付け焼き刃の覚え書き

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「海浜棒球始末記~ウ・リーグ熱風録」 椎名誠

2009-06-18 | 冒険小説・旅行記・秘境探検
「縄文式の竪穴住居にこもって銀座OL相手に棒ふりまわしてんだって?」
 最初は世間の認知具合はこんなもんでした。

 奄美大島の砂浜で椎名誠が見かけたのは、流木をバットにして浜辺に転がっていた浮き玉を打つという三角ベースボールに興じている漁師たちの姿だった。
 浮き玉は、発泡スチロール状の玉の真ん中に穴が開いているため、投げても打っても風の影響で変化しまくり。どこへ飛んでいくのかなかなか予想できないという面白さと普通の野球ほど遠くに飛ばないという手軽さで、たちまちみんなのお気に入りに。
 その仲間うちでの遊びが瞬く間に全国に広がり、加盟数50チームを超える全国リーグになっていく顛末を綴ったもの。
 
 ただし、タイトルに偽りあり。「始末記」といいつつ始末がついておらず、2001年の単行本刊行時はおろか、2004年の文庫版刊行時にもリーグは健在というあたりが嬉しいじゃないですか。
 こういう遊びが難しいなあと思うのは、規模が大きくなるのも愉しいのだけれど、人に広めていくということはルールをはっきりさせ組織を整備していくということなので、ある意味で野放図な三角ベースボールと相反することになってしまうということ。そのあたり、長く続いているということは、良いさじ加減にできたということなんでしょうね。
 みんなでわいわい酒呑んで金属バット振り回して走り回るという愉しさを大事にしてもらいたいです。

 問題は浮き玉の確保で、もともと浜辺に漂着していたものを利用しているので、どこかのスポーツ用品店で買いそろえるわけにはいきません。手分けして浜辺を歩き回り拾い集めて各チームに送るのにも限界があるというのに、いったいどこから流れてくるのか謎のままなんだとか……。

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