付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「モリー・テンプラーと蒼穹の飛行艦」 スティーブン・ハント

2020-04-05 | ヒロイックファンタジー・ハイファンタジー
「いいかね、りんごのひとつが腐っているからといって、ひと樽全部が腐ることはない」
 シャドウクロック知事の賛辞。

 貧しい少年オリバーは妖精フェイの容疑をかけられた。それだけでなく、警官殺しの連続殺人犯の濡れ衣を着せられ、警官たちに殺されるところだった彼を救ったのはハリー・ステイブ。絞首台から逃げて逃走していた殺し屋であり、連続殺人犯のボスとされていた男だった……。

 19世紀のイギリスを髣髴とさせる世界ミドルスティームを舞台にした冒険ファンタジー。蒸気と魔法のスチームパンクですが、タイトルにある赤毛の少女モリー・テンプラーはどちらかといえば複数の主人公の1人という位置づけで、序盤に動き回るのは魔法の霧(フェイ)感染者と疑われている少年オリバー・ブルックスで、さらに飛行艦の艦長とか謎の殺し屋とかあれこれ登場人物が入り乱れます。
 ハリー・ポッターが好評を博し、ファンタジーっぽい児童文学の翻訳が一気に増えた20世紀末から21世紀初頭。『テンプル騎士団の遺産』とか『ロマノフの血脈』などの翻訳文芸を刊行していたエンターブレインが、いきなりアニメタッチの表紙イラストをつけて刊行した1冊。一連のコレクションの中で、これだけが異彩を放ってます。ちょうど桝田省治『ハルカ 天空の邪馬台国』と同じ時期ですね。『ドラゴンランス完璧版』とか翻訳文芸は続きますが、この作品の続編はなし。一番続いているのが『ニンジャスレイヤー』というあたりです。

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