見もの・読みもの日記

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東博リニューアル

2004-09-11 21:20:55 | 行ったもの(美術館・見仏)
○東京国立博物館 本館リニューアル

http://www.tnm.jp/

 9月1日にリニューアル・オープンした東博の本館(平常展)を見てきた。

 うーん。そうねえ。館内の案内板は分かりやすくなったと思う。途中の休憩スペースも心なしか居心地がよくなった。それから、ところどころにパソコンが置かれていた。まだ物珍しいので、触っているお客さんをそこそこ見かけたが、今後はどうだろうか。

 仏像の多い「彫刻」の部屋は位置が変わって、入口に近くなった。展示品は、だいたい見覚えのあるもので、あまり変わっていなかったが、照明が格段によくなった。ただし、これは功罪半ばという感じがする。

 細部が見やすくなったのはうれしい。しかし、黒一色の背景に、あんなふうに計算しつくされた照明を当てられては、せっかく実物を前にしているのに、仏像を見ているというより、芸術写真を前にしているようで、ちょっと興覚めである。かえって、本来あるべき舞台装置(光背とか厨子とか五色の垂れ幕とか)を、頭の中で補いたくなる。

 2階は1年くらい前に「分野別展示」→「時代順展示」に大きく変わったばかり(?)ので、今回はマイナーチェンジである。この春、奈良博の「法隆寺展」に出ていた木製の菩薩立像が出ていた。東博では新顔だと思う。

 今回の目玉は、何と言っても「平治物語絵巻・六波羅行幸巻」だろう。展示台をやや高めに(目の位置に近く)設置して、しかもやや手前に傾斜させた工夫には、大いに感謝したい。非常に見やすくて、細部まで楽しめた。あれ?こんなに色が鮮やかだったっけ?とびっくりしたほどだ。

 時代別では「安土・桃山・江戸」が、がんばっていたように思う。荻生徂徠の書いた「天狗説屏風」は筆跡になかなかの味わいがある。狩野探幽の「走獣巻」はイイ!とにかく現物を見て欲しい、かわいい、さすが天才である。天才といえば光琳の「仕丁図扇面」も。なんでもない小品なのに、一度見るともう目を離したくなくなる不思議な魅力がある。

 ちょっとうんざりしたのは、ボランティア解説員の姿がやけに多かったこと。ちょうど平治物語絵巻のあたりを、大きな団体さんを引き連れた解説員が2組まわっていたが、聞こえてくる説明が(内容も、話術も)いかにも素人っぽくて、うっとおしかった。

 やるならプロにやらせろよー。予算が無いのは分かるけどさ。山口の周防国分寺展でギャラリー・トークをしていた若い学芸員さんは、プロフェッショナルらしい”控えめな自信”が感じられてよかったのになあ。。。

 ついでに書いておく。東洋館1階にあった「精養軒」が撤退して、新しいレストランに変わったが失望した(高くなったのに、味は水準以下)。その隣で「アジアン・カフェ」を始めて、アジア各地の缶ビールを売るようになったのは、ちょっと進歩だが、軽食メニューが1品程度しかないのでは、座る気にならない。外のテラス席しかないようだし、夏場限定のつもりなのかな。

 法隆寺館の「ホテルオークラ」も、味は納得できるけど高すぎ。東博が本気でリピーターを増やしたいのなら、この食環境、もうちょっと改善してほしい。

コメント (1)
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