○江戸東京博物館 特別展『尾張徳川家の至宝』(2013年1月2日~2月24日)
久しぶりに名古屋の徳川美術館を見てきた翌週、そうそう、こっち(東京)も始まっていた、と思って行ってきた。冒頭は、尾張家初代・徳川義直が用いた銀溜白糸縅具足。品のよい拵えである。太刀、采配、弓、馬具、鉄砲の展示が続く。あ、徳川美術館の第1室と同じ構成だな、と思う。石首魚石入蝋色塗刀拵(いしもちいしいりろいろぬりかたなごしらえ)というのが、ドット柄で愛らしかった。
次は茶道具。まず、伊賀耳付花生の斬新な造形が気に入って、横から見たり、後ろから見たりしてみる。これは、徳川家伝来でなく、名古屋の豪商・岡谷家(岡谷鋼機)からの寄贈品。茶碗では、小ぶりな油滴天目(星建盞)(青がきれい!)と黄天目が好きだ。なぜかめずらしく茶杓も気に入って、しばらく目を離せなかった。
そして能面・能装束。ここまで徳川美術館そのままじゃないかと思っていたが、次は「香」をテーマに、香炉、香合、香木、華やかな香道具などを展示。たぶん、男性的な武家文化から趣きを変えて、特別出品の『源氏物語絵巻』と『初音の調度』につながりやすくしたのではないかと思う。
『源氏物語絵巻』は「柏木(三)」と「東屋(二)」が来ているが、私が行った日は、どちらも田中親美による模本だった。これだけ迫真の模本なら、ゆっくり見られて満足。『初音の調度』(家光の娘・千代姫が尾張家に婚嫁する際持参した調度)からは蒔絵貝桶が出ていた。日本蒔絵史上の最高傑作なのか…きれいだと思うけど、いまひとつ価値がよく分からない。
むしろ、春姫(義直正室)所用の琴(銘・小町)の側面の飾りに息を呑んだ。冊子や扇の精巧なミニチュアが可愛い! 蒔絵の碁盤・将棋盤・双六盤もあった。双六盤は、正倉院御物から19世紀・江戸時代まで、基本的に変わらないんだな。同じく19世紀・江戸時代の毬杖(ぎっちょう)の道具もあった。杖の先には槌でなく網が付いていて、ラクロスのスティックみたいだった。
最後の書画は、詞書を秀忠が書いた『源氏物語画帖』とか、伝・家康筆『夷図』とか、面白いものもあったが、優品は出し惜しみしている感あり。まあ仕方ないだろう。神谷晴真・楠本雪渓筆『百鳥図』が面白かった。もとになった『百花鳥図』は、清・康煕帝が作成を命じ、雍正帝の時に完成したカラフルな豪華図譜で、乾隆2年(元文2/1737年)に日本に渡来したが、原本は中国に残っていないそうだ。展示品は、幕府所蔵の『百花鳥図』を尾張家で写したものとあった。
常設展示室の企画展『笑う門には福来る』(2012年12月11日~2013年1月27日)と『浮世絵の中の忠臣蔵-江戸っ子が憧れたヒーロー』(2012年12月11日~2013年1月27日)もついでに見ていく。後者は、歌川国芳の『誠忠義士伝』シリーズ50点(揃)が見られて、嬉しかった。ほんとカッコいいわー。国芳には、より写実的に人物をクローズアップで描いた『誠忠義士肖像』の連作もある。これは今回、展示4点。刊行点数はもう少し多かったと思う。
久しぶりに名古屋の徳川美術館を見てきた翌週、そうそう、こっち(東京)も始まっていた、と思って行ってきた。冒頭は、尾張家初代・徳川義直が用いた銀溜白糸縅具足。品のよい拵えである。太刀、采配、弓、馬具、鉄砲の展示が続く。あ、徳川美術館の第1室と同じ構成だな、と思う。石首魚石入蝋色塗刀拵(いしもちいしいりろいろぬりかたなごしらえ)というのが、ドット柄で愛らしかった。
次は茶道具。まず、伊賀耳付花生の斬新な造形が気に入って、横から見たり、後ろから見たりしてみる。これは、徳川家伝来でなく、名古屋の豪商・岡谷家(岡谷鋼機)からの寄贈品。茶碗では、小ぶりな油滴天目(星建盞)(青がきれい!)と黄天目が好きだ。なぜかめずらしく茶杓も気に入って、しばらく目を離せなかった。
そして能面・能装束。ここまで徳川美術館そのままじゃないかと思っていたが、次は「香」をテーマに、香炉、香合、香木、華やかな香道具などを展示。たぶん、男性的な武家文化から趣きを変えて、特別出品の『源氏物語絵巻』と『初音の調度』につながりやすくしたのではないかと思う。
『源氏物語絵巻』は「柏木(三)」と「東屋(二)」が来ているが、私が行った日は、どちらも田中親美による模本だった。これだけ迫真の模本なら、ゆっくり見られて満足。『初音の調度』(家光の娘・千代姫が尾張家に婚嫁する際持参した調度)からは蒔絵貝桶が出ていた。日本蒔絵史上の最高傑作なのか…きれいだと思うけど、いまひとつ価値がよく分からない。
むしろ、春姫(義直正室)所用の琴(銘・小町)の側面の飾りに息を呑んだ。冊子や扇の精巧なミニチュアが可愛い! 蒔絵の碁盤・将棋盤・双六盤もあった。双六盤は、正倉院御物から19世紀・江戸時代まで、基本的に変わらないんだな。同じく19世紀・江戸時代の毬杖(ぎっちょう)の道具もあった。杖の先には槌でなく網が付いていて、ラクロスのスティックみたいだった。
最後の書画は、詞書を秀忠が書いた『源氏物語画帖』とか、伝・家康筆『夷図』とか、面白いものもあったが、優品は出し惜しみしている感あり。まあ仕方ないだろう。神谷晴真・楠本雪渓筆『百鳥図』が面白かった。もとになった『百花鳥図』は、清・康煕帝が作成を命じ、雍正帝の時に完成したカラフルな豪華図譜で、乾隆2年(元文2/1737年)に日本に渡来したが、原本は中国に残っていないそうだ。展示品は、幕府所蔵の『百花鳥図』を尾張家で写したものとあった。
常設展示室の企画展『笑う門には福来る』(2012年12月11日~2013年1月27日)と『浮世絵の中の忠臣蔵-江戸っ子が憧れたヒーロー』(2012年12月11日~2013年1月27日)もついでに見ていく。後者は、歌川国芳の『誠忠義士伝』シリーズ50点(揃)が見られて、嬉しかった。ほんとカッコいいわー。国芳には、より写実的に人物をクローズアップで描いた『誠忠義士肖像』の連作もある。これは今回、展示4点。刊行点数はもう少し多かったと思う。