見もの・読みもの日記

興味をひかれた図書、Webサイト、展覧会などを紹介。

写経と中国古玩/根津美術館

2004-08-14 22:03:18 | 行ったもの(美術館・見仏)
○根津美術館『写経-心の書-』&併設特別展『中国古器愛玩』

http://www.nezu-muse.or.jp/

 久しぶりに根津美術館へ。5月の中国絵画展に比べると格段に観覧客が少なく、ひっそりしていた。まあ、マニア向きな主題だものね。でも美術館はこのくらいの落ち着いた雰囲気がいい。最近の美術館には珍しく、展示品にいちいちコメント(解説)をつけていないことも好ましかった。

 第一室の「写経」はほぼ時代順になっていて、奈良モノから始まるので、ふーん、そろそろ平安で、あのへんから鎌倉、室町かな...と思いながら見ていったら、いつまでたっても延々と奈良モノが続くので、びっくりした。かなりの名品揃いである。跋文のあるものは、なるべく跋文を見せるように展示してくれているようで嬉しかった。

 そのあと、ものはついでくらいの軽い気持ちで第二室の「中国古器愛玩」にまわったら、これがやたら楽しかった。個人収集家のコレクションらしいが、中国美術の初心者は、こういう展示から入るといいんじゃないかと思う。

 玉器や青銅器やら文具やら、実にさまざまなものが少しずつ並べてあって飽きない。個人レベルで愛好・収集していたものだから、おおむねサイズが小ぶりでかわいい。とにかく好きなもの、ぱっと見て楽しいもの、身の回りに置きたいものを選んでいるとおぼしい、収集者の素直な愛情が伝わってきて、共感できる。

 以前、台湾の故宮博物院に行ったとき、書画だの陶器だの名品を一日たっぷり見た最後に、「珍玩多宝格」という始めて聞く名前の展示室にたどり着いた。たちまち疲れを忘れて、大興奮!!だった。「多宝格」というのは、要するに仕切りの多いお弁当箱みたいな箱に、文具とか人形とか装身具とか、自分の好きなものを並べて収めたものである。詳しくはこちら

 そう、日本美術にも「万国博覧会の美術」みたいな、あざとい、大きい、派手なものがあるかと思えば、中国美術にも、こんなふうに小さくてかわいいものがあるのだ。

 根津美術館の『中国古器愛玩』展には、大きな水墨画も3幅飾られている。いずれも明代のもの。なんとなく涼を感じる作品で、猛暑の折、意識的に選んだのかな?とも思った。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする