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好きな本とかについて、ちょこちょこっと書く場所です。蔵書整理の見通しないまま、特にきっかけもなく08年12月ブログ開始。

短歌ください 双子でも片方は泣く夜もある篇

2019-10-06 17:23:16 | 穂村弘

穂村弘 2019年3月 KADOKAWA
前に読んだ『短歌ください』の続刊が出てたのを、つい最近知ったんで、読んでみた。
「ダ・ヴィンチ」の連載の2015年11月号~2018年4月号までをまとめたものだって。
それはいいけど、よくみたら、これ単行本第4弾だっていう、第3弾ってのを読んでないぞ私、そのうち読まなくては。
でも、まあ、順番飛ばしてても問題はないだろう、たぶん。この本のなかではお題が前後つながった章もあるようだけど。
短歌のよしあしがわかるってわけぢゃないから、サラサラと読んでくだけなんだけど、穂村さんの講評がやっぱおもしろい。
今回、とくに印象的だったのは、日常的なことをあらためてちょっと違う角度から見てみると意外な発見がある、って感じのこと。
言葉で世界を切りとるっていう短歌の魅力の解説になってんだと思う。
以下、いくつかの例、講評の一部とその短歌。
>見慣れた現象を言葉で組み立て直した時、まったく新しい風景が見えてくることがあります。
「ライターのどこかに炎は隠されて君は何回でも見つけ出す」 (p.137自由題)
>日常的な動作を敢えて言語化することで、根源的な何かが立ち上がってくるようです。
「眠る時ひとは躰を柔らかい布で(できれば羽毛で)覆う」(p.165自由題)
>客観的な事実を改めて言葉で組み立て直すと、奇妙な世界ができあがることがある。
「胃の内容物を全員同じにし眠気を誘う給食センター」(p.206自由題)
>そういうことは普通にある。でも、こんな風に言葉にされると不思議な感触が生まれます。
「こめかみの五メートル先は県道だ そう思いつつ静かに眠る」(p.247自由題)

コメント
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