“100両編成チャレンジ”を成功させる

2022-10-30 21:11:34 | 海外
今朝からツイッターのタイムラインが賑やかなのでチェックしてみると、スイス・レーティッシュ鉄道(RhB)が電車を100両連結してギネスに挑戦!!などというまことに怪しげなツイートと、列車が蛇のように山間をうねるこれまた怪しげな写真がぞろぞろ出てきて、かの地ではハロウィンはエイプリルフールと一緒に来るのか?といぶかしんでいたら、なんとこれはウソ偽りのない、まことに大真面目な取組みだったことがわかって二度びっくりしました。


わが国は鉄道開通150周年ですが、スイスでは1847年8月9日にバーデン~チューリヒ間で初めて連邦鉄道が開業してから175周年なのだそうです。おめでとうございます。👏

これを記念して、グラウビュンデン州を中心に運行する私鉄(←ここ大事)レーティッシュ鉄道が企画したのが「100両編成の列車を運行してギネス記録に挑戦する!」なのだそうです。「鉄道フェスティバル」のようなお祭りの一環として運行されたようです。

RhB公式HPおよび現地からの報告(Twitter、YouTubeなどなど)によれば、現地時間10月29日の午後2時20分にプレダ駅を出発した100両編成(4両×25編成)はアルブラ線を走り、午後3時半すぎに無事アルヴァノイ駅に到着したとのことです。

(RhB公式HPより/Powerd by Google翻訳)

どんなことになっていたかは、次のYouTubeなどでご確認ください。
https://www.youtube.com/watch?v=yjh3eCs64BM

https://www.youtube.com/watch?v=3N-6eCwooVA




どんなチャレンジだったかはRhBの公式HPに「世界記録への挑戦に関する事実と数字」という要約が載っていて分かりやすいので引用します。
■世界記録への挑戦に関する事実と数字
・列車は 25 編成で構成され、それぞれに新しいカプリコーン レールカーの 4 両があり、全長は 1,906 メートルでした。
・「山羊座」は、アイベックスのラエトロマ語です。
・Preda から Alvaneu までの世界記録のルートは 24,930 メートルです。
・列車は標高差 789.4 メートル (Preda = 1,788.7 m asl; Alvaneu = 999.3 m asl) をカバーしました。
・世界記録破りの旅は、48 の橋を渡り、22 のトンネルを通過しました。
・世界記録ルートの最大の高架橋は、長さ 142 メートル、高さ 65 メートルの世界的に有名なランドヴァッサー高架橋で、フィリスールのすぐ後にあります。
・世界記録ルートで最長のトンネルは、フィリスールの直前にあるグライフェンシュタイン トンネルで、長さは 698 メートルです。
・世界記録を破る試みは、4,000 kWh の制動エネルギー (回生) を生み出しました。
・世界記録の列車は時速 30 ~ 35 km で走行しました。
・記録破りの旅には約1時間かかりました。
・記録破りの列車の重量は約 2,990 トンでした。
・列車内の通信は、民間防衛局から約 2 km 離れたフィールド電話によって確保されていました。
・さらに、運転士7名と技術者21名が列車の運行を確保するために働いていました。
*****引用ここまで*****


使用されたのは「カプリコーン」と呼ばれる4両編成の電車(ABe4/16 3111-3166形)で、25編成も集めたら他の運用どうなるの?と思ったら、一応2022年現在36編成は在籍しているようです。(いや、だからといって、、笑) 両端の運転台寄りの2つの台車が駆動軸でその他はトレーラー台車となる部分低床構造の電車で、ひとつ前の投稿でご紹介したウチのアッペンツェル鉄道の「Walzer」と同じ「STADLER」というメーカーが製造した車両です。


車両マニア的に気になるのは、25編成もの車両を総括制御できるものなのか?という点。この「カプリコーン」は2編成8両を連結することはよくあるとのことですが、さすがに1.9キロにも及ぶ長編成をコントロールするためにどんな制御回路を仕込んだのでしょうか。

前に引用した「世界記録への挑戦に関する事実と数字」の一番最後の文章に秘密が隠されているように思います。「運転士7名と技術者21名が列車の運行を確保するために働いていました。」
なるほど。運転士1人が仮に4編成16両を制御するとすれば、7人が無線で呼吸を合わせて運転すればできないことはない・・・。

あとは、1時間に数本しか行き来しない山岳路線で変電所がよく持ったな・・・という点ですが、これも先の記録の「世界記録を破る試みは、4,000 kWh の制動エネルギー (回生) を生み出しました。」に現れている通り、このチャレンジは下り勾配を使って行われたものなのです。とはいえ1度は起動しなければならないわけで、発車時にどんなノッチ操作が行われたのか、もし動画があれば観てみたいものです。


ともあれ挑戦が無事達成されて関係者も美酒にひたっていることでしょう。鉄道200周年には200両チャレンジがあるのか気になりますね。

ところで、わが国でRhBのお友達といえば箱根登山鉄道。1888年に馬車鉄道として開業しているそうなので10数年後にはこちらも150周年を迎えます。さあてどんなパフォーマンスが見られるでしょうか。列車が出山信号場に進入すると最後尾は出山の鉄橋にいまさしかからんとするところで・・・(以下自粛w)

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