付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「Planetreconstruction Company Online」 タカセ

2020-04-28 | 破滅SF・侵略・新世界
 違法ツールによる事故のせいでVRMMOゲームに規制がかかった時代。
 ゲームマスターというか極悪ボスキャラの中の人を担当していた三崎伸太は、プレイヤー時代の相棒と再会するが、実は彼女は宇宙の彼方からアクセスしていた宇宙人だった。
 勘の良い人間というか妄想の激しいプレイヤーは「このゲームはリアルすぎる。ゲームじゃなくて現実だ。宇宙人が地球を征服するために仮想ゲームを利用しているに違いない」と主張するのだけれど、この妄想はほとんど当たっていて、ただ違っているのは「地球を征服するため」という一点。太陽系の所有権はもう何万年か前にとある弱小の惑星改造会社が手にしていたのだ……。

 正直、「ソードアート・オンライン」以来、タイトルになんとかオンラインとついた作品は掃いて捨てるほどあって、しかもその大半が導入部こそあれこれ工夫して面白いのに、すぐに誰かのゲームプレイ日記みたいなルーチンに陥って、しかも延々と終わらない……というありさまなのだけれど、その原因の大半が「ゲーム世界のことしか考えて描写していない」ことにあるんじゃないかなと思います。
 デスゲームでもない限り、オンラインゲームにサービス終了以外に終わりはないわけで、あとはせいぜい「飽きた」「仕事が忙しくて時間がない」くらいじゃ、ゲーム単体をテーマにしてたら話は絶対に終わりません。
 ちゃんと物語が転がる話というのは、「デスゲームからの脱出」を含めて、ゲームの攻略以外にもストーリーの軸があって両輪で進んでいるので、まっすぐにぐんぐん走るのです。

 この話は、地球とは隔絶した圧倒的な技術力やら軍事力やら持っているのに、銀河規模では倒産寸前の中小企業という、「エリアル」のゲドー社側のストーリーが好きだった人にお勧め。バーチャルゲームの舞台が実は別世界のリアルだったり、ゲーム世界がリアルを侵食する話は1つの定番ですけれど、運営側視点の話は珍しい気がします。死んだはずの家族や恋人からのメッセージが届いたり、目の前にいる男が以前に死んだのを目撃した記憶が蘇ったりとか、実は人類文明・太陽系の危機だったというあたりはハヤカワSF向きではないでしょうか。

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コメント
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