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好きな本とかについて、ちょこちょこっと書く場所です。蔵書整理の見通しないまま、特にきっかけもなく08年12月ブログ開始。

証言 羽生世代

2021-01-09 18:44:15 | 読んだ本

大川慎太郎 二〇二〇年 講談社現代新書
これは年末に買った新しい本。
いつも月刊誌読んでるし、なにも観戦記とか書くひとによる将棋関係の本あらためて読むこともないとは思うんだが、「うつ病九段」のテレビドラマが妙によかった余韻のような勢いで、なんとなく読んでみることにした。
なかみはタイトルそのまんま、棋界において、およそ平成の30年間ずーっと強かった、羽生永世七冠と同じ1970年前後生まれの棋士たち、なんでそんなにたくさん強いひとが出たの、って話、棋士へのインタビューを中心に構成。
いろんな表現あるけど、だいたい共通してるのは、とにかくこのひとたちは自分の頭で全部一から考えるってことをした、そこがすごいってことになる、技術的には。
精神的には、羽生がいたから、ってことになるみたい、彼がすごかったから周りも一緒になってレベルアップしたと。
まあ、細かいことは、新しい本なんで、ここに書かないで読んでもらったほうがいいんだが。
やっぱ先ちゃんこと先崎九段のとこはおもしろいと思った。
>奨励会は、まず最初に身体が弱い人間を淘汰します。次は精神的に弱い人間。三番目が将棋の実力ですね。(p.143)
ってのはさすがの見立てだ。
佐藤康光会長もいいこと言ってる、会長職についてから将棋の勉強する時間はなくなったんだが、勉強しなくても勝てるためには、
>大事なのは次の3つです。流行に毒されないこと。自分の経験をうまく生かすこと。自分に自信を持ち続けること(p.271)
だという、さすがです。
郷田九段もあいかわらずかっこいいことたくさん言ってる。
なかでも将棋の技術とは直接関係ないかもしれない後輩への指導について、
>わかっていない後輩には「おい、何やってるんだよ」と厳しく言うものでしょう。若い子は行き届かないところがあって当然なんですよ。だって若いんだから。(p.289)
なんて言ってんだけど、「だって若いんだから」で受け止めちゃうとこが度量があって好きです。
大まかな章立てと登場棋士は以下のとおり。
序章 将棋界で起きた「31年ぶりの一大事」――大きな転換期を迎えた羽生世代
第1章 羽生世代はなぜ「強かった」のか――突き上げを受けた棋士の視点
 谷川浩司・島朗・森下卓・室岡克彦
第2章 同じ世代に括られることの葛藤――同時代に生を受けた棋士の視点
 藤井猛・先崎学・豊川孝弘・飯塚祐紀
第3章 いかにして下克上を果たすか――世代交代に挑んだ棋士の視点
 渡辺明・深浦康市・久保利明・佐藤天彦
第4章 羽生世代の「これから」――一時代を築いた棋士の視点
 佐藤康光・郷田真隆・森内俊之・羽生善治

コメント
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