松本道弘 1990年 中経出版
実家の押し入れを片づけてたら、なんで当時読んだのかよくおぼえてない、むかしむかしの本、それも入門書系が出てきたシリーズの一環で。
サブタイトルは、「論争・会議・商談の武器」「人生に勝つための知的技術」。
冒頭に、当時の「朝まで生テレビ」におけるやりとりの実例が出てたりして、話が激突するようでいて、ちっとも建設的な議論になんないと説明されてんだけど、そういうの見て、あー、あったな、そういう問題意識でディベートの正しいやりかた知りたくなったんだっけ、って思い出した。
>今はテレビを筆頭とするマスコミ凶暴時代(略)である。マスコミは裁く。西洋でいう正義は、日本でいえば「空気」である。その空気を動かす力を持っているのがマスコミで、しかもマスコミを裁くものがないから、マスコミが横暴になるのも避けられない。(p.15)
ってプロローグにあって、空気に流されないようになるにはディベートができないとってことなんだけど、これは30年ちかく経った今でも変わんないねえ。
特に、正義ぢゃなくて「空気」が幅利かしてるって指摘はあたってると思うし、それも現在ぢゃあ、マスコミよりもむしろ、いろんな個人の発信の集合のほうが強くなってきてる、でも「空気」なんだよな、どこまでも。
まあ、思想哲学はともかく、技術解説に関する入門書としてこの本は十分おもしろい。
立証のしかたとか、否定する側の立論の方法とか、反対訊問の心がけとか、ゲームのテクニックとしておもしろい。
自分の主張を大声で言いっ放しにする討論会ぢゃなくて、ディベートの試合って、自分が肯定・否定のどっちに立ってもできなきゃいけない、みたいなことは最初に読んだときは目からウロコだった気がする。
大まかな章立ては以下のとおり。
第1章 ディベートって何なんだろう
第2章 ディベートはどうやるのか
第3章 試合での「議論」の組み立て方
第4章 反対訊問と反駁はどうやるか
第5章 ディベートの審査基準
第6章 ビジネスにディベートを活かす
第7章 ディベート体験記