ジョン・C・マクスウェルの友人の講演家・著述家にジグ・ジグラーという人がいます。
ジグラーもたくさんの本を書いていますが、その中に『逆境は成功のもと』(幾島幸子訳、日経BP社)という著書があります。
この本は、副題が「心を鼓舞する珠玉のコラム集」とあるように、元気が湧いてくる102の「ちょっといい話」が満載です。
今日から2回に分けて、この本の中から「元気が湧いてくるちょっといい話」を紹介します。
あるハイカーが山で突然の雪嵐に襲われ、道がわからなくなってしまった。一刻も早く避難場所を見つけなければ、凍死するのは目に見えている。必死で温めようとしても、指や足先からどんどん感覚がなくなっていく。さまよい歩いているうちに、彼は何かにつまずいた。それは凍死寸前の人間だった。
彼は二者択一を迫られた。この人を助けるべきか、それとも自分が生きるためにこの人を見捨てて先に行くべきか?
瞬時に彼は心を決めた。手袋を脱ぎ捨てて倒れている人の側にひざまずき、手足のマッサージを始めたのだ。2、3分もするとその人は反応を示し、ほどなく立ち上がれるまでに回復した。2人はたがいに励ましあいながら救助を待った。
このハイカーは人を助けようとしたことが、結局、自分を助けることになったと述懐している。相手の手足をマッサージしているうちに、自分の手足の麻痺も消えたという。必死に動かしたため血液の循環が良くなり、手足に温かみが戻ったのである。
(第39話「情けは人のためならず」P.93)
ジグラーは、この話の最後を次のように結んでいます。
人生という山の頂上に到達する唯一の道は、己を忘れ、他人がより高いところに到達できるよう助けることだ。私はそう確信している。