見もの・読みもの日記

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晴れやかな祝祭/厨子当官

2004-09-26 00:54:35 | 見たもの(Webサイト・TV)
○連続電視劇《厨子当官》30集

http://www.whtv.com.cn/wlds/dsj/czdg.htm

 久しぶりに中国の「古装劇」にハマった。清末に題材を取った軽喜劇である。

 『中華料理四千年』の項でも書いたが、主人公の「民間神厨」石竹香と、そのライバルである「宮廷御厨」牛不耕の対立の背景には、西太后と光緒帝(および康有為一派)の確執がある。

 描き方によっては、シリアスな歴史ドラマになるところ、これは、重たい史実をさらりと交わし、清末という時代を、優雅な宮廷風俗や古き良き人情が、新しい思想や西洋の文物と交錯する活気ある時代として捕らえている(自分たちの近代史を、いまの中国の人々がこういうふうに受け止めているということが私には興味深い)。

 とにかく、全編に横溢する晴れやかな気分が、私がこのドラマを鍾愛する最大の理由である。

 主人公の石竹香を演じる李保田は「菊豆」「上海ルージュ」、最近では張芸謀の「Keep Cool」にも出演している。私はこのおじさんの喋る中国語が好きだ。だいたい中国語という言語は抑揚があり過ぎて、日本人には聞きにくいものだ。しかし、このおじさんの喋り方は(役柄かも知れないが)、淡々としていて聞きやすい。

 奥さんもいい。グラマラスで目鼻立ちのはっきりした中華美人。王璐瑶という女優さんで、きれいで若々しくて茶目っ気があり、しかも聡明な奥さんを演じている。枯れた老人みたいな亭主と「老頭子」「夫人」と呼び合う様子が、仲むつまじ気でほほえましい。

 脇役もそれぞれいいのだが、私は傅巡検がひいきである。絶対笑顔を見せない生真面目な武官。いざとなればスカッとした立ち回りを見せてくれる。目のくりっとした童顔で口髭の似合わないところが、かわいい。私は清朝の文官の正装も好きだが、傅巡検の着ている武官の制服もカッコいいと思う。あれは正確な時代考証に基づいているのかしら?

 しかし、途中で、傅巡検は石竹香の奥さんの兄であるという設定が分かってびっくりした。そりゃあちょっとムリがないか。どう見ても王璐瑶のほうが年上だろう。中国の時代劇って、ときどき、中年の女優さんに無理な若づくりを強いるところが難である。

コメント
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