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アドラー心理学による勇気づけ一筋40年 「勇気の伝道師」   ヒューマン・ギルド岩井俊憲の公式ブログ



会社と個人を元気にするキャリア・カウンセリング
金井 壽宏編著
日本経済新聞社

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ヒューマン・ギルドの岩井俊憲です。

今日(2月17日)は、明日の研修に備えて午後から山口県に入り、湯野温泉(周南市)で体を癒し、今は、同じ周南市のホテルでパソコンで仕事をしています。

さて、最近、仕事上のニーズからキャリア・カウンセリングの本を読みました。
『会社と個人を元気にするキャリア・カウンセリング』(金井壽宏編著、日本経済新聞社、1,500円+税)という本です。

この本は、神戸大学教授の金井壽宏氏が軸となり、主に臨床心理学関係の6人の学者が分担執筆(金井氏も含む)しただけに、一般のキャリア・カウンセリングの本とはかなり趣が異なり、面白かったです。

とりわけ第5章の「うつ克服の道を求めて」は、倉光修氏(大阪大学大学院人間科学研究科教授)が担当し、他の著者とはまったく異質で、次の3つの点で私の興味を引きました。

1.「中年よ、小志を抱け」

2.「最も重篤なクライエントは、生きているだけで業績なのだ」

3.「仏様のことば(丁度よい)


1.「中年よ、小志を抱け」

有名なクラーク博士の札幌農学校での「少年よ、大志を抱け」のことばは、あまりにも有名ですが、倉光氏は、このことばに次の意味を込めています。

「それは、少量生産、少量消費、自然を大切にし、個性や多様性を尊重し、オーダーメイドで高品質の製品(サービス)を創造することである。それはまた、基本的欲求の満足から高次欲求の満足へ、物質文明の快楽から精神文化の高さへと志向性を転換するマイノリティーの努力である」

私たちの身の回りを見渡してみると、志を失った中年があまりにも多く存在します。
そんな人たちにいきなり大志を抱くように煽るよりも、まずは、小志を持つことを勧めるのは、理に叶っていると思います。

2.「最も重篤なクライエントは、生きているだけで業績なのだ」

倉光氏は、このことばの前に、次のように書いています。

「(多くのうつの人は)実際は、できていることが最善のことなのだ。それ以上しようとすると、かえってうつを悪化させてしまう。枯れた泉を底までさらえば、再び水が湧いてくるまでしばらく待つしかない。傷ついて心から血が流れているとき、外からそれが分からないからといって、『早く走れ』というのは酷なことである」

それにしても「生きているだけで業績」というのは、迫力があります。

3.「仏様のことば(丁度よい)

倉光氏は、石川県常讃寺坊守の藤場美津路さんが1982年に発表した「仏様のことば(丁度よい)という題の詩を紹介しています。

この詩がとても味わい深いので、下に記します。

「仏様のことば(丁度よい)

お前はお前で丁度よい
顔も体も名前も姓も
お前にそれは丁度よい
貧も富も親も子も
息子の嫁もその孫も
それはお前に丁度よい
幸も不幸もよろこびも
悲しみさえも丁度よい
歩いたお前の人生は
悪くもなければ良くもない
お前にとって丁度よい
地獄へ行こうと極楽へ行こうと
行ったところが丁度よい
うぬぼれる要もなく卑下する要もない
上もなければ下もない
死ぬ月日さえも丁度よい
仏様と2人連れの人生
丁度よくないはずがない
丁度よいのだと聞こえた時
憶念の信が生まれます
南無阿弥陀仏

なんだかお経を読んだような気分になります。
あなたも味わってください。


<お目休めコーナー> 萩の口羽家の庭から

 



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