川上未映子 2010年 文春文庫版
こないだ『みみずくは黄昏に飛びたつ』っていう村上春樹ロングインタビューの本を読んだら、なかなかおもしろかったので。
訊き手である川上未映子さんという作家については、名前は聞いたことあるくらいで、全然読んだことなかったもんだから、ま、なんというか、礼儀としてひとつくらい読んでみるかという気になった。
何を読んだらいいかはよくわからなかったので、文庫になってるやつにした、2017年で11刷の芥川賞受賞作。
『みみずくは~』のなかで、自作のこれについて、なんか文体がどうのこうのって話が出てたのも気になったし、なんか目新しい技巧を駆使したのかなと。
(いま、その箇所を探したら、
>やっぱりわたしなんかも文体でしたよね。『乳と卵』という小説にかんしても文体のことしか言われないぐらいの感じだった
と言ってるのに対して、村上さんは「あれ、文体のことしか言うことないよ」ってグサッと言ってたりする。
そのあと「もちろんそれはいい意味で言ってるんです。『乳と卵』って、はっきり言って文体がすべての小説だと僕は思う。」と言ってて、そのへんがちょっと気になったもので。)
で、読んでみたんだけど。
私ゃだめだな、こういうの。それが受けた印象。
関西弁の話し言葉なんでね、それもわざとペラペラしゃべるがままの感じにするためふつうなら区切るところも区切らないで流し続ける。うーん。
おはなしのほうは語り手である独り身の女性のいる東京三ノ輪に、関西から姉の今年40になる巻子が娘をつれて訪れる。
その娘の緑子は母とケンカしたせいかなんかで口をきかないで母にも叔母にもノートに文字書いて筆談する。
それで夏の三日間をいっしょに過ごして、なんか大騒ぎして帰ってく。
うーん、なんかひさしぶりに、若いころ、女性の書いたものは読まない、って言ってた自分がいたのを思い出した。
そのころ、マンガに関しては、岡崎京子をはじめとして女性の描いたものドンドン読んでったんだけど、逆に小説に関してはハッキリ意識して遠ざけてた。
「どーしてー? アレとかコレとか女性ならではの視点って感じで、おもしろいよー」とか文学部(だっけ?だよな、たしか)の女性に言われたこともあるけど、それがイヤなんだよ相容れないって感じなんだよ、って。
そういう共感シイの無い私がモテなかったのはいうまでもない。
文庫にもうひとつ収録されてる短編は「あなたたちの恋愛は瀕死」。