キングズリイ・エイミス/宇野輝雄訳 昭和43年 早川書房
丸谷才一のエッセイにあったせいで、『ラッキー・ジム』という小説を探しているんだが、見つからない。
6月にデイモン・ラニアンを買い込んだのと一緒のときだったかな、古本市で同じ著者のこれをたまたま見つけた。
こんな本が存在することすら知らなかったんで、著者名が目に止まったのはほんと偶然、まちがってないかなってカバーとか見ると「著者エイミスは、1954年『ラッキー・ジム』でイギリス文壇に華々しくデビューした」ってあるんで、ほうほう読んでみるかという気になった。
読んでみて、自分に合わなかったら、見つからない本を無理に探し続けることもないしね、って気持ちもあった。
原題「The Anti-Death League」って1966年の作品。どうでもいいけど、昭和の時代って、こういうタイトルを律儀に訳すよね、たぶん今ならアンチ・デス・リーグとかカナにするだけだろうと思う。
なかみは、帯にあるとおり、スパイ小説。私は、スパイ小説って普段読まないから、評価のしようもない。
イギリスのどっか田舎で、軍の部隊がなにやら基地をかまえて、秘密の策戦に従事しているんだが。
誰かがスパイなんで、そいつを突きとめたい。当時の英国で敵スパイときたら時代柄共産圏のものだろうが、そこらへん誰が何の目的でとかが、どこもあやふやな感じ。
物語の出だしからしても、何の紹介もなく次々と人物が出てきて、あれこれ話し合う、誰が主人公なのかちょっとわからない。
従軍牧師という役目もある少佐、機密保持に躍起になる身だしなみにこだわる大尉、アルコール依存かなんかのせいで入院させられてた同性愛の中尉、病院で見た女性にひとめぼれしてしまった悩める中尉などなど、士官たちが主な人物たち。あと、ちょっとあやしい医者とか、誰でも家に招き入れちゃう未亡人とか。
で、くだんの反死連盟ってのは何かっていうと、あるとき基地の酒保の掲示板に貼られたビラで会員募集しようとした、謎の集まりである。
>『反死連盟』 匿名会員の団体
>今回、右連盟の支部を当部隊内に設立することに決定しました。われわれの趣旨に賛同される向きはぜひとも加入していただきたい。加入上の資格といったものはとくになく、入会金や会費も不要、当連盟にとって有益とみなされる場合は、いかなる活動をおこなうことも自由です。上部からの指示はいっさいありません。(略)
>以上のような不慮の死を回避したいと望む者は、だれでも連盟に加入する資格があります。(略)
といったヘンな中身で、ふつうに考えれば冗談なんだけど、なんせ部隊・作戦の機密保持こそ使命と思いこんでる担当者は、ことを重大にとらえる。
でも、指定された日時に会場に行っても、主謀者やマジメな入会希望者が現れるでもなく。
一応、最後は一連の騒動は解決をみるんだけど、なんかスッキリした感じはしないな、この話。
うーん、こないだの『急いで下りろ』もピンとこなかったし、もしかしたらこの時代の英国ものは、私の趣味ではないのかもしれない。
丸谷才一のエッセイにあったせいで、『ラッキー・ジム』という小説を探しているんだが、見つからない。
6月にデイモン・ラニアンを買い込んだのと一緒のときだったかな、古本市で同じ著者のこれをたまたま見つけた。
こんな本が存在することすら知らなかったんで、著者名が目に止まったのはほんと偶然、まちがってないかなってカバーとか見ると「著者エイミスは、1954年『ラッキー・ジム』でイギリス文壇に華々しくデビューした」ってあるんで、ほうほう読んでみるかという気になった。
読んでみて、自分に合わなかったら、見つからない本を無理に探し続けることもないしね、って気持ちもあった。
原題「The Anti-Death League」って1966年の作品。どうでもいいけど、昭和の時代って、こういうタイトルを律儀に訳すよね、たぶん今ならアンチ・デス・リーグとかカナにするだけだろうと思う。
なかみは、帯にあるとおり、スパイ小説。私は、スパイ小説って普段読まないから、評価のしようもない。
イギリスのどっか田舎で、軍の部隊がなにやら基地をかまえて、秘密の策戦に従事しているんだが。
誰かがスパイなんで、そいつを突きとめたい。当時の英国で敵スパイときたら時代柄共産圏のものだろうが、そこらへん誰が何の目的でとかが、どこもあやふやな感じ。
物語の出だしからしても、何の紹介もなく次々と人物が出てきて、あれこれ話し合う、誰が主人公なのかちょっとわからない。
従軍牧師という役目もある少佐、機密保持に躍起になる身だしなみにこだわる大尉、アルコール依存かなんかのせいで入院させられてた同性愛の中尉、病院で見た女性にひとめぼれしてしまった悩める中尉などなど、士官たちが主な人物たち。あと、ちょっとあやしい医者とか、誰でも家に招き入れちゃう未亡人とか。
で、くだんの反死連盟ってのは何かっていうと、あるとき基地の酒保の掲示板に貼られたビラで会員募集しようとした、謎の集まりである。
>『反死連盟』 匿名会員の団体
>今回、右連盟の支部を当部隊内に設立することに決定しました。われわれの趣旨に賛同される向きはぜひとも加入していただきたい。加入上の資格といったものはとくになく、入会金や会費も不要、当連盟にとって有益とみなされる場合は、いかなる活動をおこなうことも自由です。上部からの指示はいっさいありません。(略)
>以上のような不慮の死を回避したいと望む者は、だれでも連盟に加入する資格があります。(略)
といったヘンな中身で、ふつうに考えれば冗談なんだけど、なんせ部隊・作戦の機密保持こそ使命と思いこんでる担当者は、ことを重大にとらえる。
でも、指定された日時に会場に行っても、主謀者やマジメな入会希望者が現れるでもなく。
一応、最後は一連の騒動は解決をみるんだけど、なんかスッキリした感じはしないな、この話。
うーん、こないだの『急いで下りろ』もピンとこなかったし、もしかしたらこの時代の英国ものは、私の趣味ではないのかもしれない。