■西湖
杭州のローカルガイドも女性の徐さん。西湖の遊覧船が発着する蘇堤のたもとは、朝からものすごい混雑。身動きできないほどのお客を詰め込んだ、奴隷船みたいな船も出て行く。我々の乗った船は、外国人ツアーが多く、あちらで英語、こちらで韓国語の説明が飛び交う。接近中の台風の影響でかなり風が強い。白堤の柳が激しく一方向に煽られている。
■西冷印社
電気自動車で白堤を渡り、西冷印社、浙江省博物館などが並ぶ孤山という島へ。
ちなみに蘇堤は蘇東坡、白堤は白楽天が造った堤とされているが、後者には異説もあるらしい(古来、日本人は白楽天好きだから、この説、動かないんだろうなあ)。ガイドさんは別の説明をしていた。
西冷印社は、清末に活動を始めた学術団体で、金石篆刻の研究を行っている。ひととおり見学のあと、文具の販売所に案内される。確かに観光地のおみやげ屋 よりいいものを扱っていると分かる。「ここは学術団体だから絶対安くしないのよ」という菅野さんの話だったが、最近は商売気が優ってきたのか、お愛想程度に負けてもらい、お土産の朱肉を購入。
一方、栗林さんは、定価6万円の絵画の掛け軸に執心。ご主人のほうはあまり乗り気でなかったが、結局、家庭内で商談(?)が成立した様子。多少のディスカウントはあったものの、我々の中国ツアーの「高額お買い物記録」を大幅に更新することになった(これまでの記録は菅野さんの拓本1万円)。
■浙江省博物館、楼外楼
浙江省博物館は「そんなに大きな博物館ではありません」と言われていたが、十分見応えがあり、構内にある文瀾閣(四庫全書を収めたところ)の建物を見落としてしまった。
西冷印社と博物館に挟まれた位置にあるのが、杭州随一の老舗レストラン、楼外楼である。「東坡肉」(ご存知トンポーロー)「龍井蝦仁」(ロンジン茶葉で 味付けしたエビの炒めもの)など杭州名菜が並ぶ。「叫化童鶏」(コジキドリ)は、詰め物をしたトリを蓮の葉に包んで蒸し焼きにしたもの(これって「射雕英雄伝」に出てきたなあ!)。飲みものは杭州ブランドの「西湖ビール」。もちろん、紹興酒も忘れない。
杭州名菜”乞食鶏”の食べかた |
というわけで、このツアー初めての贅沢な食事を満喫する。やっと、いつもの中国に来た気分(やっぱり、中国旅行で食をケチってはいけないかな?)。当 然、食事代はいつもの予算をオーバーしたが、栗林さんが掛け軸を買ったことで、我々のランクが跳ね上がったのではないかとささやきあう。
■杭州碑林、白塔、六和塔
杭州碑林を見学。碑林のそばに「娃哈哈小学校」(娃哈哈 wahaha は中国の飲料メーカー)というのがあった。
銭塘江河畔の白塔と六和塔に向かうはずが、ローカルガイドの徐さんは「白塔はもうない」と言う。しかし、杭州で買った2004年版の旅游地図にもマークは載っているのだが。「どうします?」と相談を受け、団長の石川さんが「とりあえず、その場所にだけ行ってみてください」とお願いする。
行ってみると、周辺には新しい高層マンションが建ち並んでおり、これは本当に無くなったかな?という雰囲気。しかし、窓の外を見ていた石川さんが、道路から少し奥まった木立の中に、塔の先端らしきものを見つけ、「車を止めてください」と声をかける。
塔までの道を探している時間がないので、運河を挟んだ工事現場からの遠望になってしまったが、とりあえず見ることができて満足。「すみません。会社では、なくなったと聞いたものですから」と恐縮するガイドさん。まあ、我々の行き先が少々変り種すぎるのであろう。
六和塔は塔の下までは行ったが、見上げるだけに終わった。
■霊隠寺
閉門時間を気にしながら、山の中にある霊隠寺へ。集合時間を決めてもらって、門前の「飛来峰」(天竺から飛んできたと言われる)を自由散策する。文殊、普賢、弥勒(実は布袋さん)など、個性のはっきりした石刻像がおもしろい。
岩壁には○○洞、××洞という名前が赤字で書いてあるので、いちばん古い「青林洞」を探したが、見つからずに時間切れ。出口まで戻ったところで案内板を見つけ、やっと青林洞の位置が判明する。石川さんは「写真を撮ってくる」と駆け足でUターン。
駐車場のマオさんに合流して「石川さんは後から来ます」と報告すると、「石川さんは熱心ですねえ」と感心する。「彼はおいくつですか?」と年齢の話に なったので、「いくつだと思いますか?」と聞いてみたら、「うーん。35歳」というのは、かなりサービスが入った答え。「いや、気持ちはきっと35歳でしょう」とのこと。
最後に龍井茶の販売所に立ち寄る。無錫の真珠クリーム、蘇州のシルクふとんなど、お買いものスポットでは断固として財布の紐を緩めなかった我々だが、西冷印社と楼外楼の豪遊ですっかり鷹揚な気分になり、「7缶で1万円?じゃみんなで」と共同購入。
■夜のエンターティメント
夕食後は、オプション料金を払って「西湖之夜」というショーを見に行く。歌ありダンスあり雑技あり、ひとことで言えば豪華絢爛、大人数がめまぐるしく登場するエンターティメントである。しかし、杭州の歴史を素材にした第一部はともかく、西洋人のダンスチームが登場する第二部は予想外だった。田舎から杭州に出てくる中国人観光客にとっては、格好の娯楽なんだろうな。
【2019/5/4 geocitiesより移行】