付け焼き刃の覚え書き

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「異世界のんびり農家01」 内藤騎之介

2018-07-06 | 異世界転移・召喚
「落ち着いたら、あの42人も俺の寝室に来るのだろうか」
 村も少しずつ住民が増えてくるが、なぜか移住希望者はすべて若い女性ばかり。こんな森の奥まで逃れてくるにはそれなりの訳ありで、戦に巻き込まれて男は残って最後まで戦ったからとかいう事情があったりするわけだけれど、村でただ1人の男としてはせめてもう何人か男性が欲しいとヒラクは思わないではいられない。

 街尾火楽は39歳で病死した。良いこともない人生で、ブラック企業で酷使され、病院で10年近く闘病しての死だ。
 そんな彼に異世界で人生をやり直しさせてやろうという神様に、ヒラクは願った。今度の人生は、健康な体で、人のあまりいないところで農業をやって生きてみたいと。
 彼が送り込まれたのは森の中。死の森と呼ばれ、普通の人間なら兵士や猟師でも1時間も持たずに死んでしまうであろう、魔獣の跋扈する土地だった……。

 健康な体にしてもらった男が、人の住めるはずもない危険な密林の真ん中に住居と畑を作り、そこに人が集まり、次第に村が大きくなっていく物語。最初120ページほどは、ひたすら住居を作り、畑を耕し、やってくる獣や魔獣を相手にする日々。文字通りののんびり農家。普通にチートでハーレムになっていくわけですが、この序盤の農作業の日々が溜になってます。
 本の作りも丁寧で、表紙を開くとまず野菜。そこの仕掛けにどっきり。章ごとに村が大きくなっていく様が地図で記され、イラストもきちんと見せ場を押さえている安心設計。良い仕事してるわー。
 ウェブ版は携帯小説みたいな単文が続く、主人公のモノローグと会話文中心の構成で、これ、文章としてどうかなあ?と思わないでもなかったけれど、その時点で400話以上ある話をもう1度読み返し始めた時点で「ああ、この話は面白いし、自分は好きなんだ」と確信し、買いに走って正解。ただ、あえていうなら「槍は農具じゃない」と思うんです。せめて熊手かピッチフォーク、もしくはスコップにしとけよと。

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