付け焼き刃の覚え書き

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「信長の庶子(三)」 壬生一郎

2019-12-26 | 戦国転生・歴史改変
「目の色が変わったな。男は二度、そういう時がある。一度は、始めて女を抱いた時、もう一度は、人を殺した時だ」……という言葉を二度三度と聞かされる帯刀であった……。

 朝倉、浅井、延暦寺、本願寺による信長包囲網を打ち破ることはできなかった。なんとか和議に持ち込めはしたが、織田の一族にも討ち死にする者が出た。だが、織田信長は野望を隠し、臥薪嘗胆で逆襲の機会を覗い、庶子で長子、織田信正は家内の混乱を防ぐため村井重勝と名を改め、あらためて家臣として織田家を支えていくことを誓う。
 その頃、直子の存在をいぶかしむ声も聞こえ始めていた。
 文武で活躍する重勝こと帯刀は確かに麒麟児と呼ばれるほどの才覚を見せたが、それはあくまで試行錯誤の上での結果。しかし、直子は違う。彼女のやることなすことは、どういう理屈で思いついたか分からない。そう、最初から正解を知っていたかに思えるのだと秀吉や半兵衛は語るのだった……。

 未来の知識を持つチートな母親のもとを離れ、織田家の武将として活躍する帯刀あらため織田信正あらため村井重勝の一代記。今回の書き下ろしは、比叡山で出会った僧侶、随風の物語。
 戦国時代転生ものは少なくなく、信長絡みは弟だったり長子だったり八男だったりそこそこあるけれど、その中でも面白くきれいにまとまり、ウェブ連載がきちんと完結したものの1つ。物語の流れと正史の対比表あり、地図あり、戦場も人物も描けるイラストレイターと本作りは完璧で、ここ最近のお薦め。前世知識のままに主人公がチートな活躍をする話は時としてご都合主義で興ざめになるけれど、これは主人公がチートではなく、裏で介入してくる母親の影響で歴史が変わってきているあたりがポイントです。主人公は正解を知らずに時を早めているのだ。

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