80分の1丁目16番地

ペーパースクラッチによる車両作りを中心に1/80、16.5ミリゲージの鉄道模型を楽しんでいます。

トットちゃんの電車教室

2018-04-28 23:16:06 | 実物・資料系(現在)
先日投稿した大糸線撮影記で予告した「トットちゃんの電車教室」について書いてみたいと思います。

この2両の電車は信濃松川駅から車でおよそ5分のところにある「安曇野ちひろ公園」内に置かれています。隣には、絵本画家・いわさきちひろほか世界の絵本画家の作品を収蔵した「安曇野ちひろ美術館」があり、館長は黒柳徹子さんです。




黒柳さんといえば1981年に出版された自伝的小説「窓ぎわのトットちゃん」が大ベストセラーになりました。表紙や挿絵には独特の風合いを持ついわさきちひろの作品が使われています。




トットちゃんの幼少期はとにかく好奇心旺盛で破天荒。ゆえに通っていた小学校を1年で追い出されてしまい、「トモエ学園」という私立の学校に転校します。自由教育を旨とする同学園で彼女の才能は磨かれていくわけですが、その中に登場する、廃車になった電車を利用した教室を再現したのがこの2両です。周囲に広がる広々とした柵のない芝生広場などとともに、子どもの個性を尊重し自由に伸び伸びと育てるというトモエ学園の教育方針をテーマに整備されたということです。




さて「モハとデハニ」と紹介されるこの2両、いったいこんな古豪がどこに眠っていたのかと思えば、同じ県内を走る長野電鉄に保管されていたものだそうです。これまで大正、昭和初期の電車はあまり興味がなくてノーマークでしたが、最近は少しずつこうした車両への興味が湧いています。言うまでもなくトシのせいです。突っ込まれる前に言っちゃいます。




1両ずつ見ていきましょう。北側に位置するのがデハニ201。1926年(大正15年)汽車製造(汽車会社)製。運転室後方の荷物室と大ぶりのパンタが印象的です。




半鋼製車ですが床下にはトラス棒があります。木造から鋼製へ移行する過渡期の設計が見て取れます。床下機器も標準化された旧型国電のものとは趣が違います。




台車はボールドウィンタイプで汽車会社製のコピー台車だそうです。釣り合いバリの曲線が優雅ですね。




簡素な運転台。マスコンには「WESTINGHOUSE」の刻印がビシッと刻まれています。




頭上に並ぶ数々のカノピスイッチ群もいい味出してます。




客室は入れませんが荷物室は立入り可能。仕切り扉や白熱灯など装備はそのまま保持されています。




客室は教室に改造されています。これがまさにトットちゃんが学んだトモエ学園の電車教室を再現したものだとか。机の上をよくみると昆虫観察だったり、読書だったり、理科の実験だったり、2人として同じものがありません。各自が自発的に勉強をしてわからないところを先生に聞く。これがトモエ学園の日常だったそうです。奥の黒板の日付は4月21日(訪問日)になっていました。演出が細かいですね。




次にお隣の車両をみてみます。こちらはモハ604とされています。1927年(昭和2年)川崎造船製。屋根が深く前面やドア上のカーブした水切りが特徴の「川造型」といういわば規格型ボディだとか。もともとはデハ350型として竣工し、改番を経てモハ604として活躍したのちに廃車。上田交通へ転籍し、電装解除されてクハに。廃車後は長電に戻って保存されました。




こちらもボールドウィンタイプの川造製コピー台車だそうですが、釣り合い梁の弓の形が汽車製とやや異なるようです。




上述のように上田交通時代にクハ化されているので、モハを名乗るもののモーターはありません。こちらもトラス棒つき。




床下機器もクハらしく簡素です。




運転台はメーターとマスコンの間が少し空いているもののデハニと酷似しています。




カノピスイッチ群もほぼ同じ。




車内は図書室に改造されていて、こちらは実際に本を読むことができます。管理人(司書?)の方が常駐していて、いろいろトモエ学園についてのお話をうかがいました。




ヨロイ戸式の日よけが何ともレトロモダンな雰囲気を醸し出しています。




ところでこの2両は長野電鉄から譲渡され、トレーラーで運ばれてきたのですが、その方法がよくある保存車両の搬入とは違っていました。「窓ぎわのトットちゃん」の中で、トットちゃん達は、夜遅く(恐らく未明に近い時間?)に教室となる電車が運ばれてくるのをかたずをのんで見守ったそうです。それを丸ごと再現するため、希望者を募って「お泊まり会」を開いて翌朝に備え、一方抽選にもれた子どもたちは早朝に起きて合流し、大人も子どもも一緒になって盛大に電車の到着を迎えたのだそうです。

その時の様子が動画に収められています。(YouTubeへ飛びます)

トットちゃんの電車の教室がやってきた!

トットちゃん広場ができるまで 計画発表からオープンまでの793日

どうです、ほっこりしたでしょ?こうした夢とストーリー性のある車両保存活動がもっともっと増えてほしいなと思います。


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東急5200系の製作(16)補修いろいろ

2018-04-23 10:05:10 | 私鉄電車
花月園以降、せっせと5200系の補修をやっています。あとディティールの追加も。

本来はディティールの追加だけでよいはずですが、花月園運転会に持っていったときはとにかく突貫工事で間に合わせた部分が多いので、この際、気に入らない部分はまじめにやりなおそうと思いまして・・・。




前面は薄いシール紙に鉄筆でコルゲートを押し出したものを貼ったのですが、テールライトの“よけ”の切り込みが深すぎてカッコ悪いので直します。ついでにテールライト周囲のパテ盛りももう少し手を加えたいところ。




オデコのパテ整形もイマイチなので研磨し直します。シルバーは凹凸が目立ちやすいですね。




ちなみにこのシルバーはタミヤのTS-83「メタルシルバー」を使いました。下地を黒で鏡面仕上げしてから吹くとさらに落ち着いたメタル表現になるようですが、今回は時間もなかったのでサフの上にそのまま吹いています。それでも指を近付けると映るほどにピカピカの塗面となっています。




ぎゃ!なんかタレてる~!ランボードを接着した時にしでかしたんでしょう。その他肌荒れ箇所多数なのでみーんな削って補修。




先行試作車のデハ5201号車は連結面のコルゲートまで手が回らなかったので、これも追加しなきゃですね。。




切り込み過ぎの前面コルゲートは思い切って剥がし、オデコを整形し、ついでにテールライト周辺も気持ちだけペーパーがけしてサフを吹いておきます。




コルゲートをやり直します。もうほとんど残っていないシール紙の切れ端からなんとか2枚分を捻出し、テールライトよけの部分は現物合わせで慎重に切り込みます。そしてコルゲートのスジをケガき・・・。




鉄筆で押し出します。




これを元の位置に貼り付ければ修復完了。なんか新デザインのラッピング電車みたい。窓上に付く通過標識灯は非点灯のダミーにするため、再塗装直前に取り付けます。手すり、ステップなど追加しなきゃならないディティールもまだたっぷり残ってますね。。




連結面のコルゲートも同様に作って貼り込みます。




側面は乗務員ドアの手すり、乗務員ドア上部の水切り、ドアステップなどを追加していきます。手すりが車体からどのように生えているか写真で観察したところ、なんと乗務員ドアのフチがテーパー状になっていて、そこから垂直に生えていることがわかりました。わがモデルはそんなゴージャスな構造になっていないため、ドアの縁ぎりぎりのところに斜め45度に穴を開け、コの字に曲げたφ0.4真鍮線を差し込みました。結果、飛び出しすぎず車体との隙間も潰れすぎず、まずまずの出来となってひと安心。




というわけで修復とディティール工作はまだまだ続きます・・・。



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春の大糸線

2018-04-22 04:04:59 | 実物・資料系(現在)
天気終日快晴、大気の透明度良好・・・。こんな週末の天気予報に背中を押され、急きょ思い立って大糸線を撮ってきました。

午前3時に車で東京を出発。途中2回の休憩で6時前に梓川スマートインターから市街地に入り、今回初めてチェックした島高松駅西方の撮影地点で、無事、下り始発を迎え撃つ準備が整いました。

朝日を受けて輝く北アルプスに向かって走る211系6連信濃大町行の後追い。左常念岳、右横通岳。今年は雪解けが早いようで残雪は以前訪れた5月半ばくらいの感じ。今日も日中は夏日の予報。

<3221M(211系3連×2)島高松~梓橋間>



同じ場所で上り1番電車のE127系100番台4連。気付いてみればこの車両も20年選手ですっかり大糸線の顔。

<3220M(E127系100番台2連×2)島高松~梓橋間>



続いて豊科~柏矢町間へ移動。ここには「除沢(よけざわ)川橋梁」という大変珍しい形をしたアーチ橋が架かっています。「交差型単弦アーチ橋」というそうで、太い鋼管のアーチが線路を斜めに跨いでコンクリートの橋げたを吊っています。クモハ40が活躍した時代には考えられなかった風景ですね。渡るのは先ほど上っていった3220Mの折り返し3121MのE127系。有明行なので終点はもうすぐ。

<3121M(E127系100番台2連×2)豊科~柏矢町間>



クモハ211-3035を先頭にしたN301編成。幕張から長野へ先陣を切って転入した編成(らしい)。115系追放犯として厳重に処罰したいところだが、にくいほどこの景色がマッチしてるじゃぁないか。アクラスさんプラキットはよ出しなはれ!w

<1522M(211系3連[長ナノN301編成])豊科~柏矢町間>



続いて安曇追分駅北側のチェックポイントへ移動するも、コンビニで時間ロスしたおかげで遅刻必至。やむなくイチかバチかで手前の踏切に駆け込んでみれば、屋敷林と背後の山々が織りなす誠に風情ある構図。怪我の功名というやつですな。車両は211系の6連。

<3224M(211系3連×2[長ナノN333編成+N303編成])有明~安曇追分間>



この後、細野駅にほど近い「道の駅松川」に車を停めて小休止ののち、以前にも来たことがある安曇沓掛~信濃常盤間へ移動。前回とは逆の東側から山を入れて撮影してみましたが、時期的にはちょっと中途半端でした。もう少し経つと田んぼに水が入り、美しく列車を映し出すでしょう。

<3227M(211系3連)安曇沓掛~信濃常盤間>



同じ区間の西側から白馬方向をバックに。こちらはまだ美しい雪渓がみられます。

<3228M(E127系100番台2連)安曇沓掛~信濃常盤間>



ここでしばらく列車の時間が空くので、少し戻ることになりますが「安曇野ちひろ公園」へ向かいます。ここには『窓ぎわのトットちゃん』に登場する「電車教室」を再現した電車(元長野電鉄)が静態保存されているとの情報を小耳に挟んだので尋ねてみました。なるほど手入れの状態も良く、2両の「モハ」と「デハニ」が広々とした公園の中に鎮座しています。こちらの詳細については別記事としてアップする予定。




30分ほど電車の内外を見物したのち、本日のメイン撮影地・信濃森上へ向けて車を走らせます。普通なら窓全開で心地よい緑の風に吹かれて・・・となるところですが、天気予報のとおり10時をまわったばかりなのにすでに気温は20℃を突破。たまらずエアコンに手が伸びます。



八方尾根をバックに南小谷を目指すE127系。大糸線屈指の有名撮影地だけあって迫力が違いますね。松本や安曇野では散り際だった桜がこちらでは満開です。

<5333M(E127系100番台2連)信濃森上~白馬大池間>



続いて20分後にE257系「あずさ3号」。

<4053M(E257系[M107編成]9連)信濃森上~白馬大池間>



こちらは南小谷から「あずさ26号」となる編成の送り込み。白馬駅周辺で蕎麦を食べ、戻ってからの撮影です。編成は・・・ん?同じM107? こちらも私と同じタイミングで白馬駅へ引き上げていたようです。

<回8351M(E257系[M107編成]9連)信濃森上~白馬大池間>



そしてこちら、長野~南小谷間を走るハイブリッド気動車HB-E300系「リゾートビューふるさと」もなんとかキャッチすることができました。南小谷へ向かう8361Dの後追い。時刻を読み違えていて、慌てて撮った割にはちゃんと撮れた1枚。

<8361D(HB-E301-2+HB-E302-2)飯森~白馬間>



南小谷到着後はいったん白馬駅へ回送されます。

<回8364D(HB-E301-2+HB-E302-2)信濃森上~白馬大池間>



白馬駅では本屋寄りの1番線で待機。撮影後ほどなくして、上り「あずさ26号」にホームを譲るため、再び南小谷へ向けて静々と発車していきました。

<HB-E301-2+HB-E302-2)白馬駅>



高原のそよ風とは無縁のうだるような暑さ、しかも欲張ってあちこち駆け回った撮影でしたが、雄大な北アルプスの峰々を眺めて走る大糸線の魅力を存分に堪能した1日でした。



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花月園運転会

2018-04-16 12:21:08 | 運転会
この週末、りゅーでんさん主催の花月園運転会に参加してきました。今回も滞在時間は短かったですが、中身の濃い時間を過ごすことができました。幹事さま、ご参加の皆さま、ありがとうございました。

今回のお題「昭和生まれのステンレス・アルミ電車」に挑戦したものの時間切れとなりました。同じく挑戦者の東ウラさんの秩父鉄道2000系(左・元東急7000系)、日光・宇都宮線用205系600番台(中央)、そして拙作の東急5200系(右・とりあえず塗装までは済み、ディティール、窓セルなし)であります。




大集合はD型電機。こちらは直流機でED60、61、62などが並びました。




D型は交流機が圧倒的に多いわけですが、こうして並べると屋根上が賑やかで、まるでどこかの変電所?てな風情。くの字前面のED72かっこいいっすねー♪




ステンレス電車はプチ集合でも集合。こちらは平成バリバリの電車も多し。




ヘッドカバーを表現したシートにフィギュアがぎっしり乗車する、なかむらさんのTOMIX223系2000番台。乗車率70%だそうです。一体一体ていねいに足をカッ・・・ いやいやこの先はご想像にお任せします。




ぼおるどういんさんのTOMIX455系ベースの北陸地域色改装車。ベンチレーターを撤去した屋根上の処理が完璧で、思わず愛でる撫でる攻勢をかけまくった次第。今回はその他の同氏のプラ改造車群もじっくり見せていただき元気を頂戴しました。




跨線橋の陰から京都地域色の113系がひょっこりはん。奥は川越線用209系ですかね。




快速ミッドナイトの北海道型キハ27。湘南色とコラボできるのも模型ならではです。




今回は東急5200系の仕上げに全精力を集中したため、少し化粧直しして運転しようと思っていた車両にまったく手を付けられず、かといって手ぶらで行くのもなんなので、定番の中央東線83レを少しだけ走らせました。EH200ブルーサンダーの牽くコキ+タキ混結編成です。コキは4両、タキは通常12両のところ当方の輸送力(笑)の関係で8両に減車しましたが、花月園クラスの大レイアウトではやはりフル編成が似合うようです。静止画のいいのが撮れなかったので動画でどうぞ。実車同様、長いコキから短いタキへのジョイント音の変化が楽しめます。




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東急5200系の製作(15)車体の箱組み

2018-04-12 09:47:16 | 私鉄電車
引き続き車体を組み立てていきます。

まずは3×3ヒノキ材で補強。カットするたびほのかに香るヒノキの芳香はいいですね。癒されます。




先に作っておいた妻板と組み合わせて箱にします。先行試作車では、屋根肩を曲げる際に、Rの変局点付近で角折れができて修正に苦労したので、今回は曲げる前に再度コルゲートを強く押し出したり、変局点付近のスジ彫りの位置を工夫したりして、なんとか一発合格となりました。




通風器は、先行試作車では1個ずつ屋根上で手作りしましたが、もはやそんな時間はないので、巻き寿司方式で長いものをカットして並べる方法としました。帯紙を重ねてルーバーとし、これにカバーを載せたもので、基本的な作り方は先行試作車のものと変わりません。




必要な長さにカットして所定の位置に接着。この後、半月状のフタを前後に貼り付けてパテ整形すれば完成となります。




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