付け焼き刃の覚え書き

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「ドイツ・アメリカ連合作戦」 スティーヴン・ハーディング

2017-06-16 | 戦記・戦史・軍事
 第二次世界大戦末期、ナチス武装親衛隊が設置していたイッター城収容所で戦闘が発生した。
 この収容所に捕らえられていたのは、フランス元首相や大臣など連合国側の重鎮やその家族たち。敗戦間際の混乱で守備隊が逃亡していく中、ヒトラーを見限ったドイツ国防軍将兵や元武装親衛隊将校らがフランス人たちと呼応して蜂起。奪回を試みる武装親衛隊と交戦状態になったのだ。
 救援要請を受けたアメリカ軍の第783戦車大隊のシャーマン戦車がイッター城へと向かうが、これに対して管区が違う越権行為だと同じアメリカ軍から制止が入り……。

 イッター村の歴史から城がいかに収容所となって名誉囚人を受け入れるようになった過程からその終焉と、そこに居合わせた人々の戦後まで。
 フィクションには本来敵対しているはずのものたちが、協力して敵と戦うことになるという話があります。特撮ヒーローやアニメには「ここは一時共闘だ」みたいな話がちょくちょくありますが、戦争ものにはあまりないようです。パッと思いつくのは宇宙人と戦ったり銀行吹き飛ばしたりするくらいかな。
 ところが事実は小説よりも奇なりで、第二次大戦中、本当にあったアメリカ・ドイツ連合作戦。マクリーンかヒギンズあたりが書いていそうです。似たような話があったよね?
 最大の障害がお役所的縄張り争いだったり、共に幽閉されていた政敵同士フランス人が最後までいがみ合い、戦後は回想録で互いを非難し合うというダメダメさ加減も、こりゃフィクションじゃないなと思わせるものでした。これがリアリティじゃなくてリアルというやつですね。

「そうだな、ありゃあ、とんでもないことだった」

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コメント
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