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好きな本とかについて、ちょこちょこっと書く場所です。蔵書整理の見通しないまま、特にきっかけもなく08年12月ブログ開始。

トランプがローリングストーンズでやってきた

2019-09-01 17:12:06 | 読んだ本

町山智浩 2018年 文春文庫版
わりと新しい文庫だが、7月に中古で買ったもの。
順を追って読んできた「USA語録」の第4弾で、文春の「言霊USA」としての連載は2015年3月から2016年3月だから、ぐっと新しい時代、ほぼ現在に近いと言ってもいいんぢゃないかと。
タイトルは、ドナルド・トランプが選挙戦のBGMにストーンズをかけていたってとこから来てるらしい。
ブッシュ政権のころから、アメリカのおバカなとこを教えてくれてた本シリーズだけど、まさかホントにトランプを大統領に選んぢゃうとまでは思ってなかったろう。
本書では、ニューヨーク・タイムズやワシントン・ポストなんかでもとりあげた「保守的な叔父さんを手っ取り早く黙らせる方法」(p.196「Your Conservative Uncle あなたの保守的な叔父さん」)なんてのも紹介されてるが、リベラルはダメだ、メキシコとのあいだに壁を作る候補を支持しようなんて風潮は強まる一方のようで。
ほかにもアメリカの現状で勉強になるようなことがいくつもあった。
たとえば、
>政府の調べでは2350万人が生鮮食料品を売る店が歩いて行ける距離にない場所に住んでいる(略) 食費にも困る人々は自動車も所有していない場合が多く、巨大スーパーまで買い物に行けないから、野菜が買えない。こうした食生活格差をフード・ギャップと呼ぶ。(p.52「SNAP Challenge 政府の貧困層向け食費援助額で実際に暮らしてみる実験」)
とか、
>アメリカでは水泳は義務教育の必修科目ではない。だから、泳ぎは親がプールに連れて行って教えたり、スイミング・スクールに入れてやらないとおぼえない。貧乏だったり、共稼ぎや片親で忙しい家の子は泳げなくなる。貧富の差で「水泳格差」ができてしまうのだ。(p.84-85「Black people can't swim? 黒人は泳げない?」)
とかって格差の話は、けっこう衝撃的で、先進国とは呼べないんぢゃないのという気がする。
泳ぎにについては、そのあと黒人がなぜに水泳から縁遠くなったかという解説に展開してくんだが、奴隷制の時代に逃げられると困るから川に入るのを固く禁じて、「水に入ると死ぬぞ」なんて脅したような歴史からきてるんだとまでは知らなかった。
あの国の差別や偏見のひどかったのはしょうがない、こないだも『ロールスロイスに銀の銃』って映画観てみたけどね。
それはさておき、現代の新しい言葉で、そういう言い方あるんだーと、おもしろく思ったのがいくつか。
Hater ヘイターって、2010年に辞書に載ったらしいけど、有名人などを憎む人をそういうらしい、ネットで悪口ばっか撒き散らしてるタイプかね。
Sophomoric ソフォモーリックは、世間で評価高いものなんかを嫌って文句言ったりして自分は人とは違うって主張する青二才を指していて、ソフォモーは高校二年生のことだけど、日本語訳すると中二病なんぢゃないかという。

コメント
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