E・S・ガードナー/尾坂力訳 昭和55年 ハヤカワ・ミステリ文庫版
これまたこの夏の飛行機での移動なんかんときに読み返した、ペリイ・メイスンシリーズ。
原題は「THE CASE OF THE GREEN-EYWD SISTER」、1953年出版かな。私の持ってる文庫は昭和61年の4刷、たぶん古本。
緑色の眼の女シルヴィアは、事件の依頼人。
一目見たときから、メイスンの秘書のデラは彼女が気に入らない、お高くとまってて、男の前では猫のような態度で身をくねらすタイプ。
最初の依頼の要件は、年とった父への恐喝、いまの財産をなした大もとが銀行強盗からの資金供与にあるという疑惑から救ってもらいたいと。
仕掛けられたワナの話はややこしくて、メイスンいわく、
>ある種の強制による財産移行の場合、財産の受託者が、その財産取得の方法が違法でることを知っていると推定され、かつ他の者が、その強制による受託者の隠し立てによって、その事実を知らず、また知ることを阻まれた際は、出訴期限法は、事実そのものよりも、事実の発見から効力を発するのです
ということで、なんだかわからないんだが、要するに悪党の手口は、録音テープをつぎはぎダビングして、ニセのやりとりテープを作ってるってことなので、それを見抜いたメイスンはやっつける。
ところが、例によって例のごとく、殺人事件が発生して、メイスンとデラと依頼人は死体がある現場を発見してしまう。
恐喝事件解決のために、危ない橋をわたっていたメイスンは、窮地に立たされる。殺人の主犯ぢゃなくても、謀殺の共犯くらいの疑いはかかってくる。
でも、メイスンはたじろいだりしない、意気込むホルコム部長刑事に対して、
>きみの質問の全部に答える気はない。境界線をひく(略)
>きみの質問は二つの領域に区分されるのだ(略)
>ぼくが答えてよいと思う質問と答えようと思わない質問だ(略)
と言って、相手をますます怒らせる。
代わって責められることになった秘書のデラも、メイスンの全幅の信頼にこたえて、
>彼女がぼくの秘書であり、法律によって依頼人に影響するような情報は全部秘密にしなければならず、ぼくがしている仕事の細かい点は全部知らないから、ぼくが代理している依頼人の利益を害するかもしれぬ事実で、事情からみて秘密を要するかもしれぬ事実を、知らずに漏らすことになっては困る、と彼女は言ったんだ。だから彼女は、いかなる陳述をすることも拒絶した。
という態度をとる、すごい。
でもねえ、依頼人の緑色の眼の女は、実の兄弟をして、
>あれはミス・細工師になっていたいんです
って性格なので、余計な暗躍をして、話をややこしくする。
で、彼女のことが最初から気に入らないデラが、危険を冒してまで戦おうとするメイスンに、「誰が依頼人?」とか切り込むんだけど、メイスンのほうは、
>形式的にはシルヴィア・アトウッドだが、実質的には正義を代表しているんだな
だなんて意に介さない宣言をする。
結局、シルヴィアの姉のハティが容疑者として逮捕されるんだが、シルヴィアに弁護を依頼されて、メイスンは戦う。
法廷でのやりとりがかなりボリュームあるんだけど、不利だったはずのメイスンが爆弾爆発させて、主人公が勝つのはあたりまえだけど、やりかえす。
裁判シーンも楽しいんだけど、シリーズ進んでくなかで、メイスンをすげえ忌み嫌ってエキサイトするホルコム部長刑事がいる一方、
>実を言えばぼくはきみが好きだ。(略)
>今の話は友達としての情報だから、事実と一致しない陳述をするのはよしてほしい。
なんて態度で話し合うトラッグ警部の立ち位置なんかがクローズアップされる一作。
これまたこの夏の飛行機での移動なんかんときに読み返した、ペリイ・メイスンシリーズ。
原題は「THE CASE OF THE GREEN-EYWD SISTER」、1953年出版かな。私の持ってる文庫は昭和61年の4刷、たぶん古本。
緑色の眼の女シルヴィアは、事件の依頼人。
一目見たときから、メイスンの秘書のデラは彼女が気に入らない、お高くとまってて、男の前では猫のような態度で身をくねらすタイプ。
最初の依頼の要件は、年とった父への恐喝、いまの財産をなした大もとが銀行強盗からの資金供与にあるという疑惑から救ってもらいたいと。
仕掛けられたワナの話はややこしくて、メイスンいわく、
>ある種の強制による財産移行の場合、財産の受託者が、その財産取得の方法が違法でることを知っていると推定され、かつ他の者が、その強制による受託者の隠し立てによって、その事実を知らず、また知ることを阻まれた際は、出訴期限法は、事実そのものよりも、事実の発見から効力を発するのです
ということで、なんだかわからないんだが、要するに悪党の手口は、録音テープをつぎはぎダビングして、ニセのやりとりテープを作ってるってことなので、それを見抜いたメイスンはやっつける。
ところが、例によって例のごとく、殺人事件が発生して、メイスンとデラと依頼人は死体がある現場を発見してしまう。
恐喝事件解決のために、危ない橋をわたっていたメイスンは、窮地に立たされる。殺人の主犯ぢゃなくても、謀殺の共犯くらいの疑いはかかってくる。
でも、メイスンはたじろいだりしない、意気込むホルコム部長刑事に対して、
>きみの質問の全部に答える気はない。境界線をひく(略)
>きみの質問は二つの領域に区分されるのだ(略)
>ぼくが答えてよいと思う質問と答えようと思わない質問だ(略)
と言って、相手をますます怒らせる。
代わって責められることになった秘書のデラも、メイスンの全幅の信頼にこたえて、
>彼女がぼくの秘書であり、法律によって依頼人に影響するような情報は全部秘密にしなければならず、ぼくがしている仕事の細かい点は全部知らないから、ぼくが代理している依頼人の利益を害するかもしれぬ事実で、事情からみて秘密を要するかもしれぬ事実を、知らずに漏らすことになっては困る、と彼女は言ったんだ。だから彼女は、いかなる陳述をすることも拒絶した。
という態度をとる、すごい。
でもねえ、依頼人の緑色の眼の女は、実の兄弟をして、
>あれはミス・細工師になっていたいんです
って性格なので、余計な暗躍をして、話をややこしくする。
で、彼女のことが最初から気に入らないデラが、危険を冒してまで戦おうとするメイスンに、「誰が依頼人?」とか切り込むんだけど、メイスンのほうは、
>形式的にはシルヴィア・アトウッドだが、実質的には正義を代表しているんだな
だなんて意に介さない宣言をする。
結局、シルヴィアの姉のハティが容疑者として逮捕されるんだが、シルヴィアに弁護を依頼されて、メイスンは戦う。
法廷でのやりとりがかなりボリュームあるんだけど、不利だったはずのメイスンが爆弾爆発させて、主人公が勝つのはあたりまえだけど、やりかえす。
裁判シーンも楽しいんだけど、シリーズ進んでくなかで、メイスンをすげえ忌み嫌ってエキサイトするホルコム部長刑事がいる一方、
>実を言えばぼくはきみが好きだ。(略)
>今の話は友達としての情報だから、事実と一致しない陳述をするのはよしてほしい。
なんて態度で話し合うトラッグ警部の立ち位置なんかがクローズアップされる一作。
