付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「コンプRPG」  コンプティーク6月号増刊

2017-12-13 | エッセー・人文・科学
 雑誌「コンプティーク」は今もあるらしい。最近めっきりゲーム関連には疎くなってしまい、アマゾンで検索してみたらまだまだ出ていました。
 その「コンプティーク」が90年代に増刊として刊行していたのが『コンプRPG』。こちらはもう10年以上出てないようですが、その1995年6月号増刊の特集が「メイルゲームで遊ぼう」。表紙にも大きく「メイルゲームに参加しよう!!」のあおり文句が載ってます。
 こうして見ると、このあたりがPBMのジャンルとしてのピークなのかなと思います。
 次第に、単純な謎解きとかアクションならインターネットを通じたパソコンでプレイするMMORPGの方がコストパフォーマンスが良くなり、ひたすら人海戦術で「プレイヤーが作成したキャラクターが登場する小説」を書くタイプのPBMは完全に採算が成り立たなくなっていきます……というか、その初期からPBMというのはなんとかパソコンで機械処理できる部分を増やそうと四苦八苦していたものの、結局は人件費の塊で、担当するマスターは作業量の割りに実入りの少ない商売でした。なにせ毎月小説なら単行本1冊か2冊分くらいの分量はあたりまえに書き上げないと参加プレイヤーを処理できないのに、時給換算したらコンビニのレジ打ち以下の手当にしかならなくて、その上、なにかと打ち合わせで会社まで出て行くのに交通費は自己負担はあたりまえという業界。何本かメインでマスターを務めた人などは「会社を辞めた途端に生活が楽になった」と語ってました。その後、ゲームとしてのPBMから「あなたのキャラクターを主人公に小説を書きます」とか「あなたのキャラクターのイラストを描きます」「声をあてます」みたいな方向に流れができていき、ゲームとしてはMMORPGの勝ちとなります。
 ただ、毎月何十何百というプレイヤーが好き勝手に書いたアクションをまとめて、整理して、筋道立てて、山場とヒキを作り、それなりにプレイヤーが面白いと満足するような小説仕立てのリアクションを5万byteも10万byteも書ける人は、PBMのマスターを辞めても作家とかライターとして十分にやっていけるのですね。

【コンプRPG】【コンプティーク6月号増刊】【角川書店】
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