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好きな本とかについて、ちょこちょこっと書く場所です。蔵書整理の見通しないまま、特にきっかけもなく08年12月ブログ開始。

王女マメーリア

2016-09-16 14:03:41 | 読んだ本
ロアルド・ダール/田口俊樹訳 1999年 ハヤカワ文庫版
夏だったかな、ふと書店でみかけて買ったダールの文庫本。
なんか最近よく露出されてるような気もするんだけど、そうか著者の生誕100周年か。
1990年の単行本を1999年に文庫化、ことし2016年5月にようやく二刷として出しなおしたようだ。
出版社のイベントに乗らされるのはおもしろくないが、おかげで好きな作家の読んだことないものを手にすることができるのは喜ばしい。
日本オリジナル編集の短編集だそうだ。
「ヒッチハイカー」The Hitch-hiker
3300ccの新車でロンドンに向けて走っている“わたし”は、ダービーの行われるエプソム競馬場に行くというヒッチハイカーを乗せてやる。
鼠のような顔をしたその小柄な男は、この車はホントに時速129マイル出るのか、やってみせてくれとあおる。
70マイル規制の道を、調子にのって120マイルまで飛ばしたところで、白バイにスピード違反で捕まってしまう。
「アンブレラ・マン」The Umbrella Man
12歳の女の子が34歳のママとロンドンにある歯医者に行った帰りのこと、カフェから外に出ると雨が降りはじめていた。
傘を持っていない二人が歩道でタクシーが来るのを待っていると、白いひげ白い眉毛の70歳くらいの老人が話しかけてきた。
財布を忘れてしまったので困っている、タクシー代の一ポンドをくれたら、老人がさしている立派な絹の傘を代わりにくれるという。
「ボティボル氏」Mr Botibol
極端にアスパラガスに似た外見をしたボティボル氏は、ある日取引が終わって家に帰り、ラジオから流れるシンフォニーを聴いているうちに空想にとりつかれる。
翌日、彼は家のなかの一番広い部屋をミニ・コンサート・ホールのように改装する。
「“復讐するは我にあり”会社」Vengeance Is Mine Inc.
相棒のジョージと金持ちになることを夢想している“ぼく”は、スキャンダルをとりあげている新聞のコラムを読んでるうちにアイデアをひらめく。
“コラムニストの鼻を一発強く殴打する=500ドル”“眼に青痣をつける=600ドル”なんてメニューと料金表をつくり、記事を書かれたセレブたちに送りつける。
「執事」The Butler
巨額の富をつくりあげ、高級住宅地に移り住んだクリーヴァー氏は、週に数回ディナー・パーティを開くようになった。
しかし、いまいちパーティに活気がなく、うまくいっていないように思えたので、執事のティブスに相談する。
それはワインのせいかと存じます、旦那様、申し分ない料理には申し分ないワインが必要です、が執事の答えだった。
「古本屋」The Bookseller
トラファルガー広場からチャリング・クロス・ロードに入ったところにある古本屋、主人のバゲージ氏と店員のトトル嬢は店で何が起ころうとまるで関心がないようだった。
彼らにとって大切なのは奥の部屋での裏商売で、表の店の一年の稼ぎは奥の部屋の二日分にも満たない。
「外科医」The Surgeon
文学修士で外科医のロバート・サンディはラドクリフ医療センターに勤める52歳。
7週間前に、交通事故で意識不明の重体でかつぎこまれた学生の手術を担当して、その命を救った。
実は患者はサウジアラビアの王子のひとりで、医師は固辞したにもかかわらず、王からの贈りものとして立派なダイアモンドをもらうことになる。
「王女と密猟者」The Princess and the Poacher
外見的にはおそろしく醜い若者のヘンギストは、その王国では禁じられている密猟をたびたび行い、鳥やウサギをつかまえていた。
ある日、王家の森に忍び込んでいるときに、大きなイノシシが王女に向けて突進して間一髪のところを、彼は素早い動きと怪力で救い、王から褒美をもらうことになる。
「王女マメーリア」Princess Mammalia
王女マメーリアが17歳の誕生日を迎えた朝、鏡を見るとこれまで不器量だったのが一夜にして眼もくらむほどの美女に変身していた。
その美しさで、男たちは、首相も将軍も大臣も、みな彼女のご機嫌を取ってへつらうようになった。
新しい力を得た王女は、それまでの控えめで心優しい性質を失い、権力への渇望がふくれあがり、王位を我がものにしようとまで考え始めた。
コメント
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